ウチの子って、もしかしたら天才児?!と思う瞬間、うれしい。だけど、なんだかあわてる。そして、本当に天才児なのか、知りたくなる。
そんな気持ちが胸をよぎりませんか? 実は、私もそうでした。
この記事では、「自分の子どもが、天才かもしれない?!」とお悩みの親御さんのために
- 天才児の特徴
- 天才児の定義
- 天才児が才能を発揮するために必要なコト
という3つのテーマを取り上げます。
【天才児の特徴】心理学の研究報告と実体験から太鼓判

天才児とひとくちに言っても、みんな個性豊か。優れた才能を発揮する分野も多種多様です。
けれども、天才児には共通する性格と行動のパターンがある、と研究では認識されていますので、その内容を以下にまとめました。
【天才児の特徴】性格と行動あるあるリスト:乳児期

- 睡眠時間が短い
- 起きている間は、まわりの環境に興味津々
- 好奇心を持ったことに、長時間取り組む
【わが家のギフテッド児】誕生直後の特徴/リトル・ブッダと呼ばれて
【わが家のギフテッド児】0歳児での特徴/人間は考える葦である
【わが家のギフテッド児】1歳児での特徴/発達デコボコあらわる
【天才児の特徴】性格と行動あるあるリスト:幼児期

- 言葉の発達がめざましく、自分で読み書きを学ぶ
- ずば抜けた記憶力
- 広く、深い好奇心・探究心が強く、発見する喜びがある
- 特別なテーマに関する知識が豊か
- 新しいことをすぐに学ぶ
- 大人の話題に興味を持つ
- 空想のお友だちが、具体的な想像の世界に存在している
【わが家のギフテッド児】2歳児での特徴/伝達力・自習と妖精の友人
【わが家のギフテッド児】4歳児での特徴/図書館デビューと死の哲学
【わが家のギフテッド児】5歳児での特徴/幼稚園で嵐の保護者面談
【天才児の特徴】性格と行動あるあるリスト:就学後

- 原因と影響の関連性を理解できる
- 何かに取り組む際、抜群の持続力と集中力を発揮
- 取り組めることが少ないと落ち着かない
- 同じことの繰り返しを嫌う
- 並外れた方法で解決策を探す
- むずかしい語彙をあやつり、比喩表現が豊か・流れるように会話
- 正義感が強い
- ひとりでいる時間が必要
- 他人の抱える問題に繊細
- ユーモアのセンスがある
いかがでしょうか? 「これって、ウチの子のこと?」と思うほど、お子さんに当てはまる特徴の連続で、驚きましたか?
【わが家のギフテッド児】小学校入学時の特徴/勉強は(まだ)楽しい
【ギフテッド児の映像記憶力】知人は誕生日と電話番号付きで記憶
【わが家のギフテッド児】友人の誕生日会で出る杭になった娘の機転
【わが家のギフテッド児】飛び級直後は高い順応力とストレス解消が必要
さて、天才児の特徴についてまず取り上げましたが、肝心の「天才児」が、どのように定義されているのかを知らないといけないので、次のパートではちょっとお堅いセオリーの話。
【天才児の定義】実は曖昧?/知能テストより大切な能力の全体像

「天才児とは、なんぞや?」という問いに対する定義は、実は統一されたものがないのが現状です。
教育学・心理学など、さまざまな研究分野によって定義が異なるのはもちろんのこと、心理学の中だけでも「天才児の定義といえば、コレで決まり!」と言えるほど、はっきりとは統一されていません。
定義がまとまらない中で、すべての見解で一致している内容は、
「天才児」は、同年代の子どもと比べた場合、
- 考え方や態度がちがう
- 年齢に見合った発達のレベルを明らかに上回る能力がある
ということ。
「まわりとちがう」って、すごく曖昧だけれど、天才児の親御さんにとっては、いちばんしっくりする表現かもしれません。親の欲目とかではなく、まるで蛍光塗料がついているかのように、どこでも、何をしても、周囲から際立つのが天才児です。
【天才児の定義】知能指数(IQ)テストは問題あり?/3つの弱点

