レインボーファミリーの一員からカミングアウトをされたら〜体験談

スイスライフ

レインボーファミリーの一員である子どもから、「ウチには2人の母親がいます」とカミングアウトされた時のわが家の体験談です。

スイスと日本での偏見を示すデータと、カミングアウトの聞き手ができる配慮を併せてご紹介します。

レインボーファミリーとは?

レインボーファミリーとは?

スイスでは、自分をLGBT(=レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)だと認識している人が、親として子どもを育てている家族を、「レインボーファミリー」と表現しています。

LGBTのシンボルカラーが虹色であることから、発生したことばと思われます。

スイス国内では約3万人の子どもが、レインボーファミリーの一員として、生活しているそうです。ちなみにスイスの全人口は、863.7万人(2020年のデータ)。

関連サイトSWI <スイスで同性婚合法化可決、レインボーファミリーはどう受け止めた?>(更新日2021/02/13)(閲覧日2022/08/11)

【レインボーファミリー】告げる本人は緊張、聞き手は理由不明で動揺

【レインボーファミリー】告げる本人は緊張、聞き手は理由不明で動揺

ウチの娘がギムナジウム(高校)に通っていた時のことです。

ボーイフレンドのご家族から、イースターの休暇を利用したドイツ旅行に、娘がお誘いを受けました。

旅行の目的は、ドイツ在住であるボーイフレンドのおばあさまの、70歳のお誕生日祝い。

せっかくなら、ゲストは多い方がにぎやかで楽しいとの方針から、お孫さんたちのガールフレンド・ボーイフレンドも招待しようよ!という計画になったそう。

ところが、私たち親同士は、まだ面識がありませんでした。

ですから、向こうの親御さんから、旅程・出席者・宿泊の部屋割りなど、ティーンエイジャーの親が心配するポイントについて、ご連絡いただけるとのこと。「少しでも不安を覚えるのであれば、もちろん断ってOKです」とのお気遣いもありました。

ただし、旅行の具体的な情報をやりとりする前に、「ご両親に告げなければならない、大事なお話がある」と、何やら深刻。

そして週末、親御さんの使者として、夫と私が揃っているところに現れたのは、歯がガチガチ鳴るほど緊張したボーイフレンドでした。

それまでウチに何度も遊びに来ていた際には、リラックスしていたのに、彼の緊張の理由がわからず、「一体、何事?」と、夫も私も驚いたことを、今でも覚えています。

【レインボーファミリーの子だと告白されて】内容把握まで回り道

【レインボーファミリーの子だと告白されて】内容把握まで回り道

「実は、僕には2人の母親がいます」と語り始めた彼。

離婚率が40%以上、つまり結婚したカップルのほぼ2組に1組が別れるスイスでは、実母と継母がいることは、珍しくありません。

ですから最初私たちは、「父親が再婚したから、継母もいる」と、彼の家庭環境を完全に誤解。

「いや、そうではなくて、離婚した実母が、同性のパートナーと一緒に暮らしているから、僕には母親が2人いるんです」と言われてようやく、彼がレインボーファミリーの一員だと、わかった次第でした。

また、それぞれのお母様には2人ずつ実子がいたので、6人家族のレインボーパッチワークファミリーとして暮らしていることも、この時点で知りました。

【同性愛は絶対に間違っていると思う人の割合】スイスと日本のデータ

【同性愛は絶対に間違っていると思う人の割合】スイスと日本のデータ

ちなみに、

【同性愛は絶対に間違っていると思う人の割合】
スイス15.1% 日本17.0%

だと、OECD加盟国24カ国で実施されたデータ(2018年)で報告されています。

「絶対に間違っている」と答えた人の割合が、調査対象国のうち最も低かったのは、デンマークの8.1%だそうです。

参照元国際日本データランキング 明治大学国際日本学部 鈴木研究室、ISSP資料(2018年)(閲覧日2022/08/11)

