【子どもの自主性を尊重する育児】多才な天才児の親が直面する問題

飛び級児成長記

自分の子どもが多方面で突出する才能に恵まれているのは、とても幸せなことです。

けれども、天才児認定を受けた娘の育児で、私たちが最も悩んだことのひとつが、「彼女の多才な能力のなかで、どの才能に焦点を置いてサポートをするべきか」というテーマ。

贅沢な悩みだと、認識しております。

「何をやってもできる子どもに恵まれて、いったい何が問題なのか?」と、子育て中の親御さんほぼ全員から、非難轟々となりそうな悩みです。

「周りに理解してもらえない。前例報告がほとんどない」という状況で、才能豊かな可愛いわが子にとってベストと思われる生き方をサポートする。それが天才育児の現実。

それは私たちにとって、方位コンパスなしに、子どもが歩む人生の航路を見守るような気分でした。

そこで今回の記事では、私たちがぶつかった難題を例に挙げてお話ししたいと思います。

読者の方が抱えていらっしゃるお悩みの解決策にはなりませんが、お子さんをサポートする際の参考に、少しでもなれば幸いです。

【多方面で突出する子どもの才能〜わが家の育児で直面した難題の一例】

専門家の意見 対 多才な天才児の意思
→ 結論:親は子どもの自主性を尊重(本音は複雑)

例)ピアノの才能
ピアノ教師の意見:「プロを目指すべき」
当時9歳の娘の意思:「自分の人生で大切なことの順位①医師になりたい②クラシックバレエ③ピアノ。だからピアノは趣味で続けたい」

【多才な天才児】水泳でのスカウトは健康上の理由で辞退必然、悩みゼロ

シンクロナイズドスイミングの選手たち

3歳〜5歳まで続けたスイミングのお稽古では、シンクロナイズドスイミングのスイス代表コーチ陣のおひとりに、才能を見出された娘。

スイス代表選手養成グループに参加するよう、お声をかけていただき、娘本人は、「頑張って練習した成果が認められてうれしい」と大喜びしていました。

同時に、健康上の理由(生まれつき耳管が弱いので、水泳には不向き)で辞退という答えしかないと、本人が理解していたので、親としての苦悩はありませんでした。

【多才な天才児】ピアノの進歩が早い娘の秀でた暗譜能力は才能か?

ピアノと楽譜

7歳の時からお稽古を始めたピアノで、メキメキ上達した娘。

娘が通っていた音楽学校では年に1回、発表曲のコンサートが催されていました。

当時9歳だった娘が弾いたのは、ベートーベンの第九として知られる交響曲第9番第4楽章「歓喜の歌」。

使用していたのはオリジナルの楽譜で、あるときわが家に牛乳を借りにきたお隣さんが、ピアノ演奏者が私ではなく娘と知りビックリ、なんてエピソードもありました。

「短期間で上手くなったねぇ」と、私たち両親は感心していましたが、所詮親バカ。娘の才能が特に秀でているとは、考えたこともなかったのです。

親バカのフィルター抜きでも、「もしかしたら、娘にはピアノの才能があるかも?」と私が思ったきっかけは、娘が楽譜なしで練習に没頭する姿を見てから。

第九の楽譜をもらった直後だったので、「もう暗譜したの?」と驚く私に、「だって、先生が一度演奏してくれたから。でもね、楽譜と照らし合わせながら先生が弾き方を説明するから、レッスンに楽譜は必要なんですって」と、娘はクールに答えたのでした。

【多才な天才児】ピアノの先生と声楽家も絶賛。プロを目指すべき?

コンサート会場のグランドピアノ

音楽学校のコンサート会場では、娘が最年少の参加者だと明らかになりました。

ティーンエイジャーの参加者に付き添っていた父親らしき人が、「おやおや、おチビさんが会場にまぎれこんでいる。ここは子どもの遊び場じゃないから、騒がないでね」と、私たちに嫌味を言ってきたほど、娘の年齢は会場にそぐわない雰囲気でした。

コンサート会場での緊張感をものともせずに、感情豊かな第九の演奏を終えた娘は、「まあまあの出来」と、天才児特有の厳しい自己採点の結果。

しかしコンサート終了後、娘のピアノの先生とお父様(声楽家)から、「お嬢さんはプロのピアニストになるための音楽教育を受けるべき。音楽大学の先生に師事するよう、手筈を整えますから、親御さんはサポートをよろしく」とお話がありました。

親の思い込みではなく、娘には本物の才能があるらしい…。それは、おふたりの上気した顔や興奮した態度からも明らかで、親の私たちがとまどうほどでした。

演奏前に嫌味を言ってきた保護者でさえ、「プロを目指すお子さんだと知っていたら、あんな失礼なことは言いませんでした。失敬」と謝罪してきたのです。

【子どもの自主性を尊重する育児】ピアノの進路で教師と本人の意見対立

子どもの目指すもの【子どもの自主性を尊重する育児】

ところが娘は、ニコニコ笑顔のピアノの先生とお父様に対してキッパリと、「私はプロを目指していないので、新しい先生のところに行きません」と即答で返事。

「あなたの将来のためだから…。ご両親とゆっくりお話ししてね。では、連絡を待っています」とピアノの先生はおっしゃったのですが、娘の意思は強固でした。

当時まだ9歳でしたが、娘は「ピアニストになることの大変さ」を、しっかりと把握していたため、先生からの提案を頑なに拒んだのです。

  • 上手にピアノが弾ける人は、世の中にたくさんいる
  • だけどピアニストとして成功する人は、わずかしかいない
  • どの世界でも、トップレベルで活躍するには、才能プラス情熱がないと成功できないはず
  • 自分にはトップにのし上がるために必要な、ピアノに打ち込む情熱が欠けている
  • なぜなら、自分にとって大切なことの順位は、①医師を目指す②クラシック・バレエのレッスン③ピアノのお稽古
  • 優先順位が低いピアノには、本気でピアニストになるためのエネルギーを注ぎ込むことができない
  • よって、ピアニストを目指す進路は、自分には向かない

