【天才児のラベル】優秀児を天才児に仕立てる親の執念はムダで酷い!

飛び級児成長記

ギフテッド児への指導が教育指針のひとつだった娘の母校。

優秀な子どもを無理矢理鍛えて「天才児」を作りあげる親の執念を間近で体験した私が訴えたい、<天才児のラベル貼りより、子どもの個性を尊重する大切さ>。

親のエゴは、子どもを不幸にするだけです。

天才児教育を重視する小学校の初日/「IQいくつ?」が親同士の挨拶

IQテストと鉛筆

娘の進学先に選んだ小学校は、「特別な才能に恵まれた子どもたちの教育を重視する」ことが謳い文句だった、小中高一貫教育を行っている私立学校。

この学校に決めた理由は、学校のキャッチフレーズだけではなく、私の友人が該当校の高校教諭で、創造性豊かな授業内容と教師陣の熱心さが本物だと知る機会があったこと。そして、別の友人のお孫さんが学校の卒業生で、学生生活に大満足していたため。

・・・ですが、入学式の日に早速、私は冷水を浴びせられたような気持ちになりました。

娘のクラスは1・2年生が合同で1クラス、生徒数は12人。そのうち、飛び級をしていない「普通の子」は、ウチの娘を含めて3人だけ。

この日が初対面の他の親御さんから、頭ごなしに「オタクのお子さん、IQいくつ?」と声をかけられ、私が驚きで固まっていると、「あら、天才児じゃないの?」とそっぽを向かれ、以後無視されるという信じ難い展開でした。

天才児だらけのクラスで、同級生はIQ底上げ特訓塾の受講生と判明

IQテストの解答用紙

入学式の日に、私が気づいたことがもうひとつありました。

それは、クラスメイトの親御さんたちが、お互いすでに顔見知りであること。

それもそのはず、「天才児/飛び級児」の同級生たちはみな、小学校入学前に「知能テスト特訓塾」なるものを受講していた子どもたちだと、判明したのです。

娘のクラスメイトだった「天才児」の親が自分の子どもを「天才児」に仕立て上げたのは、邪道な方法でした。

子どもたちを塾で特訓させ、知能テストで高いIQが出るように鍛えてから、児童精神科医を訪れる。そして塾で指導された「天才児が悩む典型的な事柄」を、親子で口を揃えてまことしやかに訴える。

何も知らない精神科医は、知能テストとインタビューの結果から、天才児認定を下し、教育庁への申請に必要な書類を作成する。精神科医が同意しない場合は、再び子どもを特訓コースに送り込み、次の精神科医を探す…。

私がナイーブで、この裏技を知らないがために娘が就学前に天才児判定を受けていないと誤解したママさんが数人、「よかったら、ウチの子が通った塾と精神科医をご紹介するけど?」と、私に話しかけてきたという、驚愕の事態。

こんな世界があるとは知らなかった私は、本当に驚きました。

【天才児の特徴】をまとめた記事内でも述べましたが、「天才児の判定を知能テストだけに頼る危険性」を、心理学の研究と臨床が示す事実として学んだ私は、「娘の学校選び、大失敗だったかも…」と、背筋がゾゾッとする思い。

「ママ友を見つけて、お互いの天才児育児の苦労を分かち合えたら、いいな」という私の夢もまた、入学式の日に儚くも消え去ったのです(涙)。

優秀児を天才児に作り上げる親の執念はムダ!ラベルより個性が大事

勉強しすぎで疲れて居眠りする小学生の女の子

みなさんご自分のお子さんがナンバーワンだとお考えのせいか(←私の勝手な想像ですが)、親同士の関係は、冷え冷えオーラが全開で、距離感たっぷり。

クラスメイトたちも、お互いの名前と顔は知っているけれど、プライベートでの交流は、お誕生日会以外はゼロ。

遊ぶ時間があるなら、勉強しなさいという環境で生活していた子どもたちばかりで、学校が終わると親の立てた計画通りに習い事、または自宅での先取り学習に大忙しといった状況でした。

小学1・2年クラスのお付き合いの「薄さ」は、ウチだけが仲間はずれとかではなく、父母会での先生方のお話からも、明らかだったことです。

そんな環境で、娘はどうしていたかと申しますと、とても学校生活を楽しんでおりましたから、不思議なもの。

小学校入学と同時に、娘が自分で選んだ習い事をふたつ始め、学校以外のお友だちの輪が増えたことに加え、週3回は学校独自の縦割り学童(小1〜6)で年上の子どもたちと交流する時間がたっぷり。

さらに、引き続き週3〜4回は図書館に入り浸り。毎回十冊本を借りて、本を読み耽る時間もあるという自分の生活スケジュールを、他の子どもたちと比べて自由だ、と娘は感じていたようです。

猛勉強しないと天才児でいられない優秀児たちは、傍から見ても可哀想なほど、親から勉強を強いられていました。

彼らはみな、とても疲れた様子でした。満員電車に揺られて通勤疲れしているサラリーマンと同じ空気が、小学1・2年生から、漂っていました。

私が本当に残念だと思うのは、無理矢理子どもに天才児のラベルを貼りたがる親御さんは、優秀なお子さんの特性を見ようとしないこと。

個性を伸ばすことに集中すれば、どのお子さんもキラリと輝く魅力的な能力の持ち主なのに、親のエゴでせっかくの才能が全滅するのは、あまりに酷い行為です。

親が仕立て上げた「天才児」たちは、小学3年生になるころには、次々と転校していきました。

成績が降下する・学校でトラブルを起こすといった子どもの態度の原因を、一方的に学校側の指導にあると批判する親と学校側の意見が、折り合わなかったためです。

賢い子こそ、子どもの個性を尊重する親のサポートが必要

親子が繋ぐ手

「ウチの子は、天才かもしれない?」と感じていらっしゃる親御さんには、恵まれた天分だからこそ、「成人した子どもが社会で自立するために必要な能力は何か?」という、子育てする親の役目を見失わずに、お子さんの力になっていただきたい。私は心から、そう願っています。

もしよければ、コチラの「賢く幸せな子どもを育てる術」のまとめ記事もご覧ください。