【モンスターペアレント】幼稚園の学芸会でわが子ゴリ押し、結果は悲惨

天才を伸ばす育児

幼稚園の学芸会でわが子をゴリ押し、無理矢理ヴァイオリンの演奏シーンを追加させた、モンスターペアレント。

あいにく悲惨な結果となり、他の保護者は騒然。私が目撃した実話です。子どもが本当に可哀想!!

お子さんの将来のために、マネは絶対禁物です。

モンスターペアレントとは?

モンスターペアレントとは?「ウチの子の扱い悪い!」と叫ぶモンスターペアレント

モンスターペアレント

学校に対して、言いがかりと言えるような理不尽な要求、苦情、文句、非難などを繰り返す保護者を意味する和製英語。直接担任の教員にぶつける場合が多いが、校長、教育委員会など、より権限の強いところにクレームを持ち込んで、間接的に教員に圧力をかける場合も増えている。

引用元:コトバンク / 出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」 モンスターペアレント 

【実話モンスターペアレント】優秀なのは自分だけと他人を軽蔑する子

【実話モンスターペアレント】優秀なのは自分だけと他人を軽蔑する子

娘が幼稚園生だった時のことです。

別記事↓でも登場したB君は、手先が器用なだけではなく、好奇心が豊かで、非常に優れたお子さんでした。

B君のお宅の教育方針はわが家と似ていて、「就学前は思いっきり遊ばせよ」と、幼稚園の間のお稽古事は、スイミングだけ。

けれども歌うことが大好きだったB君は毎週末、幼稚園でその週に習った歌の歌詞を全部暗記し、トライアングルを鳴らしながら歌う練習を繰り返していたのです。

週明けの月曜日、園児たちが「週末にしたこと」を報告し合う習慣が幼稚園にはあったのですが、その際B君はみんなの前で、練習した演奏を披露。「B君はものすごく歌が上手だし、楽しそうなの!」と、わが家の娘もニコニコ報告していました。

ところがひとりの園児・Rちゃんは、そんなB君を「トライアングルなんて楽器じゃないのに、バカみたい」と、毎週しつこく、こきおろしていたそうなのです。

お祖父様がプロのヴァイオリニストだったRちゃんは、3歳の時から同じくヴァイオリンのレッスンを開始したとのこと。

幼稚園の保護者会でも、「ウチの子は未来のヴァイオリニストですから」と、何の脈絡もない場面で、Rちゃんのお母様が発言していた様子が、印象的でした。

親がモンスターペアレントの子に批判された賢い子、理論と証拠で対抗

親がモンスターペアレントの子に批判された賢い子、理論と証拠で対抗。楽器のトライアングル

Rちゃんにバカにされ続けても、B君はくじけません。

理論派のB君は、トライアングルがれっきとした楽器で、オーケストラにも演奏者がいることを図書館で調べ、トライアングルの演奏部分がよく聞こえるクラシックの名曲CDを幼稚園に持参し、全員で試聴することを提案します。

幼稚園の先生もB君の熱心さをほめたたえ、これで一件落着…とはいかず、Rちゃんは引き続き「B君の下手っぴな歌と演奏なんて、人前では発表できないでしょ?私はヴァイオリンの発表会に出るんだから」と、鼻持ちならない批判を繰り返したそうなのです。

見下されてもわが道を行く園児の名案はモンスターペアレントの子に勝る

バカにされてもわが道を行く園児の名案はモンスターペアレントの子に勝る。たくさんの老人と、トライアングル片手に歌う男の子

ここで再び、B君は独特の発想力で、「大好きな歌とトライアングルの演奏を人前で発表する」方法を編み出すことに成功します。

B君のお母様によれば、親が答えを見つけるのではなく、ヒントを与えてB君が考えるお手伝いをしたとのこと。

幼稚園児だったB君が、安全に、かつ定期的に、歌とトライアングルの演奏ができる場所はどこだろう?子どもの演奏を、喜んで聞いてくれる人たちは、誰だろう?と親子間で話し合い、お母様と一緒に向かった老人ホームで早速「実演」交渉したB君。

その結果、週に1回のペースで、午後のおやつの時間に食堂に集まる老人ホーム入居者の前で演奏するというアイデアが認められ、B君は老人ホームの人気者になりました。

さらにB君のご縁で、クリスマスには幼稚園児全員が、この老人ホームで特別合唱コンサートを開いて、大盛況。

職員の方たちも、B君の演奏のおかげでホーム全体に活気が出て、入居者に笑顔が増えたと大喜びだったそうです。

ちなみにB君は、幼稚園を卒園するまで週1のミニコンサートを続け、その後定期的に、幼稚園児が老人ホームで合唱するイベントが、継続されていました。

【実話モンスターペアレント】わが子のためなら学芸会の種目変更が当然

【実話モンスターペアレント】わが子のためなら学芸会の種目変更が当然。ヴァイオリンをつまらなさそうに弾く女の子

B君がきっかけとなった老人ホームでの園児コンサートでも、Rちゃんのヴァイオリンの出番がないことを不服に思ったRちゃんのお母様が、怒り爆発で幼稚園に乗り込んできていた様子を、数人のママ友たちが目撃していました。

「老人ホームとB君とのつながりは、幼稚園の管轄外」というごもっともな先生のご意見。

それに対してRちゃんのお母様は、「では、幼稚園の学芸会では、Rがヴァイオリンの演奏をするシーンを、必ず作ってくださいね」と、何度も幼稚園に足を運び、ご自分の要求をゴリ押ししていたそうです。

お迎え時間より早めに幼稚園に到着して、粘っていたRちゃんのお母様の様子を、園児たちがマネするのが流行ってしまい、親の私たちも、ちょっと対応に困ったほどでした。

【実話モンスターペアレント】ゴリ押し登場の学芸会を個人演奏会に?

