【体験記】スイスの学校での英語教育カリキュラム

【体験記】スイスの学校での英語教育カリキュラム スイスライフ

公用語が4つもあるスイスの学校では、一体どのように英語やその他の語学教育が行われているのか、住んでみないと謎だらけ。
スイス育ちの娘が体験した「スイス流・使える語学の学び方」のレポートです。

スイスの高校生が卒業時/大学入学資格取得時に到達する語学レベル

私たちが住んでいるスイス・ベルン州の教育委員会が公式に発表している文書によると、

スイスの高校生が大学入学資格を得る際に(ギムナジウム卒業時)到達する語学のレベルは
B2/C1

ドイツ語圏にある高校に通う学生の場合、通常の必須科目は英語とフランス語です。

ギムナジウムは、一般の生徒は4年制、特待生として進学する生徒は小学校卒業後6年制で通う高等学校のことです。

英語のB2/C1レベルの説明。文部省の資料
引用資料各資格・検定試験とCEFRとの対照表ー文部科学省の表をもとに、サイト運営者が作成

B2/C1のレベルの内容が、文部科学省の資料で以下のように説明されています。

C1レベル:

  • 高度な内容の長文を理解し、意味を把握できる
  • 流暢に自己表現できる
  • 社会生活・学問・職業で言葉を効果的に操ることが可能

B2レベル:

  • 自分の専門分野での議論ができる
  • 複雑な文章の主要テーマをつかめる
  • ネイティブとの普通のやりとりが可能

高校卒業時に英語・フランス語でB2/C1レベルを身につけるために、スイスのドイツ語圏にある小学校ではどのような語学教育が行われているのかを、わが家の娘が実際に体験したカリキュラムをもとにレポートしますね。

【体験記】スイスの小学校で娘が受けた英語/語学教育カリキュラム

わが家の娘が通った小学校での英語教育/語学教育【スイス・ベルン州のドイツ語圏】
  • 小学1年
    週2回の英語授業がスタート
    • 先生は英語が母国語
    • 授業中は英語以外の言語使用禁止
    • 重点は「聞いて話す」英語
    • ナマの英語でビデオ鑑賞・歌のテキスト練習
    • 生活用語のボキャブラリー中心
  • 小学4年
    英語の本格的な文法はここでスタート
  • 小学5年
    フランス語の授業がスタート

娘は上記のカリキュラムで語学教育を受けたのですが、彼女の母校(私立学校)では現在、英語・フランス語ともに小学校1年生の時から同等のカリキュラムで語学教育をスタートする方針に変更しています。

同校の卒業生たちが、大学入学資格を取得するまでに到達した英語レベルがフランス語より明らかに優れていたため、英語・フランス語の同時導入に踏み切ったそうです(← 確か6年くらい前のこと)。

当初は学校側も「フランス語も英語と同時にスタートするのは、ちょっと多すぎる?」と心配していました。

でも、生徒たちの語学力がめざましく伸びていること(学校側が検定テスト用の準備も授業でサポート)、そして何より子どもたちが楽しみながら新しい言語を習得しているため、小学校1年生の時からの語学早期教育が定着したようです。


私立の学校だけではなく、スイスでは国をあげて早期語学教育に力を入れています。

ベルン州の公立小学校では、現在以下のような↓語学カリキュラムが導入されています。

  • ドイツ語圏にある学校では、3年生の時からフランス語
  • フランス語圏にある学校では、3年生の時からドイツ語
  • 英語教育は5年生から(ドイツ語圏・フランス語圏共通)

*ベルン州にはドイツ語・フランス語圏の両方の地域が存在します。

スイスで早期語学教育が成功する3つの理由【私の感想】

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ちなみに、わが家の娘の語学レベルは,

  • 英語:ケンブリッジ英語検定 C2 Proficiency
  • フランス語:C1

娘は16歳の時に、C2 Proficiencyを最上級のAレベルで取得したので、ネイティブレベルで英語を使いこなせます。親の目からしても羨ましすぎる。


「なぜこんなにもカンタンに新しい言語を習うことができるワケ?」と、不思議にすら思うスイス人たちの言語能力。

スイス人が「使える言語」を身につける成功のヒケツは、以下のの3点がカギだと、私は思います。

  • まずナマの言葉を耳から学んで口からリピート
  • 聞き取りと会話で必要なことがコミュニケーションできるようになってから、文法を習う
  • ずっと「原語」で言葉に触れ続ける(翻訳なし)

【エピソード】英語を習い始めて2年目の娘、イギリス人と自由に会話

バレエ教室で友人と英語で会話する娘

「スイスの早期英語教育、スゴイ100じゃない?!」と私が感嘆した娘のエピソードを最後にひとつ。

クラシックバレエのレッスン終了時、娘のお迎えに行った私を待ち受けていたのは、いつものようにおともだちとキャッキャッとはしゃいでおしゃべりに夢中な娘。
母の私がバレエスタジオに到着したことに気づいてもいない(笑)。

すると、ひとりのママさんに満面の笑顔で話しかけられました。

お話を伺うと、このママさん御一家はイギリスの方。当時スイスへ引っ越してきたばかりでした。

「まだ慣れない環境でしょげていた娘が、『バレエスタジオでお友だちができた!』って、スイスにきてから初めて笑顔を見せたのは、あなたのお嬢さんのおかげ。大好きなバレエのスタジオで、英語でおしゃべりできるお友だちができたって大喜びで、娘は家でもサリーちゃんの話ばっかりなの」
とお礼を言われた私は驚愕。

「…あの、ウチの娘は、おたくのお嬢さんと英語で話しているんですか?」と私が聞き返したので、今度はこのママさんが驚き、私に何か質問しようとした途端、私たちの背後に英語ベラベ〜ラではしゃぐ娘たちが「お待たせ!」と元気よく登場。

娘が英語で、しかもネイティブの人たちと自然に話すところを初めて見た私は、本当にビックリしました。

このママさんは英語・ドイツ語・フランス語の翻訳者の方で、私の娘の英語の使い方を聞いて「この子はイギリスに住んでいたに違いない」と確信されていたそう(娘の英語の先生はイギリス出身)。

帰り道、

あなたの英語が上手だから、ママは腰が抜けるほどビックリしちゃった。

だって、もう2年間も毎週英語の授業受けてるんだもん!

と不思議そうに、さらりと答えるではありませんか。

娘よ、外国語習得がそんなに楽なら、母の私はこんなに苦労しなかったんだぜぃ。

以上、「スイス流・使える語学を生む学校での早期語学教育」のレポートでした。

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