【2人目の壁】調査結果とダブる友人たちの子なし決断とわが家の本音

飛び級児成長記

公益財団法人1more Baby 応援団が行った「夫婦の出産意識調査2022」によれば、第二子以降の出産をためらう「2人目の壁」を感じる人は、アンケート回答者(既婚男女2955人)の75.8%。

特に、結婚・出産という人生の大イベント時に、望んでいた子どもの数が減少する傾向があるとのこと。

データが示した「理想の子どもの数が減る理由」は、スイスで暮らす友人たちが子なし人生を決意した理由と、私たち夫婦が誰にも言わずにいた本音とダブっているので、複雑な気分です。

欧州にあるけどスイスは「子育てしにくい国」で日本と背比べ

欧州にあるけどスイスは「子育てしにくい国」で日本と背比べ

「でも、ユキさんはスイス在住だし、ヨーロッパの国は子育て支援が充実しているでしょ?」とお考えになる読者の方も多いのではと思うのですが、実はスイスは「とても子育てがしにくい国」なのです。

スイスは、

  • 「欧州・家族に優しい国」(2019年)ランキング最下位
  • 「子育てしやすい国ランキング」(2020年):スイス22位・日本25位

というデータからもわかるように、ヨーロッパにあっても、子育て家庭には冷たい風が吹き荒れる国。

こんなことで、日本とスイスが肩を並べてどーする(怒)。

この点を踏まえて記事を読んでいただくと、私の友人たちが子なし人生を決意した理由や、わが家が2人目を諦めざるを得なかった背景も、よりハッキリとご理解いただけるのではないかと思います。

いざ、データへ。

【夫婦の出産意識調査2022】公益財団法人1more Baby応援団

【夫婦の出産意識調査2022】公益財団法人1more Baby応援団。仲良しの姉と弟

今回の記事で参照した調査の概要は以下の通りです。

  • 調査対象者:既婚者2955人(女性20〜39歳・男性20〜49歳/全国各都道府県の居住者)
  • 調査方法:インターネット
  • 調査実施時期:2022年4月
参照元:公益財団法人1more Baby応援団

夫婦の出産意識調査2022(更新日2022/06/02)(閲覧日2022/07/21)

日本の少子化問題に取り組む活動をしている公益財団法人1more Baby応援団は、10年前から夫婦の出産意識調査を実施しているそうです。

外部リンク公益財団法人1more Baby応援団

【2人目の壁】って、そもそもどういう意味?

“2人目の壁”は、「必要となる生活費や教育費に関連した家計の見通しや、仕事等の環境、年齢等を考慮し、第2子以後の出産をためらうこと」を指しています。

引用元:公益財団法人1more Baby応援団

【2人目の壁】75.8%が実感:男性68%・女性78.6%

【2人目の壁】75.8%が実感:男性68%・女性78.6%

調査に参加した回答者2955人のうち、トータルで75.8%の人たちが、「2人目の壁」の存在を肯定しています。

データ結果は、「2人目の壁」の存在について、男女間で認識度の差があることを顕著にしています。

「2人目の壁は存在すると思う」 男性68%・女性78.6%

この結果が示す男女差は、学術的に発言すると、「非常に興味深い内容」。私自身の体験に基づいた本音ですと、「当然よ。そんなこと、調査しなくてもわかっていたけど?!」となります。

子育ての重圧はやはり、女性の肩にずっしりとのしかかりますからね。

【2人目の壁】理想の子どもの数は結婚と出産時に減少する

【2人目の壁】理想の子どもの数は結婚と出産時に減少する

「理想の子どもの数」は、調査がスタートした2013年以降減少の傾向にあって、2022年度の結果では1.91人。

そして、「理想の子どもの数」が、人生の途中で「減った」と回答した人たちが、28.9%。

調査ではさらに、「理想の子どもの数」が減るタイミングは、「結婚」と「出産」という、人生の大イベントだと言及しています。

【2人目の壁】結婚して理想の子どもの数が減る理由No.1:収入

【2人目の壁】結婚して理想の子どもの数が減る理由No.1:収入
引用元:公益財団法人1more Baby応援団 <夫婦の出産意識調査2022>

結婚時に「理想の子どもの数」が減る主な理由は、収入面。

  • 収入が低い:37.7%
  • 収入が上がる見込みがない:33.4%
  • 周囲の子育て体験から感じる、金銭的な負担:25.2%

【2人目の壁】所得制限上限額は少子化狙いのためなのか?

