【子どもの頭が悪くなる勉強法】ニセ天才児の親が必ずしていたミス

天才を伸ばす育児

特に秀でた才能を持つ子どもたちへの教育を、指針のひとつに掲げていた娘の母校。

私は保護者として、優秀なお子さんがいらっしゃるご家庭の教育法と、お子さんが成長していく様子を、身近に知る機会に恵まれました。

その結果、子どもたちの頭が次第に悪くなってしまった…と書くと語弊があるのですが、「天才児だったはずの子どもたちが、ただの人になってしまった」ご家庭の親御さんには、共通項があると気づきました。

飛び級娘の母校で、心理学博士の私が保護者として優秀児の成長過程を観察した体験談に基づき、「子どもの頭が悪くなる勉強法」をご紹介します。

【子どもの頭が悪くなる勉強法】ニセ天才児の親が必ずしていたミス

【子どもの頭が悪くなる勉強法】ニセ天才児の親が必ずしていたミス
  • 親の人生目標イコール「わが子を天才児に仕立て上げること」
  • 親が「良い」と信じる勉強法を子どもに押し付ける

親の役目は、子どもがあらゆる面で独り立ちできるように、サポートすること。

けれども、わが子を何が何でも「天才児」に仕立て上げたい親御さんは、「親の自分がしたいこと」が常に興味の中心なので、子どもの特性や感情を尊重する配慮は、1ミリもない人たちでした。

こうした親御さんが、子どもに押し付けていた勉強法の共通点は、

  • 先取り教育のしすぎ
  • 大袈裟なテスト対策
  • 人生の中心はテストの点数

という3つのポイントでした。

【子どもの頭が悪くなる勉強法】①先取り教育のしすぎ

【子どもの頭が悪くなる勉強法】①先取り教育のしすぎ

学校でこれから習う項目を、先取り教育で子どもに自習させる勉強法は、実はとても危険なこと。

学校で習う内容は「知っていることばかりで、つまらない」と子どもが感じてしまうため、集中して授業に参加する態度が習慣化されないのです。

ニセ天才児の親御さんは、自分の先取り教育が成功し、わが子が学校の授業を簡単すぎると感じることに、大満足。先取り教育に拍車がかかります。

けれども学年が上がるにつれ、先生による授業の内容と、親による自宅での先取り教育に歪みが生じ、子どもの成績が悪くなるのが、典型的なパターン。

この時点で焦っても、すでに「学校とは退屈極まりない場である」という姿勢を身につけてしまった子どもは、先生のお話をキチンと聞いて、学校で知識を得る喜びを知らないので、時すでに遅し。

娘の母校では、1〜2学年上の教科内容を先取り教育していた親御さんもチラホラいたのですが、遅くとも小学校高学年になると、お子さんの成績が伸び悩むのが通例でした。

このような親御さんは、自分自身の行いを振り返ることはしないので、子どもの成績が下がった原因を、学校に押し付けていたことも、共通する点でした。

【子どもの頭が悪くなる勉強法】②大袈裟なテスト対策

【子どもの頭が悪くなる勉強法】②大袈裟なテスト対策

テスト対策も万全に万全を期すのが、ニセ天才児の親御さんに見られる特徴です。

どんなに小さなテストでも、まるで大学入試であるかのようにテストの数週間前から、準備開始。

科目ごとの到達目標の把握・毎日の勉強スケジュール・過去のテストの入手など、ニセ天才児の親御さんは、非常にパワフルに動きます。

常に受け身で、親の指示に従っていれば、当面の間は良い成績が取れますし、なにしろ親がゴキゲンでいてくれるので、子どもが親の指示に従うのは、当然のこと。

けれども、こういった親御さんの元で育つ子どもたちには、「自分の頭を使って考える」姿勢が、まったく身につかないため、「大人子ども」路線を歩むことになります。

年齢に見合った責任ある行動ができないまま、大人になってしまった子どもが、社会生活でトラブル続きになる確率は、100%です。

また、完璧なテスト対策が常套手段の親御さんにとって、吸血鬼のニンニク的な存在なのが、抜き打ちテスト。

「ウチの子のテストが悪い点だった」と、先生が抜き打ちテストを行ったことに目くじらを立てていたモンスターペアレントにも、たびたびお目にかかりました。

【子どもの頭が悪くなる勉強法】③人生はテストの点数を中心に回る

【子どもの頭が悪くなる勉強法】③人生はテストの点数を中心に回る

通常の授業で行われるテストは本来、「わかっていること/まだわからないこと」を把握するためのものです。

ですから、テストの点数に一喜一憂するのではなく、「わからなかったことをわかること」に変える地道なプロセスが大切。

けれども、ニセ天才児の親御さんは、わが子がテストで常に最高点を取れるように、度が過ぎる先取り教育と完璧なテスト対策に力を入れているので、子どもの失敗は禁物。

親の叱責を恐れる子どもたちはその結果、「失敗を成功に結びつける」体験ができないまま、成長します。

「テストで良い点が取れたら、〜を買ってあげる/〜をしてあげる」などの間違ったごほうび作戦も、子どもが自ら「学びたい」という姿勢にはつながらないので、何の意味もありません。

