【家族と一緒に食べる食事が子どもに与える影響】研究と専門家の意見

天才を伸ばす育児

子どもの健康な心身発育にとって、不可欠なのが健全な食生活。

「家族と一緒に食べる食事が、子どもにもたらす影響」というテーマを、スイスの日曜新聞が、研究結果と専門家の意見をもとに取り上げていました。

そこで今回の記事では、

  • 家族で一緒に食事をすることが子どもに与える影響を報告する研究の最重要点
  • 専門家が反対する「子どもに悪影響を与える食事の際の親の発言」
  • 研究結果から推奨されていた「子どもに好影響を与える6つの心がけ」
  • 家族で一緒に食事をする機会を「減らさない」秘訣

を、ご紹介したいと思います。

参照元の記事

SonntagsZeitung <Wie familiäre Essgewohnheiten das ganze Leben prägen> (2022/11/27日付紙版)(閲覧日2022/11/27)

【家族と一緒に食べる食事が子どもに与える影響】研究で判明したこと

【家族と一緒に食べる食事が子どもに与える影響】研究で判明したこと

スイスの日曜新聞では、2つの研究結果を取り上げています。

  • ドイツの共同研究(マックス・プランク研究所とマンハイム大学):メタ・アナリシス
  • アメリカの研究(ペンシルバニア大学):システマティック・レビュー

システマティック・レビューとメタ・アナリシスとは?

システマティック・レビューは、一定の基準や方法論をもとに質の高い臨床研究を調査し、エビデンスを適切に分析・統合を行うことであり、メタ・アナリシスは、過去に行われた複数の研究結果を統合するための統計解析である。

引用元:昭和大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー内科学部門 <システマティック・レビューとメタ・アナリシス>(閲覧日2022/11/30)

家族と一緒に食べる食事が子どもに与える影響:ドイツ研究結果の重要点

家族と一緒に食べる食事が子どもに与える影響:ドイツ研究結果の重要点

マックス・プランク研究所とマンハイム大学によるメタ・アナリシスは、過去に米国・カナダ・ヨーロッパ・オーストラリア・中央/南アメリカ・中国で行われた57の研究に参加した総数20万人以上の被験者のデータに基づいた分析結果です。

この研究によれば、家族と頻繁に食事を一緒に食べる家庭で育つ子どもたちは、

  • BMIが健康値
  • 野菜と果物の1日の摂取率が高い
  • 甘いもの/ソフトドリンク/ファーストフードを食べる率が低い

という結果が出ています。

大変興味深いことに、上記3点の検証結果は、

  • 調査に含まれたどの国で行われた研究でも同じ結果
  • 研究対象となった子どもの年齢層すべてに該当する
  • 共食したのがどの食事(朝食・昼食・夕食)でも同じ効果
  • 両親のうちひとりだけが子どもと共食した場合でも、家族全員で共食した場合でも、効果は同じ

だということです。

特に最後の点は、働き盛りの親御さんにとっては、救われるポイントなのでは。←しばしば罪悪感に悩まされていた私、この情報は、子育て中に知りたかったです!

家族と一緒に食べる食事が子どもに与える影響:米国研究結果の重要点

家族と一緒に食べる食事が子どもに与える影響:米国研究結果の重要点

ペンシルバニア大学によるシステマティック・レビューは、過去に発表された118の研究結果を再分析したものです。

この研究によれば、家族で一緒に食事をする頻度は、子どもたちの健康面において、以下の関連があると報告されています。

【食事内容】

  • 1日の果物と野菜の摂取量が多い(特に子どもの年齢が上がるほど顕著)
  • 不健康な食品(スナック菓子・スイーツなど)の摂取量が少ない

【精神面】

  • 自尊心・学業成績・社会性・精神的な豊かさとのポジティブな関連
  • アルコールやタバコの乱用・うつ・摂食障害とのネガティブな関連

【家族関係】

  • 家族のコミュニケーションが多い
  • ケンカが少ない

【家族で一緒に食事】子どもに悪影響を与える親の発言:専門家の意見

【家族で一緒に食事】子どもに悪影響を与える親の発言:専門家の意見

日曜新聞の記事内には、臨床心理の治療にあたっている専門家たちの意見も掲載され、ドイツとアメリカの研究報告を、現場での体験から肯定しています。

健全な食事形態は、「自分にとって良いことは何か」と見極め、自分自身に対して責任のある行動を取ることなので、結果的に幸せな人生につながるというのが、専門家の見解のようです。

また、専門家の意見で特に興味深いのは、「家族で一緒に食事をする際、親が子どもに言ってはいけないこと」として言及している以下の2点。

  • 「食べ過ぎ」「太る」などのネガティブコメントを親が発言
  • 「全部食べなさい」「嫌いなものでも食べなさい」など親が強制

子どもの体重に親が気を配るのは、大切なこと。でも、ことばで否定するのではなく、健康的な食材を用意することで、親は体重管理を行うべき。

また、家族の絆を一緒の食事で深めるためには、強制的な雰囲気はそぐわないので、この点も注意が必要なようです。

参考になるかどうか、定かではありませんが、例えばわが家では母娘共に「朝食が食べられない」タイプだったため、小学校から「朝食必須」のお達しが出た際、食事=強制とならないように、ちょっと骨が折れました。よろしければ、コチラ↓の記事をご参照ください。

【子どもに好影響を与える家族での共食スタイル6点】研究結果が推奨

【子どもに好影響を与える家族での共食スタイル6点】研究結果が推奨

前出のドイツの研究では、

  • 良い雰囲気で食事をする
  • 健康的な食材を選ぶ
  • 子どもも一緒に食事の準備に携わる
  • 栄養面で親が子どものお手本になるように食事
  • 食事にゆったりと時間をかける
  • 食事の間、テレビや電子機器はオフにする

