ピアニスト、アレクサンダー・ガジェヴさんのプロフィールと、気さくな素顔がうかがえる情報をまとめました。
ガジェヴさんの奏でる音色を聴かずに暮れてしまう1日は、目下ゼロの私です♪
アレクサンダー・ガジェヴさんのプロフィール
1994年生まれ(現在27歳)のアレクサンダー・ガジェヴさんは、イタリアのゴリツィア出身。
コンクールに参加する際には、イタリアとスロベニア両方の国籍で登場されるので、ふたつの国籍をお持ちのようです。
現在は、ドイツ・ベルリンにあるハンス・アイスラー音楽大学に在籍中とのこと。
これまでの主な受賞歴は、
- 2021年第18回ショパン国際ピアノ・コンクール:第2位/ソナタ最優秀演奏賞
- 2021年シドニー国際ピアノ・コンクール:優勝
- 2018年モンテカルロ・ワールド・ピアノ・マスターズ:優勝
- 2015年第9回浜松国際ピアノコンクール:優勝/聴衆賞
と、大変輝かしい足跡です。
コチラ↑の動画は、第18回ショパン国際ピアノ・コンクールのファイナルでの演奏です。
アレクサンダー・ガジェヴさんのご両親はピアノ教師兼プロの音楽家
アレクサンダー・ガジェヴさんのご両親は、おふたりともピアノ教師で、プロの音楽家です。
アレクサンダー・ガジェヴさんのお父様、シアヴシュ・ガジェヴさんは、アゼルバイジャンのご出身。
モスクワ音楽院で学ばれた後、現在ではスロベニアの首都・リュブリャナ音楽バレエ音楽院およびイタリアのゴリツィアにある私立音学校で、秀逸した才能に恵まれたピアニストの育成に携わっていらっしゃる音楽教育家だそうです。
参照サイト:フリー百科事典 ウィキペディアドイツ語版 <Siawusch Gadjew> (閲覧日2022/06/20 15:00 UTC)
ピアニストの熊本マリさんとのインタビューでは、ガジェヴさんがご両親について語っている場面がいくつかあります。
ひとりっ子だったアレクサンダー・ガジェヴさんは、幼少期にはお父様のレッスンを受け、お母様とは毎日一緒に練習をしていたそう。
コンサートで世界中を飛び回り、現在はベルリンにお住まいのガジェヴさんですが、ご両親とはとても仲が良いようで、演奏会で近くに行くたびに、イタリアのトリエステに今はお住まいのご両親にも、頻繁に会っていらっしゃるとか。
お母様が生地からお作りになるラザニアが、ガジェヴさんの大好物とのことです。本場イタリアのお手製パスタは、絶品です。美味しそう!
アレクサンダー・ガジェヴさんが最も影響を受けた人は父と祖父
<厳選クラシックちゃんねる>の、なこさんとのインタビュー動画↑で(素晴らしい内容!)、「今までの人生で影響を受けた人」は、お父様とお祖父様だと、ガジェヴさんは回答しています。
その理由は、お父様が音楽だけではなく、旺盛な好奇心にあふれた、想像力が豊かでクリエイティブな人であるからと答えるアレクサンダー・ガジェヴさん。素敵な親子関係ですね。
アレクサンダー・ガジェヴさんの座右の銘は、お祖父様からの教え
ガジェヴさんの出身地であるゴリツィアは、スロベニアとイタリアの国境にあるため、さまざまな文化や言語が交差している街。
その複雑な文化背景を持つゴリツィア出身で、スロベニア人である母方のお祖父様は、
「誰にでも礼儀正しく接すること」
「国の違いを理由に人の善悪を決めつけないこと」
引用元:YouTube動画 厳選クラシックちゃんねる <【濃厚】反田恭平・小林愛実・角野隼斗らショパンコンクール日本人コンテスタントの印象/若き偉才の哲学的な世界観と音楽の捉え方に迫る【アレクサンダー・ガジェヴ】>
という信条を大切に、人生を歩まれてきた方だとか。
お祖父様の「人や世界に対して偏見を持たない」という考えを、アレクサンダー・ガジェヴさんも大切にしていらっしゃるとのことです。
ガジェヴさんのお祖父様のお言葉は、私の胸にも特別な重さで響いてきます。
私が暮らしているスイス連邦も、4つの言語と文化が交差している、「ひとつの国」。幸いスイス国内では国を断絶するような紛争は起きていませんが、異なる言語と文化を基盤とする人々が、お互いに歩み寄り、暮らしを築き上げていくことの難しさを、私も日常生活の端々で体験することがしばしばあるのです。
そして私が大学で共に学んだ仲間のなかには、国の違いが善悪の基準となった紛争により、自らの国を追われてスイスへ亡命せざるを得なかった人々もいました。
私自身の27年に及ぶスイス生活においても痛感している「人」に焦点を当て、互いを尊敬しながら生活することの重要さを表しているガジェヴさんのお祖父様の人生訓は、ズシリと心に響きます。
哲学思考のアレクサンダー・ガジェヴさんの素顔はとても気さく
