『好奇心を“天職”に変える空想教室(植松努著)』は、一家に一冊常備すべき良書!
初志貫徹で自分の夢を叶えた植松さんの言葉は、子どもが夢を実現するために必要な生き方と、大人の心が干からびないための人生訓でいっぱいの魅力がほとばしる本です。
植松努さんの真摯な「夢にかける想いと行動力」、そして温かいお人柄が心にジワジワと伝わってきて、読書中に何度も目頭が熱くなりました。
『好奇心を“天職”に変える空想教室』の著者・植松努さんのプロフィール
- 1966年、北海道芦別市生まれ
- (株)植松電機(株)カムイスペースワークスの代表取締役、N PO法人北海道宇宙科学技術創生センター理事
- 幼少期から夢見ていたロケット開発を実現し、さまざまな宇宙開発研究事業を筆頭とするさらなる夢に挑戦中
植松電機の公式サイトでは、製品・研究・会社概要と共に、植松電機が取り組んでいる教育活動と、植松努社長の活動内容が紹介されています。リンク↓はコチラ。
外部リンク:植松電機の公式サイト
『好奇心を“天職”に変える空想教室(植松努著)』のメインテーマ
- 自分が叶えたい夢を思い描くことの大切さ
- 夢を実現するためのステップで必要な思考と実践法
特に興味深いのは、「夢の実現過程」で困難にぶち当たった際に自分で考えがちな「できない言い訳」や、周囲からの「できなくて当然」といった決めつけを排除する方法が、これでもかと綴られていること。
なにしろ植松さんご自身が、「ロケットを飛ばす」という夢を叶えるまでの道のりで直面し、障害をクリアしてきた策の具体例なので、「思うは招く」の説得力が、ハンパないです。
優しくて、思いやりにあふれる植松さんの文章は、読者を勇気づけ、「私にもできる」というパワーを授けてくれます。
辞書が示す米・独・日本語で「夢」が持つ意味の違い:叶えるか叶わないか
植松さんは本の中で、「自分の夢をあきらめてしまう日本人の姿勢」にも、言及しています。
私がハッとしたのは、「夢」の意味を植松さんがアメリカと日本の辞書で比べていらっしゃる点。
気になったので、私はドイツ語の辞書で「夢」を調べてみたのです。
するとドイツ語の辞書でもアメリカと同様に、「夢」は叶えるものの前提で、とらえられているとわかりました。
「夢とは?」
- アメリカの辞書a:強く願い、努力すれば実現できるもの
- ドイツの辞書b:どうしても手に入れたい、まだ実現していない望み
- 日本の辞書a:はかないもの、叶わないもの
a引用元:『好奇心を“天職”に変える空想教室(植松努著)』電子書籍版、p.31。
b引用元:Duden(ドイツ語辞書)オンライン <Traum>の内容をサイト運営者が日本語翻訳。“Traum” auf Duden online. URL: https://www.duden.de/rechtschreibung/Traum(閲覧日2023/01/04)
なんということでしょう…。米・独・日文化による「夢」の意味が、こんなにも違っていたなんて。
「夢」の意味そのものを、「叶わないもの」と理解して脳にインプットしていたら、最初から負け試合の人生ではありませんか。
私はスイスに30年近く住んでいますが、これまで植松さんのように文化による「夢」の意味を比べてみたことがなかったので、違いを初めて知り、愕然としました。
『好奇心を“天職”に変える空想教室(植松努著)』私の読書感想
植松さんの本では、私が日本とスイスで経験した「教育システムの違い」が生む問題点も、浮き彫りになっています。
日本とスイスの教育システムを比較した場合、最も大きな違いは、次の点にあると私は考えます。
「子どもの進路を決める際、最も重要視される要因は何か?」
日本では「学歴」、スイスでは「自分の好きなこと」
これは、日本とスイスで大学教育を受けた私の体験に基づく私見です。
スイスの教育システムでは自分の好きなことが職業につながる
各自の能力を活かして伸ばせる職業選びを重視しているスイスでは、大学の進学率は、約20%。
大学進学の目的は、学歴を得るためではなく、「知識を得て活かすこと」が好きな人にとって、最適の進路だから。
大学は、自分が掲げている夢を手に入れるための通過点に過ぎないので、学生たちは自分の未来のために、自分が突き詰めたい知識を本気で学びます。
そして、職業コースを選んだ学生たちも然り。
スイスでは、特定の分野での専門知識と経験を積むための職業教育が充実しているので、自分の得意な能力を磨き続ければ「マイスター」という、「名人」的な最高位の資格を得ることもできるのです。
自分の可能性を伸ばし続けることを重んじるスイスの教育システムの例
人間は、好きなことには夢中になる習性があります。
大学進学組も、職業コース組も、「生涯教育」がスイスではあたりまえとみなされている原因は、「好きなことなら続く」というシンプルな答えにあるのかもしれません。
また、大学進学組・職業コース組共に、人生の途中で新たな対象に興味が湧いたり、人生航路の変更を余儀なくされたりする場合でも、学びの継続や仕切り直しができるスイスのシステムは、「自分で自分の運命を切り開き、夢を叶えるチャンス」が豊富。
結果的に、満足度の高い、充実した生き方をしやすい環境がスイスにはあるのではないかと私は思うのです。
子どもに受け身を強要する日本の教育システムへの逆流が植松さんの本
学歴偏重で、親が子どもの人生に最適なレールを敷くことに努力を惜しまない日本の教育システムでは、子どもは常に自分の人生に対して「受け身」の立場。
周囲から与えられた膨大な課題をこなす毎日では、自分自身と向かい合う暇さえありません。
そして親だけではなく先生たちも、「この子に見合ったレベルの学歴・就職先は何か?」という視点で子どもをがんじがらめにしてしまうので、日本の子どもたちは必然的に「自分の好きなこと」を伸ばす機会を逃し、夢見ることなく大人になってしまうのかしらと、植松さんの本を読んで考えさせられました。
『好奇心を“天職”に変える空想教室(植松努著)』は、子どもの才能を活かす育児のヒントと、毎日の生活で夢を忘れがちな大人の意識革命を起こすコツが、たくさん詰まっている本なので、読んで得することしかありません。
読後、私もあらためて自分の夢と向き合いました。
植松さんのような大人が、増え続ける社会になりますように。
植松努さんの人生訓を映し出すTEDxSapporoの講演動画
TEDxTalksによる動画、<Hope invites | Tsutomu Uematsu | TEDxSapporo>の講演内容には、『好奇心を“天職”に変える空想教室(植松努著)』の意図が凝縮されているので、興味のある方はコチラ↑の動画も、ご参照ください。
スーツではなく、あえて作業着で壇上に立つ植松さんは、夢を実現し続けているご自分の生き方を無言で聴衆に伝えていらっしゃると思うのは、私だけでしょうか。
「自分には夢を叶える力がある」と自信が持てるように、私をサポートしてくださった高校時代の恩師とのエピソードは、コチラ↓。