【夢破れても】バレリーナからミュージカル女優へ〜未来に幸あれ

スイスライフ

子どものころからの夢は「バレリーナ」。でも、バレエ団へのオーディションで「体型が不向き」と告げられ、夢が破れた娘の友人。

それでも挫けずに前進し、ミュージカル演劇学校への特待生入学許可を得た彼女が、キャスティングを勝ち抜いて踏む初舞台を見るために、娘は今週末、ドイツのハンブルクを訪れています。

夢に向かって歩む人を見ると、心が弾みます♪

バレリーナになる夢を引き裂く「生まれつき不向きな体型」宣言

バレリーナになる夢を引き裂く「生まれつき不向きな体型」宣言。踊るバレリーナ

幼いころから、バレリーナになることを目指していたNちゃんは、娘の高校時代からのお友だち。

ふたりは別のバレエ教室の生徒でしたが、共にバレエに傾倒する生活をしていたことから意気投合して、友情を育んできた仲。

プロのバレリーナになるため、Nちゃんは14歳ころから、スイス・フランス・ドイツにあるバレエ団のテストを受けていました。

テストに合格すれば、バレエ団に所属する養成学校に3年ほど通い、その後バレエ団のメンバーとしてプロデビューできるのです。

毎回、最終予選まで残れるものの、Nちゃんがバレエ団の養成メンバーに選ばれることは、ありませんでした。

ギムナジウム4年目(最終学年)の年、Nちゃんはすでに18歳。プロになるなら最後のチャンス、と望みをかけて受験したドイツのバレエ団の先生が、不合格になったNちゃんに告げたのは、悲しい宣告でした。

「あなたの技術は素晴らしい。だけど、生まれつきの体型がプロのバレリーナには不向き。どのバレエ団のテストを受けても、合格の可能性はないと思うから、別の進路を探すべき」と、Nちゃんは面と向かって告げられたのです。

体型のためにバレリーナの夢を断念。でも心の救いはやはり踊ること

体型のためにバレリーナの夢を断念。でも心の救いはやはり踊ること。悩みながら踊るバレリーナ

Nちゃんは、世間の基準から見ると、痩せ型。

でも、娘のお教室からバレエ団に合格した少女たちと比べると、Nちゃんのプロポーションが典型的なバレリーナ体型とは違うことは、素人目にも明らかです。

・・・けれども、18歳という自分の容姿に特に敏感な時期に、体型が不向きだから、夢は叶わないと宣告されるなんて、残酷すぎますよね。

よそのご家庭のお嬢さんだけれど、Nちゃんが立ち直れるだろうか、と私も心配でたまらない気持ちでした。

ご両親は、「進路を決めるのに、焦ることはない。とりあえずリラックス」とNちゃんをサポート。そして、「プロのバレリーナになれなくても、踊ることが大好きなら、続ければいい」とNちゃんを励ましたのです。

ご両親に勇気づけられたNちゃんは、チューリッヒで開催されたモダンダンスのワークショップに参加するのですが、そこで思いもよらない運命の出会いがあったのです。

ダンスの才能がスカウトされミュージカル演劇学校の特待生に

ダンスの才能がスカウトされミュージカル演劇学校の特待生に。練習中のダンサー

Nちゃんの才能は、ワークショップの開催者であるハンブルクのミュージカル演劇学校の先生たちの目に留まります。

バレリーナになる予定で、ギムナジウムで芸術科を専攻していたNちゃんが、すでに授業の一環として声楽のレッスンを受けていたことも、まさに運命の巡り合わせ。

歌と踊りの才能があるNちゃんは、その場でスカウトされ、すでに通常の受験日は過ぎていたというのに、特例でハンブルクに招待され、なんと特待生としての入学が決定したのです。

あまりにも話がとんとん拍子に進んだので、「もしや何かの詐欺では?」とNちゃんもご両親も疑心暗鬼だったのが、頷けるほど。

実はハンブルクは、ニューヨークとロンドンに並ぶミュージカルのメッカ。Nちゃんがスカウトされた学校も、とても人気のあるミュージカル演劇学校だと判明したのです。

挫けずに前進した友人の初舞台を鑑賞するために飛行機でひとっ飛び

それでも、Nちゃんの気持ちはミュージカル演劇学校に入学する直前まで、とても揺れていました。

「やっぱり、どうしてもバレリーナになりたい。だけど…」と悩んだNちゃんは、ハンブルクに旅立つ数日前まで、ウチの娘とも長時間話し込んだりしていました。

けれども気持ちを切り替えて前進したNちゃんが、演劇学校のアニバーサリー記念ミュージカルで、キャステイングを勝ち抜いて初舞台を踏むことに!

新入生なのに、異例の抜擢だそうで、娘から聞いた私も大喜び。

「よくぞあのとき挫けずに、頑張った…。よかった」と私が涙していたら、娘が突然、「ところで私、ハンブルク行きの飛行機もう予約したの。Nちゃんの初舞台、どうしても見たいから」というので、ビックリ。

「金曜の夜から月曜の早朝で、大学の授業には支障が出ないから。Nちゃんの部屋に泊まれるし」と娘は私を諭すように言うのです。

「大切なお友だちの成功を祝うために、飛行機に乗ってひとっ飛びなんて、あなたオシャレな贅沢するじゃないの。そんな素敵なアイデアを持てたあなたを、誇りに思うわ」と、答えた私。

チャレンジする分野は違えど、お互いの成功を喜び、心が傷ついたときには支え合い、夢に向かって進んで行くNちゃんと娘の様子を見ると、私の心が弾みます♪

ミュージカルのオーディションも競争が激しい世界として有名ですが、Nちゃんを応援せずにはいられない。ミュージカル演劇学校を3年後には卒業するNちゃんが、晴れて大舞台に初登場する暁には、親子で彼女の舞台鑑賞に行く約束を、今から交わしています。

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