【わが家のギフテッド児】飛び級直後は高い順応力とストレス解消が必要

飛び級児成長記

小学2年も残り3ヶ月弱という時期にスイスの小学校で飛び級し、小3・4年の合同クラスに編入した娘。

飛び級直後の精神的・成績面での順応過程は、スムーズに進みました。

本人が選んだ飛び級のストレス解消策に、親の方がドキドキ。

【スイスの小学校で飛び級】小2から小3・4合同クラスへ

【スイスの小学校で飛び級】小1・2合同クラスから小3・4合同クラスへ

小学2年も残すところ3ヶ月弱となった段階で飛び級をした娘は、小3・4年の合同クラスに編入しました。

学校側からは、2学年飛び級して小4のクラスへと提案されたものの、

  • 大学進学組の進路である6年制高校に進学する際、一般生徒を再び1学年飛び越える
  • 合同クラスでは、生徒それぞれの凸凹能力に合わせた授業が行われていたので、学力へのサポートは期待できた

という理由から、1学年の飛び級と決めたのです。

娘本人が、「今、4年生になったら、あと3ヶ月で5年生だよね。でも、学童に来ている5年生のお友だちって、みんなもう大人だよ?!」とためらっていたことも、飛び級は1学年と決定した要因でした。

また、私自身がアラサーで進学したスイスの大学で出会った友人たちは、学校の成績だけを重視していた退屈な人は、皆無。

生き生きと、前向きに人生を歩んでいた友人たちはむしろ、学業以外のその他モロモロの体験から多くを学び取り、人間としての器が大きくなった素晴らしい人たちだったことも、「急いで大人になることにこだわらない」わが家の子育て方針に、影響を与えたと思われます。

自分にとって幸せな人生を歩むためのカギは、学校のテストからだけでは、見つかりませんからね。

娘の母校(小〜高校一貫校)は、小1・2年と小3・4年の合同クラスがそれぞれ1クラスずつしかない小規模な学校で、各クラスの生徒数も15人に満たないサイズ。

学校独自の縦割り学童もありましたので、「クラスが変わったら、仲良しのお友だちと離れてしまうから寂しい」という意識は、本人にはなかったようです。

実際のところ飛び級後も、小1・2年クラスの仲良しさんとは、週末に遊ぶ約束をしていたので、その点は私たちもできる限りサポートできるように、心がけておりました。

【わが家のギフテッド児】飛び級前後で「わからないこと」の意味が変化

【わが家のギフテッド児】飛び級前後で「わからないこと」の意味が変化

2歳ごろから貪欲なまでに好奇心のおもむくまま、「わからないこと」の探求に勤しんできた娘。

そんな彼女にとって、飛び級後に頻発した「わからないこと」は、それまで自分で取り組んできた疑問とは別種類の「わからなさ」で、当然のことながらかなりの戸惑いがありました。

わが家のギフテッド児にお馴染みだった「わからないこと」とは

わが家のギフテッド児にお馴染みだった「わからないこと」とは

娘は3歳ごろから、

  • 好奇心から興味を持った「わからないこと」を意識する
  • 「わからないこと」の答えを積極的に自分で探し、「わかること」に変える
  • 「わかるようになったこと」から生まれた新たな疑問に、再び取り組む
  • 「わかること」をどんどん増やし、知識の輪を広げる

というプロセスに馴染んでいました。

「わからないこと探しの冒険」のような毎日を過ごしていた彼女にとって、「わからないこと」の発見は、喜びにつながる体験であり、知的好奇心をさらに刺激するスパイスのような存在だったのです。

飛び級後の「わからないこと」は天才児にとって未体験のチャレンジ

飛び級後の「わからないこと」は天才児にとって未体験のチャレンジ

ところが飛び級後、当然のことながら「まわりの生徒にはわかることなのに、自分にはわからないこと」が頻発しました。

それは例えば、「掛け算/割り算の計算式」。

飛び級前の小2クラスで、まだ習い終えていなかった九九は、自分で暗記して補うことができました。

でも、掛け算/割り算の計算式を記入する段階になると、答えはわかっていても、計算した方法をどう書けばいいのかわからない。

そこで初めて、掛け算の解答を記入する方法は、自分にとってはまだ習っていない、「わからないこと」なのだと気づく状況でした。

小2の担任の先生から、飛び級によって未習得である学習内容の一覧リストをいただきましたが、まだ習っていないことの細かな点は、実際に授業で体験して初めて認識するもの。

自分の好奇心から生まれた疑問ではなく、飛び級のために授業で習わなかったから「わからないこと」を自分で突き止めるという取り組みは、娘にとっては未体験のチャレンジとなりました。

【わが家のギフテッド児】飛び級後:初めての落第点にショック

【わが家のギフテッド児】飛び級後:初めての落第点にショック

小2から小3・4年生合同クラスへの飛び級お試し期間(約3ヶ月)のうちは、テストの採点はしないという方針を、学校側が導入していました。

けれども、それまで学校で習うことはわかることだらけだった天才児にしてみると、テストに点はついていなくても、自分のわからないことがあからさまになるテストは、未確認物体のUFOのようなもの。

