反田恭平さん初の書き下ろし著書『終止符のない人生』(幻冬舎)から浮かび上がるのは、一瞬一秒、全身全霊かけて人生に向き合っている音楽家の姿。
反田恭平さんは、充実度の高い幸福な人生を歩むための秘訣・ポジティブ心理学の化身だと実感する生き様が、著作から伝わってきます。
今回の記事では、ポジティブ心理学とは何ぞや?の解説と、反田恭平さんの生き様が「ポジティブ心理学の化身」である理由を、『終止符のない人生』に綴られてある内容から分析しました。
アラカンの私にとっても、反田恭平さんの生き方はお手本♬
【ポジティブ心理学とは何ぞや?】幸せの謎を追求する心理学の分野
誰もが「幸せになりたい」のに、「あなたにとって、幸せとは何ですか?」と問われると、返答に意外と困ってしまうのが幸せの謎。
アメリカの心理学者、マーティン・セリグマン教授は、誰もが欲しているのに、つかみどころのない「人が幸せな気持ちで充実した人生を歩む状態」に焦点を当てることを提唱。
セリグマン教授が提唱したポジティブ心理学は、それまで人の心に影を落とす原因となったネガティブ要因に注目していた心理学界に大きな波紋を呼び、心理学の研究路線の方向性をガラリと変えるほどの影響力を与えたのです。
セリグマン教授による「主観的幸福感(Well-being)のPERMAモデル」は、人を幸せにする要素を把握・理解するための方法として、現在までに多くの研究で科学的に検証されてきました。
セリグマン教授が率いるポジティブ心理学センターのホームページでは、ポジティブ心理学研究に関するあらゆることが網羅されています。リンクはコチラ↓。
関連リンク:University of Pennsylvania POSITIVE PSYCHOLOGY CENTER
【主観的幸福感・PERMAモデル】幸せな人生のカギとなる5領域
「人が幸せな気持ちで充実した人生を歩む状態」は、持続的な「いい感じ(=ウェルビーイング)」により可能になると、セリグマン教授は提起。
人が、「あぁ、幸せ」と「主観的幸福感」に満たされ、誰にとってもけっして平坦ではない人生を、それでも前向きに歩んでいくためには、以下の5つの領域が大切な意味を持つとされています。
- ポジティブ感情
- 物事に没頭できる状態
- 他者とのつながり
- 人生の意義を自覚
- やり遂げる力
前向きな生き方の源・主観的幸福感を満たすために必要とされる5領域の具体的な内容を、以下に記していきますね。
【主観的幸福感】幸せな人生のカギ①ポジティブ感情
「うれしい!楽しい!面白い!すごい!ラッキー!ありがたい!」などの肯定的な感情から、人生に好影響を与えるポジティブなスパイラルが生まれ、幸せになるために解決すべき問題への対処能力が、増していきます。
【主観的幸福感】幸せな人生のカギ②物事に没頭できる状態
「自分の好きなことが、自分がいちばん打ち込めること」。大好きなことに夢中になれれば、最高のパフォーマンスが可能になります。
【主観的幸福感】幸せな人生のカギ③他者とのつながり
「お金で幸せは買えない」ので、支え合う家族やパートナー・信頼できる仲間・協力し合いながら切磋琢磨できる友人とのつながりは、幸福度の高い人生にとって不可欠です。
【主観的幸福感】幸せな人生のカギ④人生の意義を自覚
目の前にある課題だけではなく、「私の人生にとって、大切なことは何だろう?」と意識することから、自分のライフスパンで到達したい目的を満たすための生き方が、できるようになります。
【主観的幸福感】幸せな人生のカ⑤やり遂げる力
自分で掲げた目標を手に入れるために努力し、達成できた経験を重ねることで自己価値観も高まり、満足度の高い幸福な人生を歩めるようになります。
ご自分の主観的幸福度に興味のある方は(ただし、対象者は大学生のみ)、金沢工業大学心理学研究所が提供している「PERMA-Profiler KIT版」で、オンラインの検査が可能です。
