【福井県の魅力】幸福度ランキング連続No.1の秘密に迫る

エッセイ

「幸福度ランキングで、4回連続日本一の座に輝いているのは全47都道府県のうち、どこでしょう?」という問いの答えが「福井県」と知り、私は驚きました。

一極集中している東京出身の私にしてみますと、「え? 福井県が幸福度No.1? いったい福井には何があるの?」という疑問が頭をよぎったのです。

福井県ご出身やご在住の皆様、どうぞお気を悪くなさらないでください。これこそ鼻持ちならない東京育ちである私の、正直な気持ちなのです。

一見控えめな印象のある福井県。けれども福井県には人を惹きつける魅力があるに違いない。

調べてみましたら、福井県は「幸せな生活」に必要な条件を、さまざまな点で満たす政策を実施しているとわかりました。

そこで今回の記事では、

一見控えめ、中身は強者
幸福度ランキング連続王座・福井県の魅力を解剖

というテーマを取り上げます。

【福井県の魅力】幸福度ランキング日本一の理由は「しあわせ」指標

【福井県の魅力】幸福度ランキング日本一の理由は「しあわせ」指標。海に浮かぶBE HAPPYの文字

幸福度ランキング日本一の福井県には、「しあわせ」指標aなるものが存在します。

し(仕事)・あ(遊び)・わ(つながり)・せ(生活)

【幸福度ランキング日本一福井県の魅力】「しあわせ」指標①仕事

【幸福度ランキング日本一福井県の魅力】「しあわせ」指標①仕事。さまざまな職種の人たち

福井県には、非常に優れた雇用環境があります。

例えば、中小企業数/企業数/老舗企業数bがランキングで日本一。正社員の比率が高く、失業率は低いcのが福井県の特徴でもあります。

また、水が豊富な地の利を生かした農業も盛んとのことc

さらに、女性就業率と共働き率も全国1位dという快挙!

福井県が凄いと私が思う点は、小学校で「共家事」なるプロジェクトを推進していることですd

家のお手伝いをしている小学生の割合が、全国最下位という福井県が抱える問題点d

その原因は3世代世帯の同居/近居が福井県では高いためと推定されるのですが、福井県はこの問題から目を逸らさず、いかに女性の働く環境、「仕事と家事の両立」を県として整えるか、というポイントに重点を置いているのです。

「仕事をしていても、家事は女性の分担」という社会概念は、スイスで働きながら子育てをした私も常に感じていた負担。未来を支える小学生の段階から意識変換を狙う福井県のプロジェクトは、大変意義あることだと思います。

【幸福度ランキング日本一福井県の魅力】「しあわせ」指標②遊び

【幸福度ランキング日本一福井県の魅力】「しあわせ」指標②遊び

海と山、そして歴史と文化の豊かさも、福井県の魅力のひとつ。

天空の城と呼ばれる越前大野城、絶景の東尋坊、リラックスに最適の温泉、世界3大恐竜博物館のひとつである福井県立恐竜博物館、さらにアジアで初めて「ブルーフラッグ」(美しいビーチの証である国際環境認証)を取得した高浜町ビーチなど、県内でレジャーを楽しめる場所が、福井県にはたくさんあるのです。

加えてご当地グルメも豊富となれば、次の旅先に福井県を選ぶしかない!と、私はすでに考えております。

【幸福度ランキング日本一福井県の魅力】「しあわせ」指標③つながり

【幸福度ランキング日本一福井県の魅力】「しあわせ」指標③つながり。3世代家族

福井県は、日本夜景遺産のひとつ・永平寺大燈籠流しに代表されるお祭りも魅力の地。伝統を通じて人々が過去とつながり、社会ともつながる絶好の機会があるのです。

また、県の社会教育費が多く、社会教育講座の数も全国で上位というデータから、大人になっても学びを通じて人々がつながりを持てる環境が浮かび上がってきます。

さらに、かつては3世代同居の「家族の形」が、現代では「3世代近居」という暮らし方に変化を遂げていることも、注目すべき点d

福井県では、時代に適応した世代間の支え合いとつながりが、社会に息づいていると予想されます。

【幸福度ランキング日本一福井県の魅力】「しあわせ」指標④生活

【幸福度ランキング日本一福井県の魅力】「しあわせ」指標④生活。ワーキングマザーと子ども

少子化が問題となっている日本において、福井県の合計特殊出生率(ひとりの女性が一生の間に産むと推定される子どもの数)は、なんと6年連続で増加とのことc

具体的に福井県が推進している少子化対策e

  • 保育サービスの充実:保育所・放課後児童クラブ・病児デイケア
  • 経済的支援の充実:3人っ子応援プロジェクト・不妊治療費助成事業・企業における子育て応援の推進
  • 子育て支援の充実:地域活動による子育てサポート・児童相談
  • 縁結び:出会いの機会を提供・相談