【レインボーファミリーの子だと告白されて】信頼に感謝・対応は慎重に

【レインボーファミリーの子だと告白されて】信頼に感謝・対応は慎重に

後から聞いた話では、彼の異母兄弟がお付き合いをしていたお相手のご家族から、レインボーファミリーであることが原因で、交際を反対された経験があったそうです。

「ウチの両親は全然気にしないと思う」と娘から聞いていたものの、彼は確信が持てなかったため、私たちにカミングアウトするまで、とても緊張していたと判明しました。

夫と私は、カミングアウトしてくれた彼やご家族の信頼に感謝こそすれ、反対の念などは抱きませんでした。私には同性の事実婚をしていた友人もおりましたし。

けれども、彼の告白に対し、いざ返事をしようと思ったら、今度はコチラが緊張する番。

誤解を生むような発言はしたくない…と、夫も私も考えたので、ふたりともまず返答に困りました。

【LGBTのカミングアウトをされたとき】当事者が安心する対応とは

【LGBTのカミングアウトをされたとき】当事者が安心する対応とは

「話してくれてありがとう」
「なにかできることある?」
「他に知ってる人いる?」

引用元:群馬県 <3.LGBTへの配慮について〜今日からできることってなんだろう〜>

数秒間の沈黙後、夫と私は、「私たちに話してくれて、ありがとう」と伝えました。そして、ふたりは同じ高校に通っていたため、ご家族がレインボーファミリーである事実を、どこまでオープンに他人に伝えているのか、その範囲を確認しました。

これは、

アウティング

本人の同意なく第三者にセクシュアリティを伝えること

引用元:群馬県 <3.LGBTへの配慮について〜今日からできることってなんだろう〜>

を避けるために、「カミングアウトをされた側が考慮してくれるとありがたい」と、同性事実婚者である私の友人が語っていた点でもありましたので。

【レインボーファミリーの子だと告白されて】母親の呼び分け方を知りたい!

【レインボーファミリーの子だと告白されて】母親の呼び分け方を知りたい!

私たちの反応に安心した様子のボーイフレンドは、「他に何か質問、ありますか?僕で答えられないことなら、母親が説明しますけど…」と、発言。

そこで私が「ある、ある!私、知りたいことがあるの」と答えましたら、私の好奇心のせいで、夫が急速冷凍のフリーズ状態に陥りました。

「いや、他の質問は、この後ゆっくり話し合って、検討してから伝えるから」と、いかにも永世中立国のスイス人らしい反応で、私を遮る夫。

「でも彼が答えられることだもの。私、どうしても気になるから、この場で教えてほしい」と私がごねたので、ボーイフレンドは恐る恐るという感じで「何でしょう?」と。

そこで、私はたずねました。「ふたりのお母様を、どうやって呼び分けているのかが、気になる!だって、日常生活で不便じゃなくって?」。

彼のご家庭では、「ママとマミィ」という呼び分けで、おふたりのお母様を区別しているとわかり、大変スッキリいたしました、私。

娘は「ママらしい質問」と、後から笑っていましたが、夫は「ヒヤヒヤさせないでよ〜」と、心臓に悪かったようです。夫よ、なぜ。←これ以上続けると、ブログ上でケンカになるので、ここでやめます。

【LGBTについて理解を深めることができるサイトへのリンク】

カミングアウトをされる側がLGBTについて理解を深めるための情報が、公的機関によるサイトで見つかりましたので、以下にリンクを貼っておきます。

法務省人権擁護局 <多様な性について考えよう!〜性的嗜好と性自認〜>(閲覧日2022/08/11)

四日市市役所 <性の多様性 レインボーブック>(閲覧日2022/08/11)

長崎県 <多様な性への理解と対応ハンドブック>(閲覧日2022/08/11)

わが家の体験談が、少しでもお役に立てば、幸いです。

同性婚が2022年7月から合法化されたスイスで大人気の人工授精を取り上げた記事と、ヨーロッパ王室での同性婚への姿勢についての記事は、コチラ↓へ。

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