『ドラゴンボール』の作者、漫画家・鳥山明さんが急逝されたという悲しいニュースに、スイスのメディアがあらためて鳥山作品人気の理由を分析し、追悼の声を寄せています。
私が参照したのは、スイス公共テレビ局のオンラインサイト記事↓です。
スイス公共ラジオ局の「文化の話題(Kultur-Aktualität)」という番組が、文化学者で漫画に詳しいジャーナリスト、クリスチャン・ガッサーさんをゲストに迎えたインタビューは、ファンの視線から人気漫画『ドラゴン・ボール』を考察している、非常に興味深い内容です。
【鳥山明さん急逝】スイス公共ラジオの報道内容は完全にファン目線
記事の概要は、以下のとおりです。
【ドラゴン・ボールの背景】
- 全世界発行部数2億3千万部の大ヒット漫画
- 原作は1984〜1995年、「週刊少年ジャンプ」に連載
- 原作に基づき3つのアニメシリーズが制作された
- 物語は多くの障害・戦い・ユーモアを含む内容
- 『ドラゴン・ボール』はすべての少年漫画に何らかの影響を与えた
こういった↑表面をなぞるコメントは、スイスやドイツの他のメディアでも目にしたのですが、ジャーナリストのガッサーさんは、「ドラゴンボールのファンに違いない」と私が感じたのは、コチラ↓の分析。
【ドラゴン・ボールがヨーロッパで大ヒットした理由】
- 見た目の印象:新鮮だけどちょっとドタバタ・ヒステリーなわちゃわちゃ感もあるのに、可愛い絵柄
- 時代の要求にドンピシャだった
- それまでヨーロッパのコミック界が開拓していなかった10〜15歳の読者層に、12歳で初登場する孫悟空は自己投影の対象として受け止められた
- 翻訳された漫画も、「右から左に読む日本語のスタイル」を維持し続けたことで、秘密めいた魅力を生んだ
と、『ドラゴン・ボール』のファンだからこそわかる「人気の秘密」分析。
鳥山さん急逝を惜しむ気持ちが伝わってくる、インタビュー記事でした。
【鳥山明さん】マンガで欧州の日本文化ファンを増やした貢献度に感謝
日本発信のマンガやアニメがきっかけとなり、日本文化に興味と好意を持ち始めたという人に、スイスで出会うことがしばしばあります。
実はスイス人の甥っ子も、そのひとり。
彼は11歳のときから1年ほど、スポーツでのレギュラー・ポジション争いからいじめの対象となってしまったつらい時期を経験したのですが、その時孤立していた彼の唯一の友は、『ドラゴン・ボール』。
おかげさまで、転校を機会にいじめは終わり、はつらつと毎日を過ごせるようになりましたが、「ドラゴン・ボールのおかげで、元気が出た!」記憶と、ドラゴン・ボールをきっかけに生まれた「日本文化大好き」の気持ちは、今でも持ち続けたまま。
日本人マジシャンの岩崎圭一さんが、ブリテンズ・ゴット・タレントでゴールデンブザーを獲得した演技でも、日本語で「元気玉〜!」の掛け声を出した場面があり、ドラゴン・ボールがヨーロッパで大人気でなければあり得ないシーンだったと、感動したことを思い出しました。
鳥山明さんのご冥福をお祈りします。