飛び級後、最初のテストを私に見せた時、「採点されていないけれど、わからないことばっかりなの。どうしよう…」と娘はかなり動揺した様子でした。

【小3・4年合同クラスへ飛び級後】成績は3ヶ月以内に上位回復

【小3・4年合同クラスへ飛び級後】成績は3ヶ月以内に上位回復

そんな娘に、「まだ『習っていないこと』がはっきりしていないから、できなくて当たり前よ。あなたが今『わからないこと』は、『習っていないから知らないこと』なのだから、あわてずに知らないポイントを見つけていけばいいじゃない?」と私は回答。

「授業を楽しめることが大切だから、前のクラスと今のクラスの授業、どっちが楽しいか考えてごらんよ」とたずねましたら、娘は「わからないことがわかってきたら、今のクラスの方がうんと楽しい」と即答しましたので、一緒にテストを見返しながら、知らなかったから解けなかった点をピックアップ。

この作業を終える頃には、娘はすっかり落ち着き、

  • 習っていないからわからないポイントを意識して突き止める
  • わからない点を教科書やクラスメイトに聞いて自分で学習
  • それでもわからない部分は先生に質問

という、飛び級に必要な学び方を理解していました。

約3ヶ月のお試し期間を経て、飛び級が正式決定する頃には、全科目での成績も、再び上位に復活。

「学校がまた面白くなったから、やっぱり飛び級してよかった」と語る娘を見て、私たち両親は安堵のため息をついたのです。

【わが家のギフテッド】飛び級直後の周囲の反応:生徒はとても好意的

【わが家のギフテッド】飛び級直後の周囲の反応:生徒はとても好意的

飛び級先である小3・4年合同クラスの生徒たちは、「あの子なら飛び級は当然だね」と、とても好意的に娘を迎え入れてくれました。

その上、娘がまだ授業内容に追いつけなかった3ヶ月間も、「できないんじゃなくて、飛び級で習っていないから、知らないだけだよね」と、質問だらけだった娘を温かくサポートしてくれたのが、とてもありがたかったです。

新しいクラスの同級生たちが、娘の存在と彼女の特性を知っていた理由は、小学校の全校読書大会で小1だった娘が優勝したことに加え、飛び級決定の前年に学校が小学生と高校生合同で開催したクリスマスコンサートで、娘が大役を務めたためでもありました。

娘の母校の高等部には音楽科があり、将来音楽家を目指す青少年が在籍しています。

クリスマスコンサートでは、プロの卵である高校生のオーケストラと共演する小学生が、参加自由形式のオーディションで選抜される運びとなりました。その際娘は、ミュージック・ベル演奏係に抜擢されたのです。

数百人の観客を前に、オーケストラと1時間、ノーミスで本番の演奏を数回こなした当時8歳の娘の態度は、他の生徒たちには印象深かったようで、「コンサートであんなにすごい演奏ができる彼女だから、飛び級もありだよね」という娘に対するイメージを、他の生徒さんたちはよく口にしていました。

【わが家のギフテッド】飛び級直後のストレス解消にバレエの授業を増加

飛び級直後に抱えたストレスを解消するため、娘が私たちにお願いしてきたことは、それまで週1で通っていたクラシック・バレエのレッスンを週3回に増やしたいという、予想外の内容でした。

本人曰く、「体を動かすことで、頭でっかちにならなくて済むと思う。だって、今は学校で『わからない・できないこと』に集中してばかりだから」とのこと。

私たち親の立場では絶対に思いつかなかったアイデアなのですが、本人の望みを尊重しました。

その結果、バレエのお教室という学校外での馴染んだ環境で、好きなことに打ち込める時間が増え、娘は上手くストレスを発散することができたようです。

幸い娘は、成長過程で自分と同じように普通から飛び出してしまう天才児たちと、友情を育む機会に恵まれました。お互いの特殊な環境を理解し合える仲間たちは、独特の悩みを抱える天才児たちにとって、とても大切な存在です。

けれども、「何でも素晴らしくできて当たり前」の天才児の肩にのしかかるプレッシャーは、かなりのもの。

たとえ周囲が快く見守ってくれていても、天才児の自分との戦いは非常に厳しいものだと、わが家と他の天才児を育てた親御さんの育児を振り返るたび、痛感しています。

【わが家のギフテッド児】まとめ・小学校2年から3年に飛び級した直後の様子

  • 飛び級前後で「わからないこと」の意味が変化
  • 初めての落第点にショックを受けるも、成績は3ヶ月以内に上位回復
  • 飛び級で編入したクラスの同級生は、とても好意的
  • 飛び級直後のストレス解消に、バレエの授業を増加したいと本人が希望。親にとっては予想外のアイデアに、本人は大満足
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