熊本マリさんと、厳選クラシックちゃんねるのなこさんとのインタビュー動画からうかがえるアレクサンダー・ガジェヴさんの素顔は表情が豊かで、とても気さくな方という印象を受けます。
アレクサンダー・ガジェヴさんがご自分で語っていらっしゃるプライベートのアレコレについて、以下にまとめました。
アレクサンダー・ガジェヴさんは…
- マルチリンガルで、5ヶ国語を操る:母国語は、イタリア語とスロベニア語。その他英語・ドイツ語・ロシア語ができる。ちなみに、スペイン語とポーランド語は、話すのは苦手だけれど、理解できるとのこと
- カワイのピアノを、ドイツのご自宅でも愛用
- カンディンスキーの絵が好きで、お部屋に飾ってある
- 人に会うのが好き:お友だちは音楽家だけではなく、エンジニア・建築家・哲学者など、多彩な分野の方々。ご近所にお住まいのお友だちとは、一緒にヨガを楽しまれるとか
- 好きな飲み物は、お茶と白湯
- お魚が好きな食べ物で、お寿司の大トロが好き
- 犬が大好き。かなりひどい猫アレルギーがある
- コンタクトレンズが目に合わないので、いつもメガネ
- 言語や歴史に興味があり、科学・数学・物理も好き
- 分野を超えた「作り手」の人たちが集まる場所を作ることが、将来の夢
参照元:
1−9 熊本マリxアレクサンダー・ガジェヴ <前編>/熊本マリxアレクサンダー・ガジェヴ <後編>
10 厳選クラシックちゃんねる <【濃厚】反田恭平・小林愛実・角野隼斗らショパンコンクール日本人コンテスタントの印象/若き偉才の哲学的な世界観と音楽の捉え方に迫る【アレクサンダー・ガジェヴ】>
アレクサンダー・ガジェヴさんご自身によるオススメCD
ガジェヴさんご本人によるオススメのCDは、シドニー国際コンクールのライブCDと、リストとシューマンを収録したLiterary Fantasies。
どちらのCDも、発売元であるユニバーサル・ミュージック・グループのYouTubeチャンネル↑でも聞くことができます。
もはや私の定番動画。毎日楽しんでいます♪
アレクサンダー・ガジェヴさんが語る日本の印象
ガジェヴさんがヨーロッパと日本の印象を、文化を対比して<厳選クラシックチャンネル>のインタビューで表現していらっしゃるのですが、この発言内容が本当に哲学的。
ガジェヴさんの文化比較発言を凝縮すると、
「枠にとらわれるのがヨーロッパ。純粋に物事に魅了されるのが日本」
という違いがあるとか。
ガジェヴさんはその一例として、「好き・楽しい!」という感情から、クラシックという型にはまることなく、異なるジャンルの音楽に、自由にチャレンジしている角野隼斗さんの存在をあげています。
ガジェヴさんは、日本から感じる「枠を超えて人々が感動する」ことの必要性を、訴えているのですが、この発言を聞き、私が思い浮かべたのは、ドイツ出身のバイオリニスト、デイヴィド・ギャレットさんのこと。
デイヴィド・ギャレットさんは、幼少期から天才と名高いバイオリニストで、なんと13歳の時点でストラディヴァリウス・サン・ロレンツォを提供されたという凄腕の演奏者。
ところが、ジュリアード音楽院出身のギャレットさんが、2007年からクラシックのジャンルを超えたクロスオーバー・アルバムを自己プロデュースでリリースし、大ヒットにつながると、「クラシックを汚す存在」として、ドイツではかなり叩かれてしまったのです。
ギャレットさんご本人は、「クラシックに興味が湧かない人に、音楽を楽しんでもらえればいい」というスタンス。
けれども、私がギャレットさんへの批判を目にするたびに、腑に落ちなかった感情の原因は、まさにアレクサンダー・ガジェヴさんが指摘するヨーロッパにおいての「枠へのこだわり」が理由ではないか、などと思った次第です。
ガジェヴさんの簡潔で、わかりやすい表現を用いたヨーロッパと日本の比較が、本当に的を得ていると感嘆しました。
アレクサンダー・ガジェヴさんの公演スケジュールへのリンク
アレクサンダー・ガジェヴさんのホームページ:コンサート情報(英語表記)
アレクサンダー・ガジェヴさんの来日公演スケジュール:Novelletteのホームページ
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アレクサンダー・ガジェヴさんが奏でるピアノの音色に惹きつけられてしまった私は、自分の心を浄化するために本当に毎日、ガジェヴさんの演奏を楽しんでいるファンのひとり。
2022年6月末からスタートする日本公演も、きっと素晴らしいものになることでしょう。楽しみですね!
第18回ショパン国際ピアノ・コンクールで、アレクサンダー・ガジェヴさんと同じく第2位に輝いた反田恭平さんの初書き下ろし著書、『終止符のない人生』(幻冬舎)は、とても読み応えのある本なので、心からオススメします♬