【2人目の壁】所得制限上限額は少子化狙いのためなのか?

特に3点目ですが、児童手当制度の変更に伴い、2022年10月の給付分から所得制限上限額が設けられたとのこと。

これではますます、少子化に拍車がかかるのではないかしら…と気になり、所得制限について調べてみましたら、非常に興味深い記事とツイートを発見。問題の深刻さに衝撃を受けました。

内容を詳しく知りたい方のために、以下にリンクを貼っておきます。

外部リンク経理・記帳代行サポートオフィス <【所得制限】子育て世代の所得制限を知ろう> 投稿者:営業部の越尾さん

【2人目どころかひとり目の壁】私の育児体験から子なしを決意した仲間たち

【2人目どころかひとり目の壁】私の育児体験から子なしを決意した仲間たち

再び上記の3点目、「周囲の子育て体験から金銭的な負担を実感し、理想の子どもの数が減る」という結果は、残念ながら私の大学院での友人たちに当てはまること。

私がスイスの大学院の研究室で一緒だった仲間たちは、博士課程が終わる頃には、30代半ばのお年頃。

当然、「子どもを持つならそろそろ決断しなきゃ」という人生のステージにいた彼女たちは、仲間内で最年長・唯一子持ちだった私に、子育てのメリット・デメリットを、質問してくることが多々ありました。

子なしを決意したスイス人の友人たち:足枷は高額な保育料

子なしを決意したスイス人の友人たち:足枷は高額な保育料

「ところでユキは、保育料どのくらい払ってる?」と、明るい笑顔でたずねてきた仲間たちは皆、私の回答で開いた口が塞がらない状態になりました。

なぜかって?

経済協力機構(OECD)によれば、スイスで子どもをフルタイムで保育施設に預けると、保育料は平均して親の所得の3分の2に相当する。

引用元:SWI <「保育園が私たちの首を絞めている」リーゼン三保子さん>(更新日2017/10/02)(閲覧日2022/07/21)

保育料は、居住地と子どもの年齢により多少の差があるのですが、例えば私が潜伏しているベルン州の都市部では、フルタイム保育を利用すると月額2200〜3200スイスフラン。日本円に換算すると、約32万円〜46万円の保育料が、毎月必要になります。

書き間違いではありません。毎月です。

わが家でも毎月月末、保育園から請求書が届くたびに、自分を「無の境地」に追いやらないと、やっていけない気分でした。

私の体験談から、お金がすっ飛んでいくスイスの子育て事情に愕然としたお年頃の臨床心理学者が何人も、「子なし人生」を歩むことに決めた様子は、傍から見ても辛いものでした。

例外なく、真面目な努力家の彼女たちは、子どもの心身が成長過程で必要とするものについて「専門家」としての知識を備えた人たち。

必死に生きている彼女たちが、金銭面での負担(親御さんからの子育てサポートが得られない・奨学金返済など)から「子どもを産む/産まない」の決断と、ときにはパートナーとのお別れを体験していた姿は、あまりにも悲しすぎました。

こんな理不尽なことって、ありません。

子どもを産みたいかどうかの決断には、当事者の意見が反映されるべきであって、環境や条件の影響力が本人の意見よりも強いことはあってはならないと、私は思うのです。

もっとも、実際に子どもに恵まれるかどうかは、神のみぞ知ることですが。

【2人目の壁】出産して理想の子どもの数が減る理由No.1:体力

【2人目の壁】出産して理想の子どもの数が減る理由No.1:体力
引用元:公益財団法人1more Baby応援団 <夫婦の出産意識調査2022>

「理想の子どもの数」が、出産を経て減少した理由のトップ5は、裏を返せば「親の役目をキチンと意識しているご家庭が、子どもを大切に思うからこそ『2人目の壁』にぶつかる理由」だと、私は考えます。

最も多かった回答である体力的な問題(42.7%)も含めて、「親として、子どもを幸せにすることができるだろうか?」という問いに真剣に向き合った結果、それぞれのご家庭で「親としての責任を全うするために、子どもを増やさない」という結論に至ったのではないでしょうか。

