スイスでナンパされてベビーシッター決定【世の中捨てたもんじゃない】

スイスライフ

優しいご近所さんの協力を得て、ベビーシッターが見つかったと安心したのも束の間、再びふりだしに戻った私。途方に暮れ、人間性善説なんて嘘っぱち、と思い始めた私を救ってくれたのは、予想さえしていなかった他人の優しさでした。

今回の話は、コチラの記事の続編です。

保育園とシッター探しが未解決。スイスが真っ暗闇に見えた私

保育園とシッター探しが未解決。スイスが真っ暗闇に見えた私

私の人種がテーマとなり、一度結んだベビーシッター契約が反故されてからというもの、私の心の中は大しけの海状態。

直接交流があったわけではない、見ず知らずの人から人種を理由に差別される体験は、さすがにこたえました。

けれども、私はこう考えました。

「私は、母になったのだ。ここで挫けていて、どうする」

スイスに住むからには、隔離された日本人社会の中だけではなく、「本当のスイス社会」で生きていこうと決意したからこそ、ドイツ語をゼロから学んで、アラサーから大学に進学した私。

大学でスイス人社会に溶け込めたおかげで、想像を絶する辛い体験もあったけれど、それ以上に心温まる体験にも恵まれたではないか。

そして、「陰気な人や場所には、誰も寄り付きたくない。だから辛いときには自分自身を奮い立たせるつもりで身なりを整え、明るく、笑顔で過ごすのよ!」という祖母の名言が、私の頭の中にチラつくようになったのです。

おばあちゃま、ごめんなさい…。もしかして私、天国での安眠を妨害している?

・・・などと、自問自答する日々が続き、とりあえず私が心がけたことは、

  • それでも毎日、散歩に出かける(全天候)
  • 散歩途中で出会うご近所さんには、以前と同じように明るくご挨拶をする

というふたつのこと。

さすがに、ご近所さんと楽しくおしゃべりできるほど、あっけらかんとはできなかったので、無理していい人ぶらないようにしました。

どんな場合でも、無理は禁物。ストレスは、心のエネルギーを消耗する原因ですからね。

私への人種差別を耳にしたご近所さんの優しさが目に沁みる【スイスの素顔】

私への人種差別を耳にしたご近所さんの優しさが目に沁みる【スイスの素顔】。笑顔で挨拶・花束・蜂蜜の贈り物の画。

人種差別によるベビーシッター契約反故が発生してからというもの、お散歩途中で出会うご近所さんたちから、思いがけない反応がありました。

私にはいくつかの定番お散歩コースがあったのですが、私と娘の姿を見かけると、わざわざ窓を開けて笑顔で声をかけてくださる方・お庭に咲く花で花束を作ってプレゼントしてくださる方・自家製の蜂蜜を手渡してくださる方…。

長年培った「永世中立国」の伝統なのかもしれませんが、スイス人は、あからさまに他人への批判を口にすることを避けます。

ですから、私の体験についてどなたも「お話を聞いたの。ひどいわね…」などとはおっしゃらなかったのですが、たくさんの方の好意が、手に取るように伝わってきました。

沿道の方々から、笑顔で声をかけられる私は、すっかりマラソンランナーの気分(笑)。

ご近所さんの好意をポジティブ・エネルギーに転換して、「どこの国にも、いい人も嫌な人もいる。嫌なエネルギーに引きずられることなく、幸せなエネルギーに焦点を当てなければ」と、お散歩に行くたび、自分自身に暗示をかける毎日でした。

犬の散歩で顔見知りのマダム、「私がシッターになる」と突如ナンパ

犬の散歩で顔見知りのマダム、「私がシッターになる」と突如ナンパ【スイスでシッター探し】

さて、そんなある日のこと。

お散歩で数回ご挨拶していた犬連れのマダムに、森の散歩道で出会い、呼び止められました。

当時私が住んでいた町は、与論島くらいのサイズと人口で、見た目から外国人とわかる住人は、私を含んでふたりだけという、ローカルな環境。

そんなわけで、「赤ちゃんのベビーシッターを探しているアジア人」と言えば、私だろうと見当をつけたマダムは突如、「もしよければ、私があなたの赤ちゃんのシッター役を引き受けるわ!」と、前置きゼロで私に話しかけてきたのです。

スイスの森の中で、シッター候補に名乗り出るマダムに突如ナンパされる日本人は、後にも先にも私だけかもしれません(笑)。超レア体験です。

犬連れマダムのIさんは、お隣のファミリーから私のシッター契約ゴタゴタ事件を耳にして、大変憤慨されたとか。Iさんご自身も、ご主人の仕事の都合により長期間海外で育児に奮闘していた経験があるので、「私でよければ、あなたに協力するわ」というお話でした。

ちなみに、Iさんはドイツ人です。自分の意見をはっきり表明することを避けるスイス人とは違い、ストレートでズバズバした物言いは、典型的なドイツ人気質として、スイスでは知られています。

ようやくシッターが決定して、ハッピーエンド?/次の荒波が待っていた

ようやくシッターが決定して、ハッピーエンド?/次の荒波が待っていた【スイスでシッター探し】

Iさんは本当に子ども好きで、アクティブだけど細やかに気がつく性格の方。ベビーシッターとしては、理想以上の素晴らしい人でした。

Iさんがお迎えに来てくださると、娘はとてもはしゃいで満面の笑顔。

けれども、思いがけない荒波が再び、私を待っていたのです。

それは、Iさんの息子さんが、1歳児の子連れシングルママとお付き合いを始めたこと。1歳児の実父はシンママさんの前夫ですが、さまざまな事情からこの1歳児に法定上の未成年後見人が必要となり、なんとIさんとご主人のHさんが、息子さんに頼まれて後見人を引き受けることになったのです。

Iさんの息子さん・パートナーのシンママさん、そして連れ子の1歳児は、当面の間Iさんとご主人のHさんの家で同居する展開となり、Iさんはシンママさんの代わりに100%養育を担当すると、正式に取り決められました。

Iさんご夫妻にとっても、降って湧いたような大変難しい家族間の問題であったため、私の娘のお世話を引き続きお願いできるような状況では、なくなってしまったのです。

私はまたもやふりだしから、スイスでの保育園/ベビーシッター探しを開始する事態になりました。

〜つづく〜

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