外部リンク:金沢工業大学心理学研究所「PERMA-Profiler KIT版」
【反田恭平さんの経歴】奈良を世界の音楽の都にしたい野望を持つ多才人
反田恭平さん初の書き下ろし著書、『終止符のない人生』は、非常にインパクトの強い本。反田さんのピアノ演奏と同様に、魂が揺さぶられる内容です。
反田さんが、ポジティブ心理学の化身のような存在だという私の好き勝手な分析を解説する前に、まず反田恭平さんのプロフィールをご紹介します。
【反田恭平さんのプロフィール】
- 1994年9月1日生まれ
- サッカー選手の夢をあきらめてピアニストの道へ
- 史上男性最年少の18歳で日本音楽コンクール第1位
- 桐朋学園大学入学後、チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院を経て、2014年からショパン国立音楽大学研究科へ
- 2016年、日本でデビュー・リサイタル。『情熱大陸」出演
- 2019年、自身のレーベル「NOVA Record」設立
- 2020年、クラシック界で異例の有料ストリーミング配信を開始
- 2021年、奈良を拠点とする(株)ジャパン・ナショナル・オーケストラを創設。
第18回ショパン国際ピアノコンクールで日本人歴代最高位の第2位を受賞
反田恭平さんは幸せな人生を歩むカギ「主観的幸福感」の化身である
先ほど取り上げた「主観的幸福感」、つまり「人が幸せな気持ちで、充実した人生を歩むために必要な5領域」は、反田さんの著書『終止符のない人生』の内容と照らし合わせると、見事にマッチしているのです。
「主観的幸福感」PERMAモデル5領域のおさらい:
ポジティブ感情/物事に没頭できる状態/他者とのつながり/人生の意義を自覚/やり遂げる力
では、反田恭平さんの著書から、反田さんが備えている「主観的幸福感」に不可欠なカギはどのようなものなのかを、分析していきたいと思います。
【主観的幸福感】反田恭平さんの幸せのカギ①ポジティブ感情
まだお若い反田さんの人生は、とてもドラマティック。けれども、反田さんはいかに困難な出来事に遭遇しても、ネガティブをポジティブに変えることができる才能の持ち主なのです。
例えば、史上男性最年少の18歳で、第1位に輝いた日本音楽コンクールファイナルの直前に交通事故に遭い、右手にケガを負ってしまったのに、事故のおかげで潜在能力をステージで発揮することができたという見解。
国立モスクワ音楽院での、想像を絶するボロボロな寮生活では、まともな練習用のピアノさえない環境で、超スパルタ式のピアノ教育法に歯を食いしばりながら、言葉の壁と人種差別とも戦う反田さん。
でも、極寒のモスクワにあるオンボロ寮で、冷水シャワーに打たれる辛ささえ「滝行」と笑い飛ばし、おまけに強盗に襲われた経験さえ、サラリと記述する反田さんのフィルターにかかると、どんな困難も結果的には「よかったこと」もしくは「経験のひとつ」に見えてくるのが、反田さんが持ち合わせているポジティブ感情の特徴です。
【主観的幸福感】反田恭平さんの幸せのカギ②物事に没頭できる状態
音楽とは縁のないご家庭で育ったという反田さんですが、サッカー選手の夢をあきらめてからは、ピアニストの道を邁進。
桐朋学園の音楽教室に入学時に、知識不足だった楽典にのめり込んだエピソードや、ロシア語を猛勉強しながら国立モスクワ音楽院のピアノ実技試験で歴代最高点を獲得したお話はもちろんのこと、音楽に没頭し続けている反田さんの生き様は、とてもパワフル。
ピアニストにとどまらず、音楽家・経営者としての音楽活動の幅を、着実に構築していらっしゃる反田さんからは、誰にも止めることができない力強さを感じます。
【主観的幸福感】反田恭平さんの幸せのカギ③他者とのつながり
反田さんの人生は、他者とのつながりによって次の大きな扉が開いたと言っても、過言ではありません。