というのが、娘の論理的な説明でした。

【子どもの自主性を尊重する育児】親は意識して一歩引くのが難しい

黒板に多彩なタレントの文字

「子どもの自主性を何より尊重する」私たちの子育て法は、ピアノの先生には理解不能だったようです。

トータルで12年間、娘がピアノのお稽古に通っていた間、先生からは年に最低2回、定期的にお電話をいただきました。

「今からでも間に合います」「才能がもったいない」、そしてご立腹になると「親の無知さが才能をムダにしている」との罵詈雑言(!)までありました。

医学部に合格した時でさえ、「アメリカみたいに、音楽大学と両立できるシステムはないのかしら?」が先生の第一声だったとか。

本音を打ち明けますと、娘本人の意思を尊重して、彼女の生き方を両親の思い通りに強制しない信条で育児に奮闘していた私たちも、心穏やかではありませんでした。

嬉々としてピアノの練習に打ち込んでいる娘の姿を見ながら、「本当にこれでよかったのかしら。もしかしたら、大変な判断ミスだったかも…」と思ったことは、数えきれないほどあります。

・・・でも、娘の人生は、娘のもの。親の私たちがしゃしゃり出てはいけないと、自分を戒めていました。

【多才な天才児】親のプッシュ対自主性尊重:家族対決

卵を守る鶏夫婦(過保護の象徴)

義弟夫婦の娘は、両親の意向でバスケットボールを始め、スイス代表メンバーにも選抜されている選手。

まだ17歳ですが、昨年度からベルギーのプロチームと契約を交わし、同時に大学入学資格も取得するためにベルギーの高校にも留学中です。

ちなみにこの姪っ子も天才児。ドイツ語が母国語で(ベルギー留学地はフランス語圏)、バスケの練習のために学校にも定期的に通えないのに、転入後3ヶ月後には学年トップの成績優秀者になりました。

義弟夫婦はウチの娘のピアノ演奏を聴くたびに、「親のあなたたちが、バレエとピアノの順位を入れ替えて、もっとプッシュすればよかったのに」と、わが家の育児方針に口を挟んでいました。

彼らにしてみると、ウチの娘にとって意味を持つクラシック・バレエは「ただの趣味」。娘の将来のためには、ピアノの才能を伸ばすことに親が力を入れた方が良かった、という意見なのです。

【多才な天才児】自主性尊重組はプッシュ組より自立が早い。満足度高?

クラシックバレエの舞台

「プロになるわけじゃないのに、バレエにエネルギーと時間を注ぎすぎ!」というセリフが常套句だった義弟夫婦を、娘は昨年度のバレエ公演に初めて招待しました。

現地の劇場で行われるバレエ学校の公演は、すでに多くのプロダンサーを養成したこともあり、とてもプロフェッショナルなレベル。現役ダンサーの方々もトレーニングに通う、評判の高いお教室なのです。

そんなバレエ学校の公演は、義弟夫婦の想像していたバレエの発表会とはかけ離れたものだったようで、舞台鑑賞後の彼らの態度はガラリと変わりました。

「マジでスゴイ舞台!プロになれるじゃん?え、出演者のひとりはプロになるの?すげー!!」と、大興奮。

・・・ちょっとバレエに似つかわしくない感想かもしれませんが、日本語で表現するとこんな風に、勢いがある発言でした。

しかしピアニストもバレエダンサーも、ちょっとやそっとでプロになれるような、甘い世界ではありませんよね。けれども、そのように困難なトップレベルを目指す人たちの真剣さが溢れる環境でレッスンに励むことが、娘は大好きなのです。

たまたま娘は主役のひとりを演じ、しかもバレエ公演の前日が医学部受験日という日程。

本人よりも、親の私たちのハートが心配でブルブル震えるほどのハードスケジュールだったことに気がついた義弟夫婦は言いました。

「受験に加えて、あのバレエ公演の準備。やっぱり、ピアノは趣味で良かったのかも」と。

バレエ公演鑑賞後、「僕らは娘のバスケと学校のスケジュールを彼女の代わりに全部計画して、実行させているけど、そろそろ本人に任せたほうがいいのかな?」と、話すようになったので、ウチの娘の自主的な行動が何かしら心を動かす点は、あったようです。

コチラ↓の記事には、海外で子どものバレエ教室を選ぶ際に気をつけるべきポイントを私の体験からまとめてありますので、よろしければご覧ください。

【多才な天才児】本人が選ぶ「楽しさ」を尊重する育児がベスト!?

ロケットに乗るふりをする子ども

天才児の子育てでは、他のお子さんの成長の様子を前例に、「これで安心」という育児の仕方を見つけにくいと、私自身常々感じております(まだ現在進行中)。

それぞれのご家庭で、いろいろ考え方の相違はあると思いますが、わが家のケースでは、娘の自主性を尊重することで、本人が自分の人生を掌握して歩むサポートはできたかな、と振り返っています。

正直、この記事の内容がどこまで参考になるかわかりません。皆さんのお子さんが充実度/満足度の高い人生の方向性を見つけることに、ほんのちょっぴりでもお役に立てることを願っています。

もしお子さんが、周囲からはみ出る自分を受け入れ難く、悩んでいるようであれば、コチラ↓の記事の内容を参考にしてみてください。

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