もちろん、同様の考え方で、初めからあえて「子どもを持たない」結論に到達する人も多いのでは。そのような友人・知人が多い、私の個人的な意見ですが。

ご自分たちの子育て環境を検討した結果、複数のお子さんを育てる決意をなさった方々への批判でありませんので、どうぞ誤解のないように。

【2人目の壁】わが家は出産後に「子どもはひとり」と決定

【2人目の壁】わが家は出産後に「子どもはひとり」と決定

別記事で何度か記したのですが、切迫流産の危険性があった私は、4ヶ月目まで絶対安静で妊娠初期を過ごしました。

ベッドに寝たきり、歩行も禁止されていたので、2人目の時にも、もし同じように絶対安静が必要な状況になったら、第1子である娘のお世話ができないことは、確実。

夫だけでは完全なサポートは無理ですし、私の両親はすでに他界、義両親は自分たちの生活しか眼中にないタイプですから、頼りになるのは、第3者のみ。

しかしシッターさんと保育園探しも超難航、見つかったとしても当然ながら、フルサポートはあり得ないのが、私たちが直面した現実でした。

第2の故郷となるスイスで、紙を食むヤギのようにドイツ語辞書と心理学の専門書に食らいつき、なんとか作りかけだった自分のキャリアを守るためには、第2子は諦める道しかなかったのが、わが家の内情です。

2人目の壁で挫折した私の子育ての知恵を活用して幸せになってほしい

2人目の壁で挫折した私の子育ての知恵を活用して幸せになってほしい

以上のような理由で、わが家ではあいにくと2人目を諦める結果となりましたが、その分、このブログを通じて、少しでも多くの方に、お子さんが得意で夢中になれることを発見し、幸せな人生を歩むためのヒントを分かち合って頂きたいと、私は願っています。

親がどんなに愛情を持っていても、子どもが持って生まれた才能と、親が子どもに望む才能が一致しない場合、または親がサポートの仕方を誤ってしまう場合、残念ながらお子さんの才能が開花しないまま、悲しい人生を歩むケースがしばしば発生します。

よろしければ、コチラ↓の記事もご覧くださいね。

明石市・泉市長の政策は子育て家庭への福の神/国会審議で落涙する私

参議院・内閣委員会の国会審議を視聴して、私が涙する日が訪れるとは、思ってもみませんでした。

2022年6月7日、参考人として明石市が実践している子育て支援政策を、まさに熱弁した泉房穂市長。

これは、単なる政策の熱弁ではなく、泉市長が掲げる人生の課題なのではと、感じ入りました。

すべての子どもたちにサービスを提供するため、親の所得制限はなしという定義のもと、【明石独自の5つの無料化】が実践されているそうです。

【明石独自の5つの無料化】理想的な子育て支援政策は親の所得制限なし

【明石独自の5つの無料化】理想的な子育て支援政策は親の所得制限なし

【明石独自の5つの無料化】

  • 子ども医療費を高校3年生まで無料化
  • 第2子以降の保育料の完全無料化
  • 0歳児の見守り訪問「おむつ定期便」
  • 中学校の給食費が無料
  • 公共施設の入場料無料化

その他にも、子育てと仕事の両立にとって欠かせない病児保育施設・幼稚園での給食制度・「こども食堂」などのサポートもあるとのこと。

現行の政策に加え、子育ての充実を図る政策は、次々に導入されているようです。

出産率の増加・人口増加・市全体の経済活性化が進んでいる明石は海と緑の豊富な環境で、病院施設も充実している「ええとこ」の魅力が炸裂。

もしわが家があの当時、明石市に住居を構えていたなら、きっと第2子・第3子を迎え入れる家族計画が可能だったはず…と、ちょっとおセンチな気分になります。

けれども、充実した子育て支援のある環境で、お若い世代の方々が心置きなく育児に向き合えるのは、本当に素晴らしいこと。

成功を収めている明石市の子育て政策が、日本中・世界中に広がり、子どもが伸び伸びと成長できる環境が増えることを、心から願っています。

関連サイト
明石市 笑顔のタネあかし <こんなに充実!明石の子育て>
法務省 <明石市市政ガイド2021>

スイスの子育て環境ランキングに関するデータの参照サイト>

SWI <スイス、「家族に優しい国」欧州最下位ユニセフ調査>(更新日2019/06/19)(閲覧日2022/07/21)

Asher & Lyric <The Best Countries to Raise a Family in 2020>(閲覧日2022/07/21)

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