頭が悪くなる勉強法を親に強制されていたニセ天才児のエピソード

頭が悪くなる勉強法を親に強制されていたニセ天才児のエピソード

以下に綴るのは、私が体験した中で最も強烈だったご家族のエピソードです。

Lちゃんは、わが家の娘と同い年。

小学校入学時に飛び級をしていたLちゃんは2年生、普通に入学した娘は1年生として、学校生活をスタートしました。

この学校では、小1・2年、および小3・4年は合同クラスでしたので、最初の1年目と、ウチの娘の飛び級後(小2から小3)のほぼ3年間、彼女たちはクラスメイトでした。

余談になりますが、Lちゃんママにとって、それまで透明人間だった(例:挨拶すら無視される)私が、娘の飛び級により可視化されたのは、興味深い現象でした(笑)。

テスト点数の過剰重要視:お誕生日パーティ開催/中止はテスト結果次第

テスト点数の過剰重要視:お誕生日パーティ開催/中止はテスト結果次第

複数の習い事をしているお子さんが多かったので、お誕生日パーティの連絡は、ママ友間で早めに取り合うのが、習慣になっていた娘の学校。

「もうすぐLちゃんがお誕生日なのに、連絡遅いわね〜」と愚痴っていた私たちに、衝撃のニュースが入りました。

他の子どもたちに「パーティは、いつ?」と聞かれたLちゃんは、「テストの結果次第だから、みんなを招待できるかどうか、わからない」と答えたそう。

この時のLちゃんは、まだ小3。話を聞いた子どもも大人も、ショックが大きすぎて、言葉が見つからない状態でした。

いつもガリ勉だったLちゃんは、さらに頑張り、無事にお誕生日パーティが開かれると招待客への連絡があったのは、パーティ1週間前のこと。

でも、驚愕の出来事は、まだ終わりませんでした。

Lちゃんママは、「プレゼントについて」という注意書きを、他の子どもたちに手渡したのです。

その注意書きには、「Lへのプレゼントは本に限定。少なくとも小学校高学年以上の年齢に推奨されている本を選ぶように」と、信じられない内容が、「お願い」からはほど遠い文体で記されていました。

お誕生日当日、みんなからのプレゼントをつまらなさそうに開けていたLちゃんの態度、完全に親の権限を超えた行為への腹立たしさ、そしてまわりの大人が何もできないもどかしさは、私の胸の内に消えずに残っています。

先取り教育・テスト対策が完璧だったはずの親、教科書変更にキレる

先取り教育・テスト対策が完璧だったはずの親、教科書変更にキレる

Lちゃんと娘が、小4になる直前の保護者会のこと。

学校が2科目分の教科書を、以前とは別の物に変更する意向であることと、変更に至った理由を、保護者にわかりやすく説明し始めたところで、Lちゃんママはキレました。

「今更別の教科書を使うなんて、ダメです!」と、椅子から立ち上がり、怒鳴ったLちゃんママに、その場にいた全員が唖然。

Lちゃんママがキレた理由は、学校がこれまで使っていた教科書に付属する「学校関係者にしか販売されていない問題集」まで入手済みで、すでにLちゃんへの完璧な先取り教育とテスト対策を行っていたからだそうです。

Lちゃんママの行動に呆れた校長先生が、後に行われた保護者会で、「親が子どもに強制すべきではないネガティブな勉強法」の例として挙げていました(Lちゃんが転校した後の出来事です)。

親に強制されていた勉強法で頭が悪くなってしまったニセ天才児の転校

親に強制されていた勉強法で頭が悪くなってしまったニセ天才児の転校

徐々に悪くなったLちゃんの成績を挽回するため、Lちゃんママはなんとすべての授業に見学者として参加し、自分でノートを取るように試みたのですが、学校側はもちろん拒否。

Lちゃんママの常軌を逸した行動がエスカレートするにつれ、学校側との関係もこじれてしまい、小5になる前、クラスメイトにも、先生にもお別れを告げずに、Lちゃんはひっそりと転校してしまいました。

天才児の典型である内部からの探究心に突き動かされる様子は、Lちゃんにはありませんでした。

でも、大変利発なお子さんであったことは、間違いないので、これは本当に親ガチャで人生がダメになってしまったケースだと思います。

Lちゃんのご家庭には、同居していた実の父親もいたのに、なぜ母親の暴走を止められなかったのか…。

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学業面での頭の良さだけではなく、子どもの健全な発達を促すためには、できる限り早い段階から、「子どもが自分でできること」が増えるように、サポートしてあげるのが親の大切な役目です。

できることを増やすためのヒントがわかるコチラ↓の記事も、よろしければ、ご覧ください。

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