【実話モンスターペアレント】ゴリ押し登場の学芸会を個人演奏会に?

さて、学芸会当日のこと。

Rちゃんのご家族の行動は、非常に奇妙でした。

Rちゃんとご両親、そしてプロのヴァイオリニストであるお祖父様が、なんと幼稚園の入り口に立って他の家族を出迎え、「今日はようこそ」と、来客に挨拶していたのです。

幼稚園の先生方も、戸惑いがちに「どうぞご着席ください」などと、Rちゃんファミリーにお声がけしていたのですが、Rちゃんご一家はそんなことなど、どこ吹く風。

ビックリした保護者たちが、「あれ、何?」「ちょっと、どういうこと?」などとヒソヒソ言葉を交わすなか、ともかく全員が着席し、いよいよ学芸会が開幕となりました。

【実話モンスターペアレント】学芸会でもわが子の才能を場違いPR

【実話モンスターペアレント】学芸会でもわが子の才能を場違いPR

舞台上で幼稚園教諭の挨拶が終わり、劇が開始…と思いきや、またしてもRちゃんのお母様が、予想外の行動に出たのです。

すっくと立ち上がったRちゃんのお母様は、プロのヴァイオリニストであるご自分のお父様の経歴を、詳細にわたり述べ始めたので、私たちは「?」。

すかさず幼稚園の先生が、「では今日は、サプライズでプロの方の演奏を聞く機会があるということですか?」と、問いかけたのですが、答えは「NO」。聞いている私たちは、わけがわからず、さらに混乱。

Rちゃんのお母様は、「才能豊かな娘、Rのヴァイオリン演奏は、学芸会という場には似合いません。けれども今日ここにいらっしゃる皆様には、同じ幼稚園のよしみでその機会が恵まれるのです」とコメントした後、ご着席。

同席していた保護者たちは、まさに狐につままれたような思いでした。

【実話モンスターペアレント】親からのプレッシャーに潰れ悲惨な学芸会

【実話モンスターペアレント】親からのプレッシャーに潰れ悲惨な学芸会

幼稚園の先生は、「Rちゃんのヴァイオリン演奏は3分以内とお約束しましたよね。その点はキチンと守っていただけますか?」と全員が見守る中、確認してからいよいよ劇がスタート。

劇の中程で、Rちゃんの場面になったら、舞台上にはRちゃん・お母様・お祖父様の3人が揃って登場したので、数人の保護者からは失笑がもれました。

ところが、Rちゃんはガッチガチで、顔も真っ赤。

お母様が取るタクトに合わせて、Rちゃんが奏でた音は、ヴァイオリンというより、ノコギリを引いたような「ギーコー」という、かすれた音でした。

何度やり直しても、Rちゃんのヴァイオリンから聞こえてくるのは美しい音色からはかけ離れた、耳障りな音。

お母様の叱責と、次第に声が大きくなるお祖父様の指導がエスカレートしたところで、幼稚園の先生が助け船を出しました。

「私なんて、もう60歳過ぎているのに、人前でお話しするだけですごく緊張します。こんなにたくさんの人の前で、ヴァイオリンの演奏にチャレンジするのは、大変な勇気がいりますよね」という優しい言葉に、会場の保護者全員から拍手が湧き上がりました。

すでに涙をポロポロこぼしていたRちゃんは、救われたような表情で幼稚園の先生を見ていたのですが、Rちゃんのお母様はそれでもまだ、目が覚めません。

「なぜいつものようにできないの?!」と母親に罵倒され、しゃくり上げて泣き出したRちゃんの様子に、ついには幼稚園の先生がRちゃんの手を引いて、舞台裏に連れて行くという強硬手段を実行。

舞台を去るRちゃんに追い打ちをかけるように、「こんな状況で、いつも通りの演奏ができないお前は、絶対プロにはなれない!」という暴言をお祖父様が吐いたので、会場にいた私たちは思わず息をのみました。

モンスターペアレンツに潰される子と好きなことから成功体験を得る子

モンスターペアレンツに潰される子と好きなことから成功体験を得る子

悲惨な結果に終わった学芸会の後、ヴァイオリンの練習時間がさらに増えたRちゃんは、他の子どもたちとは一切遊ばないまま幼稚園の卒園を迎えたので、私にはその後のことはわかりません。

明らかだったのは、ヴァイオリン演奏に興味を示していたのはRちゃん本人ではなく、お母様とお祖父様だったこと。

そして、親に引きずられる形で大失敗に終わった学芸会の出来事は、幼いRちゃんの心を、深く傷つけたこと。

プロになれるようなレベルではなくても、「大好きなこと」に夢中で挑み、自分で成功体験を勝ち取ったB君と、あまりにも対照的なRちゃんの悲しい思い出は、苦しそうなヴァイオリンの音とともに、私の記憶に刻まれています。

大人が自分の望みを一方的に押し付けると、子どもの才能はいとも簡単に潰されてしまう、虚しい例のひとつです。

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週末明けの月曜日、「私が週末にしたこと」を幼稚園で発表した娘の発言から、私が先生に呼び出されることになったエピソードは、コチラ↓。

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