天才児がテーマになると、伴走者のように取り上げられるIQテスト。ご自身でテストを受けた経験がある読者の方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
IQテストでは、学力の目安となる能力(記憶力・情報を処理するスピード・規則の理解・空間や立体を理解する力・言語力・計算力など)を測定します。
知能指数(IQ)テストによる天才の定義:
- 正規分布しているIQの平均値は100
- IQ130以上(全体の約2%)が天才児
ただし、IQテストの結果だけを根拠にして、天才児の判定を行うことには、いくつかの問題があります。
【天才児の定義】IQテストの問題点①結果が変動する

テストをする日のコンディションにより、結果に差が出ることもよくあります。だって、人間だもの。
また、テストの算定方法によっても、数値が変わったりします。
【天才児の定義】IQテストの問題点②練習をすれば、結果はよくなる

「天才児の判定をIQテストだけに頼る危険性」というゼミで、私が実際に体験したことです。
半年間、週に1度のペースでIQテストをくりかえし、トレーニングした結果、参加者全員(ゼミの学生)のIQが、統計的に「よくなった」と言えるレベルで上昇しました。
でも、この記事を読んでくださっているママさん・パパさん!
だからといって、お子さんにIQテストの猛特訓なんてさせないでくださいね。
特訓してIQ指数を上げても、天才児の能力を本当に伸ばすためには、役立ちません。
【天才児の定義】IQテストの問題点③能力の全体像の計測は不可能

天才児の判定にとって、IQテストの単一利用が不向きな理由は、なんといってもコレ。
IQテストは一般知能に焦点を当てているので、天才児の能力の全体像を把握することは、できないのです。
以上の理由から、IQテストの数値は知能の大まかな目安としてお付き合いするのが、オススメです。
【天才児の定義】総合的な能力を把握:例)レンツリの3つの輪モデル

天才児を判別するための方法は、IQというひとつの物差しだけではなく、多彩な能力をもっと幅広くとらえましょうよ、と提案する理論が、昨今の天才児研究では主流になってきています。
例えば、Renzulliの「3つの輪」モデルでは、
- 平均以上の知能:IQで計測する知的能力(記憶力・分析力・語彙や言葉の使い方と読み書き・計算力)
- 創造性:芸術の才能・独自な思考力
- 責任を持って課題に取り組む姿勢:やる気・計画性・忍耐力・遂行力
以上「3つの輪」の重なっている部分が、天才児の稀にみる能力を育み、開花させるのだ、と定義しています。
実際に、私の住むスイス・ベルン州の教育機関では、Renzulliの「3つの輪」モデルに基づいた天才児の判定法を導入しています。
この天才児判定法では、知力(11問)・創造性(9問)・やる気(11問)・リーダーシップ(7問)・計画性(15問)という5つのポイントが、問いごとの6段階評価・総計53の質問で測定されるしくみになっています。
天才児が才能を発揮するために必要なコト【飛び級児の母の意見】

Renzulliの「3つの輪」モデルの特徴は、高い知能に恵まれた天才児が、実生活で才能を発揮するために必要なIQ以外の能力も重視しているのがポイント。
「3つの輪」モデルの提唱は、天才児の人生を左右する核心をとらえた、すばらしいモノだと言えます。私の個人的な感想です。
なぜかというと、IQ以外の能力が欠如している天才児が、成長過程でつまずいてしまうケースを、残念ながら私は身近で、たびたび目にしたのです。
【飛び級児の母は見た】IQ以外の能力が足りない天才児は宝の持ち腐れ
娘の学校は、天才児を積極的に受け入れていたので、1年生のときにはクラスメイトの約半数が、天才と認定された飛び級児。
ところが学年が上になるにつれ、飛び級児の人数がどんどん減っていきました。
小さい頃は天才児だったのに、才能をフルに発揮できないまま元天才児になってしまったお子さんのご両親は、天才児の学力を上げることだけに集中し、その他の能力や社会との関係を育むことは、おろそかにしていました。
どんな天才児でも、宿題を期日通りに提出できない・課題を途中で放り出す・クラスメイトや先生ともめごとの連続、などという状態におちいると、「この子は天才児だから」という理由を振りかざすだけでは、学校という社会の中で適応した生活はできません。
IQ以外の能力が欠如している天才児は、才能を活かすチャンスを失ってしまうのです。
【ウチの子は天才児?】才能全体を伸ばす育児は判定よりも大切!