という6点を親が心がけることで、家族で一緒にいただくお食事の時間が、さらに豊かになると推奨しています。

どれも意識さえすれば、家庭で簡単に取り入れられる内容なので、実践してみる価値はあると思います。

家族で一緒に食事をする機会を減らさない秘訣:理想と現実の狭間で

家族で一緒に食事をする機会を減らさない秘訣:理想と現実の狭間で
「平成29年度食育白書 2家族と一緒に食べる食事の状況と取組」(農林水産省)(https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/wpaper/h29/h29_h/book/part1/chap1/b1_c1_1_02.html)をサイト運営者が加工して作成

ウチもそうだったのですが、家族で一緒に食卓を囲んで、食事をすることの大切さはわかっていても、親の仕事や子どものお稽古事などにより、実際に時間を合わせるのが難しいという問題に、子育て奮闘中の親御さんは直面するのではないでしょうか。

農林水産省の「平成29年度食育白書」によれば、「家族と一緒に食事をすることが重要である」と、全回答者(20〜70歳以上)の約9割が答えているにもかかわらず、すべての年代で「自分または家族の仕事のため、一緒に食事をすることが困難」だという理由が、最多で挙げられていました(上の画像)。

関連サイト:
農林水産省「平成29年度食育白書(公表日平成30年5月29日)2家族と一緒に食べる食事の状況と取組」(閲覧日2022/11/30)

家族で一緒に食事をする機会を減らさない秘訣:実体験からオススメ

  • 家族各自のスケジュールに「一緒の食事」を予約
  • 食事時間がずれてもキッチンで一緒にいる時間をひねり出す
  • 手抜き実行を手の込んだ料理より尊重して「一緒に食卓を囲む」
  • 子どもにも積極的にお手伝いをしてもらう

コチラ↑の4点は、わが家が実際に運用していた「家族で一緒に食事する機会を減らさない」秘訣です。

家族で一緒に食事をする機会を守る秘訣①各自のスケジュールに予約

家族で一緒に食事をする機会を守る秘訣①各自のスケジュールに予約

家族が家庭で一緒に食事をするだけなのに、それぞれのスケジュールに組み込まないと、毎日の忙しさに流されて、いつの間にか一緒に食事をする機会が減ってしまったというのが、わが家の苦い体験。

ですから毎週末、「来週は○曜日には全員で。○曜日には2人だけ」などと、確認し合うようにすると、すれ違いが生じなくなるので、効果的な方法です。

ご紹介したドイツの研究結果によれば、「いつ家族が一緒に食事をするのか」は、子どもに対する好影響に関係ないとのこと。

例えば、親のどちらかが仕事で夕ご飯に間に合わない場合は、朝ご飯を一緒に食べるなど、お互いのスケジュール調整を図ることで、「一緒に食事ができない」ハードルを越える手を打ちましょう。

家族で一緒に食事をする機会を守る秘訣②とにかく一緒に台所にいる

家族で一緒に食事をする機会を守る秘訣②とにかく一緒に台所にいる

月〜金曜日の間、それでもわが家では家族全員の食事時間がバラバラになることが、多発しました。

そのため、私や夫が先に食事を済ませた場合でも、後から帰宅した娘の食事時間にはキッチンに出向き、子どもが食事をする間、明日のお弁当を用意する/アイロンがけをする/洗濯物を片付ける/ただ話し相手になるなど、とりあえず同じ空間で一緒に時間を過ごせるように、心がけました。

子どもが反抗期の時には、「わざわざ時間を合わせているのに、たった少ししか話さないって、どういうワケ?」と、腹が立ったこともありましたが、親が子どもと一緒に食卓で時間を過ごしたいと工夫している姿勢は、伝わったのではと思います。

家族で一緒に食事をする機会を守る秘訣③共食は手抜きより大事

家族で一緒に食事をする機会を守る秘訣③共食は手抜きより大事

わが家では共働きだったこともあり、週の間は「とにかく家族(せめて親の片方)が子どもと一緒に食事をすること」を、料理の質より尊重していました。

野菜と果物中心というように、栄養面での注意は払っていましたが、手の込んだ料理は、週末のみ。

ただし、週末や親子で一緒に料理をする時間が取れた機会には(←これもスケジュール調整必須)、数時間一緒にキッチンに立ち、準備から後片付けまで、すべての作業を分担しながら、共有できる時間を楽しんでいました。

家族で一緒に食事をする機会を守る秘訣④子どもに手伝ってもらう

家族で一緒に食事をする機会を守る秘訣④子どもに手伝ってもらう

子どもは基本的に親と一緒に何かをすることが好きなので、食事に関するすべての作業を親がひとりで背負うのではなく、お子さんにも積極的にお手伝いをしてもらいましょう。

そのためには、早いうちから「子どもがひとりでできること」が増えるように、親御さんがサポートしてあげる必要があります。

けれども忙しい月〜金曜日だと、子どもに頼むより自分でしたほうが早く済むからと、結局ひとりですべての作業を担当し、後には不満しか残らない…という体験を、あいにく私も経験済み。

このような状態を避けるためにも、例えば週末の落ち着いている時間に、食卓のセッティング(お皿や食器など)や簡単な調理の仕方など、お子さんの知識がひとつずつ、無理なく増えるように、応援してあげてください。

お子さんの「できること」を上手に増やすコツは、コチラ↓の記事でご参照ください。

親子で一緒に用意した食事は、どんなに簡単なものであっても、特に美味しく感じるから不思議です。

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今回の記事でご紹介した内容が、皆さんのご家庭での家族団欒とお子さんの健全な発達に、少しでもお役に立つことを願っています。

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