大谷翔平さんって、本当に超人的な存在ですよね。
野球選手として次々と記録を更新しているばかりか、ただそこにいるだけで、その場の空気と周囲の人々全員をポジティブな気分にしてしまうかのような、まさに「幸せのオーラ発動源」。
そんな大谷翔平さんのご両親が実践していた「子どもの前で絶対に夫婦喧嘩をしない」という誓いは、実は心理学の研究でも子どもの発育に密な関連があると実証されているエビデンスなのです。
そこで今回の記事では、
- 「夫婦関係が子どもに与える影響」を分析した研究論文の最重要点
- 上手な夫婦喧嘩の仕方
- 大谷さんのご両親のインタビューでわかったもうひとつの育児秘訣
について、心理学博士の私がご説明いたします。
【夫婦関係は子どもの問題行動に影響する】メタアナリシスの最重要点

メタアナリシス (meta-analysis) とは、複数の研究の結果を統合し、より高い見地から分析すること、またはそのための手法や統計解析のことである。
引用元:フリー百科事典ウィキペディア <メタアナリシス>(更新日2022/10/28 05:39 UTC)(閲覧日2023/03/21)
- オランダのチームが行ったメタアナリシス(総数230論文の研究結果を分析)
- 研究の焦点:夫婦関係と子どもの不適応行動の関連性
→ 不適応行動とは:自分や他人への攻撃的な態度/人間関係でトラブルが発生した時の対応力(感情・行動・身体・認知面など)に問題がある態度 - 結果:①夫婦仲の悪さ②夫婦喧嘩の頻度の多さ③パートナーへの敵対心④パートナーへの無関心さ⑤相手を傷つける破壊的な喧嘩の仕方⑥子どものことが原因で喧嘩となる頻度
→ 以上6つの要因は、子どもが示す不適応な行動に関連していると判明
夫婦喧嘩をしないだけでは、第2の大谷翔平さんは誕生しませんが、子どもの健康的な発育を着実に促す秘訣であることは、確かです。
お高い早期教育より、お得な情報かもしれなくてよ(笑)。
【どうすりゃいいのよ夫婦喧嘩】心理学者オススメの上手な喧嘩の仕方

けれども、まったく喧嘩をしない夫婦など、この世には存在しません。
子どもの発育に悪影響を与えるのは、夫婦喧嘩そのものではなく、「夫婦喧嘩の仕方」が争点となります。
たとえば私が在籍していたスイスの大学の家族研究所では、さまざまな臨床研究の結果から、「上手に夫婦喧嘩をするコツ」を以下の7点にまとめているので、よろしければ参考にしてください。
【上手に夫婦喧嘩をするための7つの秘訣】心理学研究の太鼓判付き

【上手に夫婦喧嘩をする秘訣】①話し合いは時と場を選んで行う
喧嘩して感情が昂っている時や、ストレスマックス状態だと、失言してさらに喧嘩がエスカレートする可能性大。子どもがいない状況で、十分に時間が取れるタイミングを選んで話し合いをしましょう。
【上手に夫婦喧嘩をする秘訣】②突発的に話し合いを始めない
いつ話し合うのか約束することで、自分の考えを整理し、相手にわかりやすいように、自分の意見をまとめる機会ができます。
【上手に夫婦喧嘩をする秘訣】③リラックスできる環境を作って話し合う
一緒に散歩しながら、または美味しいお茶を居間に用意するなど、できる限り居心地良く感じる環境をセッティングして話し合いをすることも、大事なポイント。
【上手に夫婦喧嘩をする秘訣】④外部の邪魔要因をシャットアウト
夫婦がお互いの意見に集中して話し合うことが、問題解決には不可欠。
ですから、スマホ・テレビなどの外部騒音や、子どもが夫婦話し合いの場に立ち入りできる可能性など、話し合いの邪魔になる原因はすべて排除しましょう。
【上手に夫婦喧嘩をする秘訣】⑤「話す」「聞く」役割を均等に保つ
意見交換をする際、「話し手」と「聞き役」のバランスが取れていることは必須。
けれども最も大切なのは、自分の意見を「あなたが〜」ではなく、「私はこう感じる/思う」というふうに、私からのメッセージ形態で会話をすることです。
【上手に夫婦喧嘩をする秘訣】⑥互いに協力して解決策を探す努力
喧嘩の原因にお互いが歩み寄り、夫婦双方が納得できる解決策を探すように心がけましょう。
問題が解決しないからと、後回しにしていると、夫婦関係が毒まみれになること確実。
すぐに解決策が見つからない場合でも、問題解決の努力を続けることが、良い夫婦関係の維持には不可欠だと、認識してくださいね。
【上手に夫婦喧嘩をする秘訣】⑦相手への感謝の気持ちをきちんと表現
喧嘩の原因を話し合いで解決できたら、お互いの努力に感謝する気持ちも忘れずに。
そして、歩み寄る努力をしてくれたパートナーに、あなたの感謝の気持ちを、きちんと言葉と態度で伝えることもお忘れなく。
自分の考えは、表現しなければパートナーにはわかりません。夫婦であるからこそ、「親しき仲にも礼儀あり」です。
大谷翔平さんのご両親が実践していた「家族で共食」も子どもに影響大

大谷翔平さんのご両親が実践していた子育て法には、子どもの才能を伸ばすための秘訣があふれていたと想像するのですが、「家族揃って食事をすること」も、大谷家で欠かさず実践していた習慣だとか。
大谷翔平さんが野球のトレーニングを本格的に開始してから、大谷選手のお父様・徹さんが仕事とコーチ業を掛け持ちしていたこともあり、休日はゼロと大忙しの日々だった大谷家。
それでも大谷家では、夕食時に家族全員で食卓を囲んでいたとの大谷選手のお母様・加代子さんの発言が、『天才を作る親たちのルール(吉井妙子著)』のなかに記載されています。
アメリカで行われた研究によれば、家族と一緒に食事をする習慣は、子どもの発育に好影響(健全な自尊心の発達・社会性・精神面での豊かさ)を与えると報告されているのも、非常に興味深い点。
大谷家の育児秘訣は親の覚悟次第でどの家庭でも実践可能!

大谷さんのご両親のインタビューをいくつか拝見しましたが、あの大谷翔平さんを育てたというのに、ご両親の発言は常に気負いがなく、大谷さんが夢を叶えるために必要だったことを、親としてできる限りサポートしただけという謙虚な姿勢からも、ご両親の素晴らしいお人柄が伺え、「このご両親にして大谷翔平さんあり」と思うのは、私だけではないはず。
子どもの才能には、遺伝も大きく関係するのは否定できない事実ですが、持って生まれた天賦の才能を子どもが思う存分発揮できるように、
- 子どもの前で夫婦喧嘩をしない
- 忙しくても家族で一緒に食事をする時間を取る
という大谷家の習慣は、どのご家庭でも工夫次第で取り入れることができると思うので、ぜひチャレンジしていただきたい子育て法です。