【スイスで保育園探し】ありえない入園順番待ち番号に、絶句。

スイスライフ

赤十字発祥の地であるスイスは、社会保障制度の整った国として、名高い国のひとつ。

だから保育園は簡単に見つかるはず、とお気楽に考えていた私が、娘の誕生目前に直面したのは、ワーキングママにとってキビシイ現実でした。

切迫流産のおそれで4ヶ月自宅安静・縁起かつぎであえて保育園申請パス

子どもが元気に誕生するまで、保育園の申し込みをするべきではない、と考えていた私。

実は私は妊娠4ヶ月過ぎるまで、切迫流産のおそれがあるために自宅安静・外出/家事禁止、病院への通院以外はほぼベッドの上という生活を送っていました。

そのような状況で、誕生後の計画(例えば、保育園への申し込み)を先走ってすると、縁起が悪いかも…と古風な気持ちが湧き上がり、「社会保障制度が整っていることで、世界でも有名なスイスだもの。とにかく元気に生まれてくれさえしたら、他のことはなんとかなるでしょ」と思っていたのです。

【スイスで保育園探し】空き枠のために一家で引っ越した同期からの忠告

保育園の庭にたくさんの遊具

幸い切迫流産の危機が去り、再び大学院に復帰した私は偶然、学士時代の同期にフルブールの街で出会いました。

同期のSちゃんは、いったん中学校の先生として働き出してから、大学に再入学して心理学を学んだ人。学士課程の単位をすべて取得したのち第一子を出産したSちゃんは、しばらくの間子育てに専念するために休学中でした。

安定期に入るまで、私は誰にも妊娠の連絡を入れなかったので、Sちゃんはこの時点で初めて、私もママになること知りました。

それなのに会った途端、社交辞令をすっ飛ばしてSちゃんが口にしたのは、「ユキ、この足ですぐに大学附属の保育園に入園希望の申請をしてらっしゃい。なんなら私、申し込み事務所まで一緒に行くから」というセリフ。

Sちゃんの緊迫した雰囲気に、私が驚いていたら、彼女の話を聞いてさらにびっくり。
1歳児枠で唯一空きが見つかった大学附属の保育園に子どもを入園させるため、Sちゃんファミリーはルツェルン(ドイツ語圏)からフリブール(フランス語圏)に、一家で引っ越したというのです。

引っ越しに伴い、ご主人は転職を試みますが、ドイツ人のご主人がキャリアはあるもののフランス語ができないために再就職先が見つからない。

そこで、中学教師としてすぐに仕事が見つかったSちゃんが当面は稼ぎ頭となり、ご主人は主夫として育児と家事にあたりながら、フランス語の習得中だというのです。

(注:ルツェルンとフリブールは電車で1時間30分ほど離れているため、スイスの感覚では通勤圏からは外れます)

【スイスで保育園探し】手当たり次第電話するも全滅。でも私は強運(のはず)

カラフルな12個の受話器がぶら下がる

お腹の中にいる娘の成長に専念し、誕生後の保育計画など白紙だった私。さすがに慌てて、Sちゃんとの出会いの後、すぐに居住地・ベルンの保育園に片っ端から電話をしました。

「入園希望で…」と話し出した私を、保育園で電話に対応した人たちは全員、すぐに遮ってきました。戻ってくるのは「再来年まで予約でいっぱいなので、順番待ちも受け付けていません」というワンパターンの返事。

自宅からどんどん距離を広げても、状況は同じ。

呆然としながらも、一番自宅から近く、ずっと話し中だった保育園に再び電話。
すると、「は〜い、入園ご希望の方ですね?では、入園ご希望のお子さまの情報を登録しますから」と、信じられない返事が!

もう私、受話器を握りしめてガッツポーズですよ。
サッカーの延長時間でゴールを決めた選手みたいに、胸の前で十字を切り、両手を合わせて最敬礼と、思いつくすべての神様・仏様に心からお礼を申し上げたのです。

【スイス保育園順番待ち】誕生前の娘の入園可能時期、70年後。唖然

誕生前の娘の保育園入園可能時期、70年後と判明。唖然

「お待たせしました〜」と受話器の向こうから聞こえてくる女性の声まで、まるで天使の歌声。

いくつかのQ&Aを繰り返し、データを登録した女性は「ではお子さんは、149の入園待ち番号で登録が完了しました」と爽やかに告げてきたのです。でも、なによコレ。

「149ですか?」とたずねる私に女性は、「は〜い、1・4・9でまちがいありません」。

「149って、単なる番号ですか?それとも…」

「ええ、149人目ということです。2歳以下のお子さん枠は、人気があるので」

「どのくらいのテンポで空き枠が出るんですか?」

「そうですねぇ、毎年2人くらいかな?」

って、どーいうこと?!じゃあ、ウチの娘が入園できるのは、70年後??

私の頭が単純計算さえできなくなったと信じたかったのだけど、この暗算、当たっていました。

ムダだとわかっている個人情報の登録を、なぜ先に済ませるのか、問いただした私に電話口の女性は、「誤解を招く行為は私たちも避けたいのですが、園長がどうしてもこの方針を譲らないんです。期待させて、ごめんなさいね」とのこと。

ヒドイ、ひどすぎる。一度大喜びしただけに、ガッカリ感が数十倍増し。
70年後じゃ、保育園ではなく、むしろ老人ホームの方がメインテーマでしょうに。

こんな失望感、最高級チョコレートを一箱平らげても、埋まらない。

そして私の「別の解決法探し」が始まったのです。

〜つづく〜

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