という充実ぶり。

さらに、刑法犯罪認知件数が9年連続減少している生活環境の安全性の高さも魅力ですc

また、介護予防の政策(例:運動器の機能向上・栄養改善など)が功を奏し、要介護認定を受けていない高齢者の数も、福井県は日本でトップレベルだそうですc

ちなみにコチラ↓はスイスで保育園を探していた当時、私が待機番号149番と告げられ、絶望の底に沈んだ体験記です。

【福井県の魅力】幸福度ランキング日本一を裏付ける充実した教育政策

【福井県の魅力】幸福度ランキング日本一を裏付ける充実した教育政策。福井では文武両道

福井県は、全国学力テスト(小学6年生と中学3年生が対象)において、全科目で12年連続トップクラスの成績を維持していますf

さらに、女子・男子小中学生体力テストにおいても上位cという、まさに文武両道のお国柄。

福井県の満田副知事は、子どもたちの学力と体力が高い理由を、

  • 学力:テレビ局が少ないため、別な形で時間を有効活用している
  • 体力:休み時間を多めに設定し、全校でスポーツをする機会を作っている

という点による好影響だと、内閣府経済社会総合研究所のパネルディスカッションcで説明しています。

子どものスマホ/TV使用に関して注意を払うことは、親の役目のひとつです。

福井県の教育大綱:引き出す/楽しむ教育のススメ

福井県の教育大綱:引き出す/楽しむ教育のススメ。科学実験中の女の子

福井県が策定した「教育大綱」では、2020年から5年間の県の教育施策として、

引き出す教育/楽しむ教育

のふたつの方針を掲げていますf

上記で述べたように、福井は全国トップクラスの小中学生の学力で知られる県です。

しかし学力重視の風潮は、子どもにとっても教員にとっても重荷になるデメリットがあるという点に注目した福井県。

そこで、これまでの「覚える」ことが中心の教育から、子どもの資質や能力を「引き出す」教育へと、新たな取り組みを展開する試みだそうです。

また、子どもたちが自ら進んで学ぶ姿勢を習得できるように、好奇心や探究心から生まれる楽しさを重視する教育も、福井県が目指している課題とのことです。

福井県の教育大綱:経費増加が不可欠な引き出す/楽しむ教育

福井県の教育大綱:経費増加が不可欠な引き出す/楽しむ教育

おこがましい発言になりますが、福井県の教育大綱が指針に掲げている「引き出す/楽しむ教育」は、今ご覧いただいているdryukiネットの「天才を伸ばす育児」で、繰り返しお伝えしている内容です。

常に全国学力テストのトップに位置する福井県が、その状況に甘んじず、「子どもにとって本当に役立つ教育」を、県を挙げてサポートする姿勢は、大変素晴らしいことだと思います。

ただし、NHK福井放送局のインタビューで福井大学の松木健一理事のご発言にあるようにf、「引き出す/楽しむ教育」の実現化には、かなりの追加教育費が必要であることも、厳しい現実。

私事になりますが、娘が通ったスイスの私立校は、OECD認可校のひとつで、子どもそれぞれの特性に細やかに対応する教育を実施している学校です。

娘の母校では小学校から高校まで、1クラスの人数が最大20人。なおかつ学校専属の治療教育士・臨床心理士も常任するという恵まれた環境だからこそ、可能であった「引き出す/楽しむ教育」の実現化。

そのためには当然、大幅な人員増加や建物などの受け入れ態勢の拡張が不可欠であり、福井県は教育方針実現のために学校側が必要とする費用をどこまで支える姿勢があるのかという点が、引き続きクリアすべき問題だと思われます。

幸福度ランキング日本一の福井県は日本の未来を救うモデルケース

幸福度ランキング日本一の福井県は日本の未来を救うモデルケース

今後解決が必要な問題があるとはいえ、県民を幸せにするために福井県が積極的に取り組んでいる政策は、素晴らしいものばかり。

今回の記事を執筆するにあたり、私が入手し、この記事でご紹介した情報からは、

  • 少子化対策
  • 地域活性化
  • 豊かに実る学校教育
  • 満足度の高い生活が可能な環境

と、福井県をモデルケースにすることで、現在の日本が抱えている問題点はほぼ解決できるのではないか、という印象すら受けました。

なぜ永田町では福井県をお手本にしていないのか、一市民である私にはわかりかねます。

ですが福井県の魅力をようやく発見した私は、日本での居住地候補として、すでに不動産サイトで福井県の住宅情報を検索してしまいました(笑)。

確実なのは、次回の日本旅行では福井を訪れることなので、今から楽しみにしております。

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記事内の画像にある福井県の地図イラストは、illust imageさんによるイラストフリー素材を使用させていただきました。ご提供くださり、ありがとうございます!

<参照サイト>

a)福井県 福井しあわせパンフレット <福井県はなぜ幸福度日本一なのか?> 
(閲覧日2022/05/23)

b)都道府県別統計とランキングで見る県民性 <福井県のランキング> 
(閲覧日2022/05/23)

c)内閣府経済社会総合研究所 <幸福度に関するパネルディスカッション 5. 福井の幸福と希望について> (閲覧日2022/05/23)

d)NHK福井放送局 <幸福度日本一ふくいの謎 「“同居”から“近居”へ 変容する家族の形」> 
(放送日2019/01/24)(閲覧日2022/05/23)

e)内閣府 <福井県の少子化対策> (閲覧日2022/05/23)

f)NHK福井放送局 <幸福度日本一ふくいの謎 「新しい『福井型教育』へ」>
(放送日2019/10/25)(閲覧日2022/05/23)


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