炎上するJAL機から、乗客乗員全員が脱出できた奇跡を生んだのは「日本人の国民性」によるものだと、ドイツ語圏の報道機関が称賛しているので、報道の要旨と個人的な感想をまとめました。
JAL機炎上奇跡の全員脱出:日本人の国民性を称賛する独語圏の報道要旨
JAL機炎上・全員脱出に関する報道で、私の居住地・スイスのドイツ語圏と、隣国ドイツのさまざまなメディアが焦点を当てている「奇跡をもたらした日本人の国民性」とは、
- 非常時の避難訓練内容を実践できたJAL乗務員の冷静沈着な行動
- ルールを尊重し、自制心を保てた乗客の態度
- 過去の航空事故を教訓に安全性を高めたいというJALと日本の航空業界従事者の意識
という3点です。
JAL機炎上奇跡の全員脱出:ドイツ語圏では皆無「役割の認識」
ドイツ語圏の人々にとって印象的なのは、炎上する機内にいるにもかかわらず、乗務員と乗客が各自の役割を認識して、自らが取るべき行動を実践できたという事実のようです。
特に、乗務員と乗客の連携プレーを可能にした要因は、「日本人乗客の民度の高さ」によるものだと、現地の報道内容では指摘されています。
私のスイス人家族や友人たちも、メディアの報道内容と同様に、
- 我先にと、非常口に殺到する乗客がいない
- 手荷物は持たないという避難時のルールを乗客が尊重。違反しようとする乗客は、別の乗客からの制止に従っている
などの避難時の機内の様子を知るにつけ、「乗客がほぼ日本人だったからこそ、機内でパニックが生じなかったのではないか」と推測し、感嘆しています。
非常事態に顕著に出る「自分ファースト」のドイツ語圏文化〜体験談
スイスに30年ほど居住していますが、日本育ちの私は、日常生活はもとより、いろいろな「非日常の場面」で、想像を超える「自分ファースト」の行動を、ドイツ語圏の人々が取る様子を体験してきました。
電車の運休による振替、旅先での飛行機のキャンセル、コロナ禍での買い占めなど…。
日本にお住まいの読者の方は、「それは日本でも同じ」だと思われるかもしれませんが、ドイツ語圏の人たちが非常時に見せる「自分ファースト」の殺気だった威力はすさまじく、「他人に迷惑をかけないこと」が骨の髄まで染み込んでいる私など、ただあきれて傍観するしかないことも、しばしば。
だからこそ、「危険から早く逃げて身を守りたい」というヒトの本能をコントロールし、乗客乗員が協力し合ったおかげで成功したJAL炎上機からの避難全容は、ドイツ語圏の個人主義文化ではあり得ないほど完璧に行われた奇跡であり、「日本人の国民性が生んだ奇跡」だと、称賛されているのではないかと、私は想像しています。
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スイスに移住する前、エアラインの一員であった私は、非常に複雑な気持ちで、報道内容を見聞しました。
炎上した機体から無事に脱出できたとはいえ、乗客の方々と、乗務員の皆さんが受けた衝撃は計り知れないもの。
どうか皆様が、心の安らぎを取り戻せる日が、少しでも早く訪れますように。
衝突事故でお亡くなりになった海上保安機の乗組員の方々のご冥福をお祈りします。
<参照サイト>
Watson <Flugzeug-Crash in Tokio – darum haben alle 379 Menschen an Bord überlebt> (更新日2024/01/03)(閲覧日2024/01/05)
20minuten <So schnell muss ein brennendes Flugzeug evakuiert werden> (更新日2024/01/02)(閲覧日2024/01/05)
Bild <Drei Gründe, warum es nicht zur Katastrophe kam> (更新日2024/01/02)(閲覧日2024/01/05)
Frankfurter Allgemeine <“Das Wunder“ vom Tokioter Flughafen> (更新日2024/01/03)(閲覧日2024/01/05)
ntv <Deshalb gelang die Rettung der Airbus-Passagiere> (更新日2024/01/03)(閲覧日2024/01/05)