ユングフラウヨッホでスイス人はお断り?観光マナー問題は富士山と共通

スイス観光情報

スイスの観光地・ユングフラウヨッホにあるカレー専門レストランで、空席があるのに「インド人以外お断り」と入店拒否され、唖然。

富士山と共通する外国人観光客のマナー問題について、スイスが地元の日本人が感じたことです。

記事には、特定の国籍や人種を差別する意図はありません。

旅先で、訪問国の社会秩序を尊重することなく、マナーを無視する外国人観光客がいなくなることを、私自身が外国人として生活するスイスでの体験から望んでいるだけです。

ユングフラウ地方とスイス国旗

ハイキングのパラダイス、ユングフラウ地方があるスイスのベルン州に住んでいる私たち夫婦は、4月〜9月の半年間、お天気と時間の都合さえつけば、どこかの山に足を向けている。

ユングフラウ天文台

その日は、ユングフラウヨッホで氷河ハイキングを楽しんだ後、いつものようにクライネ・シャイデックで少し遅い昼食を予定していたのだが、急遽お天気が崩れ始めると予報で知り、プランを変更。

ユングフラウヨッホの施設・トップオブヨーロッパ内で食事をすることにした。

空席待ちの列

ところが、2つのレストランはすでに満席で、空席待ちも長蛇の列。そこで、レストランのスタッフに教えてもらった3つ目のレストラン、「ボリウッド」へと向かった。

幸い、カレー専門のビュッフェ・レストランの入り口から見えた店内は、ガラガラの状態。

入店拒否するジェスチャー

「2名ですが、食事はできますか?」と尋ねた途端、入り口近くにいたお店のインド系スタッフは、「シッシッ」風な追い払うジェスチャーで、「ここはインド人以外お断り!」のセリフを吐き、私たちを店外へ追い出そうとした。

星ゼロのサービスレベル

サービスのかけらも、人としてのマナーもゼロの対応に、普段、サッカー観戦以外ではキレることがない温厚な夫が反撃。

夫は、別のレストランスタッフの助言で、私たちが「ボリウッド」に来た経緯と、どこにも「インド人専用」の注意書きが掲げられていないこと、そして空席が十分にある点を指摘。

それでも入店拒否される理由を尋ねた。

しかしこの無礼なスタッフは、「とにかくここはインド人専用だから。他の観光客は立ち入り禁止!」と、簡単には引き下がらない。

ユングフラウとスイス国旗

すると夫は、「君が今いる場所は、何という国なのか知っているかい?スイスだよ。そのスイスを代表する観光地にある商業施設内のレストランで、自国民が立ち入りを禁止され、特定の国の観光客しかサービスを享受できない場所が設立されたなどという事実は、僕の知る限りない。だから、君からきちんと説明を聞きたい」と、皮肉たっぷりに口撃。

説明と謝罪をするどころか、「ダメなものはダメ!」と、インド系スタッフは、さらに大声で私たちの入店を拒み続けた。

スイスを旅行する人

スイスを象徴する観光地で、劣悪な客対応がまかり通っている現実を目にして、私は嫌悪感を覚えた。

同時に、この嫌な体験が、もしかしたら生涯に1度だけユングフラウヨッホを訪れる観光客ではなく、リピーター訪問客である地元民の私たちに起きたことに、少しホッとした。

マナーのない人に、生涯記憶に残る素敵な旅の一場面を台無しにされたら、たまったものではない。

クレーム

結婚して30年になると、夫婦の考えは似てくるようだ。

「せっかくの週末が台無しになるから、別の場所で食事をしよう」と、私に店を出るよう促した夫は、なお声を張り上げるインド系スタッフに、「他の観光客のためにも、今日の体験は君を名指しで、この施設の経営会社にクレームをあげるから、そのつもりで」と釘を刺すことも忘れない。

カレー料理

「だから最初からダメだって言っているでしょ」と、さらに入店拒否を繰り返すインド系スタッフの声を聞きつけたらしく、奥から別のスタッフとインド系のコックさんが走り出て来た。

事情を聞いたチーフらしき別のスタッフは、すぐさま謝罪。

感じの悪いインド系スタッフは、不貞腐れたままだった。

私たちはもうこの店で食事するつもりはないと伝えたのだが、チーフらしき方の真摯な態度と、インド系コックさんの「カレーしかないビュッフェですが、インド本場のカレーを数種類用意してあるので、ぜひお召し上がりください!」のセリフにほだされて、結局入店。

ビュッフェなのに食べ残し

気を遣ってくださったチーフとコックさんのおかげで、ボリウッド映画の主人公のように、至れり尽くせりの昼食を、ユングフラウが目の前にある窓側の座席で体験できた。

ちなみに店内でインド人以外のお客は、私たちだけ。いったい何人の観光客が、入店を断られたのだろうかなどと気になった。

インド本場のカレーは、どれも美味しかったので、何度もおかわりをする大食漢の夫と、その様子を見守っていたコックさんは、ふたりともご満悦だった。

スイス人と日本人夫婦が「美味しい」と思ったカレーは、インド人観光客には不評なのか、それともそれがインド富裕層の風習なのかはわからないが、他の客たちは、食べ物をごっそり残したまま、レストランを去って行った。見るだけで、辟易する量の食べ残し。

「ビュッフェだから、食べきれる量だけを取ればいいのに……」と、夫婦共々感じるからこそ、国際結婚生活が長く続いているのかもしれない。

食事の間、私たちはユングフラウヨッホと富士山を比較して、国を代表する名勝地に外国人観光客が押し寄せて、敬意を払うことなく好き勝手な行動を取ることの問題を、この日の体験から「実感」として語り合った。

自分たちはそのような行いをしないようにと、あらためて心に刻む。

たまたま、義弟がAirbnbで貸し出しているスタジオを、インド人旅行者がたった1週間で油まみれの汚部屋にしてしまい、プロの清掃だけでは足らず、キッチンのリノベーションが必要となった時期と重なったので、気持ちは複雑。

私自身、「外国人」の枠にはめられて、スイスで人種差別の対象にされる存在。だからこそ、外国人観光客にはマナーを守ってほしいと願う。

ユングフラウ鉄道のチョコ

帰路、車内でユングフラウ鉄道の車掌さんが、恒例のチョコレートを乗客に配ったので、皆が歓声をあげた。

車両をほぼ埋め尽くしていたインド人観光客が、食べ終えたチョコの包み紙を、次々と床にポイ捨てする様子を見て、アメリカ英語や韓国語を話す旅行者たちが、驚きで目を丸くしていた。

ユングフラウ地方を定期的に訪れる私たちには、残念ながらもはや「見慣れた光景」なので、「あぁ、またか……」とため息しか出ない。

ポイ捨てには罰金

日本人よりも、自分の主張をはっきりと口にすることに抵抗がないスイスの観光地でさえ、この有様だ。

国籍・人種だけで、特定の国の観光客を批判するのは問題だと承知しているが、旅先の国での「マナー」さえ意識していない外国人観光客には、「マナー基準」を明確に示して、違反行為には高い罰金を要求することでもしない限り、マナー無視の行為は続くに違いない。

円安で、私の周囲だけでも数十人のスイス人たちが日本を観光で訪れる時代になったからこそ、マナー違反をする観光客への規制を導入すべきなのではと、ポイ捨てのゴミだらけになったユングフラウ鉄道の車両を後にしながら、痛感した。

残念ながら、往復約2万円のユングフラウ鉄道料金は、観光客のマナー違反行為に無効なようだ。

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