『国立天文台教授がおどろいたヤバい科学者図鑑』は、有名な科学者たちの「スゴくてヤバい」人間臭さを面白おかしく紹介し、子どもの科学への好奇心をかき立てる本。
大人が読んでも興味深くて、「へー」「ホー」を連発しながら、読みました(笑)。私の知らないことばかりだったので。
小学生向きの知育本として超オススメです!
『ヤバい科学者図鑑』著者・本間希樹さんのプロフィール
- 1971年、アメリカ合衆国テキサス州生まれ、横浜育ち
- 東京大学大学院理学系研究科天文学専攻、理学博士
- 国立天文台水沢VLBI観測所所長
- 2019年・2022年 巨大なブラックホールの撮影に成功
- ブラックホールの謎を引き続き解明中
ところで、VLBIとは何の略語なのでしょうか? 気になったので、調べてみました。
観測手法(VLBI)
望遠鏡の解像度は観測波長が短いほど、口径が大きいほど向上します。VLBI (Very Long Baseline Interferometer; 超長基線電波干渉計)とは、地球各地に存在する複数の電波望遠鏡を繋ぐことで、望遠鏡同士の間隔(基線長)と等価な口径を持つ巨大電波望遠鏡を仮想的に形成する技術です。
引用元:Event Horizon Telescope Japan <研究目的と手法>(閲覧日2023/02/04)
本間希樹さんが代表者を務める国際プロジェクト「EHT-Japan (イベント・ホライズン・テレスコープ・ジャパン) 」公式サイトへのリンクは、コチラ↓です。
外部リンク:Event Horizon Telescope Japan(サイト記事は日本語です)
『国立天文台教授がおどろいたヤバい科学者図鑑』のメインテーマ
- 宇宙の研究で偉業を成し遂げた科学者たちの「スゴくてヤバい」人間臭さを紹介
- 「人々の好奇心・失敗・発見の積み重ねで進歩する科学」の実情を、子どもの知識欲を上手くそそる形で解説
『国立天文台教授がおどろいたヤバい科学者図鑑』は、古代・近代・現代に活躍した外国の科学者32人と、日本の天文学者7人のスゴくてヤバい一面を知ることができる本。
各科学者ごとに、
- スゴい:その科学者が研究したテーマの主要点
- ヤバい:スゴすぎる主張・発見のために科学者が直面した困難
の2つの面が、紹介されています。
とっつきにくい外国人科学者たちの名前に隠された「スゴい」研究成果と、時代の先駆者だった偉人たちがそのスゴさゆえに「ヤバい」とみなされて苦労した体験談などが、おしゃべりの延長的なわかりやすい言葉で綴られているので、専門的な内容でも、スラスラ頭に入ります。
『ヤバい科学者図鑑』は子どもの天才を伸ばす栄養素でいっぱいの本
研究が進歩した現代では、あたりまえの事実として受け止められているテーマは、いつ・誰が・何をきっかけに主張し、どのように証明されたのか?という情報が、子どもの好奇心をそそる形で巧みに記されているので、『国立天文台教授がおどろいたヤバい科学者図鑑』は、子どもたちの探究心に火をつけることまちがいなし!
宇宙に関するテーマに関心のあるお子さんだけではなく、知的好奇心が旺盛なお子さんに、最適な本です。
本に登場した科学者たちの個々の研究内容を、掘り下げて調べるきっかけにもなる本だと思います。
『国立天文台教授がおどろいたヤバい科学者図鑑』私の読書感想
「この本は、子ども向きに執筆された上質な科学入門書である」という印象を、私は受けました。
著者の本間希樹さんは、科学論文と同じように一言もムダのない、明確でメリハリのある文章を操ることに長けていらっしゃるので、私は読書中、「へー、知らなかった」「ホー、そうなんだ…」を連発。
つい面白くて、一気読みしてしまいました。良い脳活になったなら、イイな(笑)。
あいにくと、今の世の中は「子どもの失敗を許さない」変な方向に固まりすぎている残念な展開となっていますが、『国立天文台教授がおどろいたヤバい科学者図鑑』に登場する科学者たちの「ヤバい」一面を知ることにより、さまざまな偉業は「失敗経験のおかげで成功に結びついた」という事実を再確認できる点も、本書の魅力。
時には、生涯でその偉業が認められることなく、後に別の科学者により達成された研究成果があることも知ると、ホロリとしてしまいました(アラカンの私は、涙もろい)。
また、どんなに些細な疑問でも、愚問ではなく、自分の好奇心から生まれた「なぜ?」を突き詰めることが、科学発展の源であると、実際にブラックホールの撮影に成功した著者の言葉から知ることは、説得力満点。
「子どもの頭が賢くなるような本が欲しい!」とご所望の親御さんに、ぜひオススメしたいです。
お子さんが自分から「この本を買って!」とおねだりしたのであれば、ご家庭での探究心育成が、きっと上手く行っている証拠です。これからが、楽しみですね♪
ちなみにこの本に登場するスイス人数学者のオイラーは、私の出身校であるバーゼル大学の大先輩です。
バブル世代の昭和化石・私のプロフィールに、なんともそぐわない偉大な先輩の存在に、なんだかトホホ…。
専攻が違うから、オイラーの等式が使いこなせなくても、まぁいいか(笑)。