日本・ロシア・ポーランドでの恩師たちとの関係はもとより、楽器店・レコード会社、そしてさまざまなオーケストラとの共演の数々からは、素敵な「他者とのつながり」が豊かな反田さんを囲む人間模様が、浮かび上がってきます。
『終止符のない人生』から受けた印象は、人間関係において反田さんがとても積極的に働きかける方で、他者とつながるチャンスは絶対無駄にしないタイプの方だということ。
また、第18回ショパン国際ピアノコンクールで第4位に輝いた小林愛実さんとは幼なじみであり、良き理解者として支え合いながら、お互いを切磋琢磨してきた仲だということも、話題になりました。
世界のトップレベルで競い合う、仲良しのおふたりの姿は、とても素敵ですよね。
反田さんが大切にする「他者とのつながり」はショパンコンクールでも顕著
反田恭平さん著作『終止符のない人生』の中で印象的なのが、いかに反田さんがショパン、そしてポーランドの人々とご自分のつながりを大切に考えているかというお気持ちが、読者に伝わってくることです。
人間・ショパンに心を寄せるだけではなく、ショパンコンクールのプログラムを選曲した背景にも、ポーランドの人々に捧げるメッセージが織り込まれていたことを、著書の中で知りました。
読後、反田さんのプログラム解説と照らし合わせながら、私はあらためて1次〜3次予選とファイナルのYouTube動画を楽しんだのですが、演奏を聴く喜びが倍増します。皆様もぜひお試しあれ。
【主観的幸福感】反田恭平さんの幸せのカギ④人生の意義を自覚
反田さんにとって特別な存在だった方が、早逝してしまったという体験は、反田さんの人生観に多大な影響を与えた出来事です。
- 自分が体験するすべての感情を消化して、音に注ぐという決意
- 何があろうと、全力で生きるという意気込み
- 明日死んでも悔いがない生き方を心がける
というふうに、人生そのものに真正面から取り組む反田さんの姿勢は、「死」を意識したことから生まれた「生き方へのこだわり」と思われます。
【主観的幸福感】反田恭平さんの幸せのカギ⑤やり遂げる力
反田さんは12歳の時、すでにショパンコンクールを意識していたそう。
「ショパンコンクールのファイナルでコンチェルトを弾きたい」という夢を叶えるために、高い目標から逆算する形で、ご自分にとって到達可能である課題に、次々と真剣に取り組んでいらしたようです。
ショパンらしい音を出すための肉体改造や、サムライヘアでご自分のセルフプロデュースを図ったというくだりは、大変興味深い点。
なかでも、ショパンコンクールの審査員に、自分が「出る杭」の演奏者であることを印象づけるために、過去2回のコンクールでの参加者800人が演奏した曲をすべて分析し、参加曲を選び抜いた戦略は、お見事。
通常ではわからない、コンテスタントの考えを反田さんの著書から知ることができたのは、クラシックファンにとって、非常に興味深いものでした。
世界スケールで夢の実現を図る反田恭平さんは日本の音楽界の風雲児
世界で有名なピアニストというだけではなく、起業家でもある反田恭平さんは、本当に多才で、夢を叶えるための実行力が、ずば抜けている方。
音楽家としては今後、指揮者としての活動の幅も広げ、ゆくゆくは音楽専門学校の開設、そして日本の古都・奈良を「日本のワルシャワ」として、世界に名だたる音楽コンクールの開催地にすることが、反田恭平さんの夢だそうです。
スケールの大きな夢は、聞くだけでワクワクしますね♬
別記事でも綴ったのですが、日本の枠にとどまらず、世界を見据えた大きな夢に、ブレずに挑む反田さんは、海外在住である私にとって、大変魅力的な音楽家。
反田さんが日本のクラシック音楽界に革命を起こしていく未来が、本当に楽しみです!
反田恭平さんの公式サイト:https://kyoheisorita.com/
コチラ↓は、ショパンコンクール2021年についての記事です。
反田恭平さんの演奏は、私の魂を揺さぶり、アレクサンダー・ガジェヴさんの演奏は、私の感情を揺さぶります。おふたりと同じ時代に生きていることに、感謝。