「やっぱり、ウチの子は天才児のような気がする。でも、私たちが住んでいるところには、天才児を判定する機関や、飛び級制度のある学校がない」とお悩みの読者の方が、大半なのではないでしょうか。
一見、天才児サポートがカンペキなところで生活しているかの印象を与えるわが家の場合でさえ、理想と現実のギャップはかなり深かったので、みなさまのご心労、お察しします。
結論から言えば、行政などから天才児教育に金銭的な支援をもらえる場合を除き、天才児判定はなくても差し支えません。
むしろ、「天才児かどうか」という判定の有無に親がこだわりすぎると、そのお子さんのせっかくの恵まれた才能が、潰れてしまうかも。
親が子どもに天才児のラベルを貼りたがると、お子さんの能力が「自然に伸びる」のではなく、「親にムリヤリ伸ばされる」ことになり、反抗期を迎えるころには子どもが自らの才能に背を向けてしまう…というケースを、娘の母校で何度も目撃しました。
時間とエネルギーをポジティブなことに使うのは、子育てが成功するためのエッセンス。
天才児判定や飛び級制度の有無より大事なのは、子どもの可能性を最大限に伸ばすために、知能以外の人間力も重視する子育てを、親御さんが家庭で実践することです。
みなさまに少しでもお役に立つことを願いつつ、私の体験と心理学に基づく子育て情報を発信していきますので、参考にしていただければうれしいです。
まとめ【天才児の特徴】飛び級児の母・心理学博士の知識と実体験

「娘が天才児かも?」と気づいたときのワクワク・ドキドキ、そしてザワザワした胸の想いは、今でも鮮やかに記憶に残っています。
自分の子どもが才能に恵まれていることは、幸せなこと。
だけど、「なんとなく、なにをしてもフツーからはみ出る」娘に、どう対応すればいいのか、かつての私は本当に途方に暮れていました。実は、今でも困惑する日々が多々あります。
育児中、何度もお手上げ状態になりましたが、確信を持ってお伝えできる今回の記事のまとめは、以下の通りです。
天才児の特徴と定義:
- 天才児には、共通する性格と行動パターンがある
- 天才児判定には、あまりこだわらないのがオススメ
- 学力だけではなく、他の能力も育てることで、天才児の才能を最大限伸ばす
育児に奮闘中のママさん・パパさん、応援してます!
コチラ↓の2冊は、ギフテッド児の子育てバイブルと言っても、過言ではない良書です。わが家にもあります。
わが子がギフティッドかもしれないと思ったら: 問題解決と飛躍のための実践的ガイド
ジェームス・T・ウェブその他(著)
ギフティッド その誤診と重複診断: 心理・医療・教育の現場から
ジェームス・T・ウェブその他(著)
引用文献:
a) Casado, A., Eeg, M., & Tiefenthal, C. (2010). Begabung – Besondere Begabung – Hochbegabung: Ein Ratgeber für Eltern. Schulpsychologischer Dienst des Kantons St. Gallen.
(閲覧日:2021年7月10日)
b) Renzulli, J. S (2016). The Three-Ring Conception of Giftedness: A Developmental Model For Promoting Creative Productivity. In S. M. Reis (Ed.), Reflections On Gifted Education (pp. 173-192). Waco, TX: Prufrock Press
(閲覧日:2021年7月10日)
参考文献:
Webb, J. T., Gore, J. L., Amend, E. R., & DeVries, A. (2017). Hochbegabte Kinder: das große Handbuch für Eltern. Hogrefe.