スイスのマナー:お隣さんとのギクシャクを防ぐ引越しの挨拶作法

スイスでの引っ越し挨拶マナー 玄関マットの画 スイスライフ

新居での生活をスタートするとき、ご近所さんへの引越し挨拶が欠かせないことは、日本でもスイスでもまるっきり同じ。

近くにいるけど自分で選ぶことはできない他人、隣人との関係がこじれて、楽しみにしていた新居での生活が針のムシロにならないように、スイスの常識にかなった引越しの挨拶作法をご紹介します。

この記事でわかることはこちらです。

スイスでのお引越し攻略法:

  • 引越しの前にした方がいいコト
  • 引越してから新しいご近所さんを懐柔するテクニック
  • 引越しアペロパーティーで注意すべきポイント

【スイスで引越し】事前にメッセージを郵便受けに投函するのがオススメ

ハローと書いてある便箋

引越しの日には、ドタバタがつきものです。朝早くから引越しのトラックで道をふさぐ、騒音を立てるなど、少なからずご近所さんにも迷惑がかかります。

そこでオススメなのが、引越しをする日の1週間ほど前に、ご近所さんの郵便受けにメッセージを投函すること。

メッセージは、A4の紙一枚、封筒なしでOKです。

  • こちらのエリアに引越してくる…です、と名前つきで自己紹介(詳細はなくてよい)
  • 引越しの日時
  • 当日はご迷惑をおかけしますが、どうぞご了承ください

といった内容を事前に連絡するだけで、新入りさんに対する隣人からの印象が、グッとアップします。

実際みなさんとてもうれしそうに「新しく引越してくる人、きちんと引越し日時を知らせてくれた感じのいい人だね」と、井戸端会議でテーマにしています。

【スイスで引越し】新しいご近所さんを懐柔するテクニック

近所の人と挨拶

引越しの最中もしくは当日

引っ越しの絵

もし引越しの最中もしくは当日、隣人と顔を合わせる機会があったら、

  • とりあえず自分の方からご挨拶
  • 落ち着いたら、お近づきになれるきっかけを作るので、また今度!

と、笑顔で話せば100点満点です。

引越しから1週間以内

引っ越しの招待状を書く便箋

日本といちばんちがう点は、引越しの挨拶で手土産を配る必要がないこと。

代わりに期待されているのが、アペロと呼ばれるパーティーを開くことです。

スイス人は、まだきちんとお互いの自己紹介もすんでいない他人が突然ドアベルを鳴らすことを、あまりよく思いません。それに、直接玄関先にうかがっても、相手は外出中の可能性も高い。

ですからアペロの招待状も、郵便受けに投函するのが無難です。

招待状といっても、引っ越し前の挨拶と同様に、A4サイズの紙だけでOK。
私の記憶では、封筒を使っていた人はこれまでにいなかったように思います。

招待状を郵便受けに入れるのは引越しから1週間程度の期間内に、そしてアペロパーティーを開く日程は、引越した日から3〜4週間後の日時を指定しましょう。

イチオシの曜日と時刻は金曜日の19時前後。週のあいだは予定が空けにくい、だけど週末はプライベートの日程をジャマすることになるという理由から、アペロパーティーにとって最適の日時とみなされています。

19時きっかりに開始したいのなら、um 19 Uhr
19時からオープンドアにしたいのなら、ab 19 Uhr

と区別して記すことも大事です。

「〜日までに参加/不参加の連絡をください」と記さないと、当日まで連絡がないこともありえますのでご注意!

どのご近所さんまで招待すべき?

カラフルなアパートが並ぶ

新居のある建物全体の軒数が10軒ほどなら、全世帯を招待するのがいいと思います。

特に賃貸の場合、スイスでは地下の洗濯室をすべての住人が共同で使うのが一般的なスタイル。
アペロパーティーで知り合いになっておけば、洗濯室の使用に関するもめごとが起きても対応しやすくなりますし、あてがわれた洗濯の曜日変更を誰かにお願いしたいときにも頼みやすくなる、という利点もあります。

新居がある建物にいるお隣さんが10軒以上ある場合には、向こう2〜3軒両隣(玄関の距離にもよるので)、プラス上下の階の隣人を目安にするのがいいでしょう。

アパートやマンションだと、上下の階の隣人も招待しておいた方が、お互いに気になる騒音について話し合うときに問題解決がスムーズに進みやすい、というのは私の経験からもお伝えできる大切なコトです。

アペロパーティーに招待しないご近所さんたちには、引越し後に初めて顔を合わせる際、自分から進んで声をかけ、「7月末に引越してきた者です。今後よろしく」と挨拶しましょう。

相手との会話の進み具合によって、握手と自己紹介も加えるのがいいと思います。

【スイスで引越し】好評! アペロパーティーの定番品

アペロパーティーの食べ物

「パーティーなんて、なにを準備すればいいのかわからない!」と心配しなくて大丈夫。

食べ物は、フィンガーフードで十分なのです。

  • 野菜スティック・ミニトマトとモッツァレラの串刺し
  • ポテトチップ・ナッツ・オリーブ
  • チーズ5〜6種類(なんてったってスイスだもの)
  • ハム・サラミ・ビーフジャーキーの盛り合わせ
  • スモークサーモンなどのカナッペ
  • 冷凍のミニピッツァ・ハム入りのクロワッサン(スーパーで買えるアペロ専用のものでOK)
  • パン
  • ケーキ

などが定番で、よく登場します。

ご自分がベジタリアンの場合は、肉抜きメニューを用意すればOK。

また、カジュアルなパーティーなので、ゲストの座席を決める必要はありません。

立食形式、もしくはパーティーの主催者が指定したリビングルームやキッチンでゲストが好きなように場所を変えつつ飲食を楽しむ、というのがよくあるパターンですね。

飲み物は、お水・オレンジジュース、デザート用にコーヒーと紅茶。

アルコールは、基本的に赤ワイン1種類あればOKです。シャンペンや多種類のワインは、主催者側が自分で飲みたいのであれば出せばいいし、出さなくてもかまいません。

飲み物と食べ物の量は、あらかじめ計算してくださいね!
理想は、「お腹いっぱいになったプラスα」の量がオススメです。

【スイスで引越し】引越しアペロパーティーで注意すべきポイント

危険なので注意の標識
  • 名字ではなく名前で呼び合う仲になる
  • 会話の内容

名字ではなく名前で呼び合う仲になる

NAMEの赤い文字

スイスの隣人関係では通常、互いの名前(私ならユキ)で呼び合います。

でも、名字から名前の仲になるときには、スイス社会に潜む暗黙の了解が適用され、これがちょっとわかりにくいので、以下の通りにルールの内容をまとめてみました。

名前の仲になるときの鉄則 = ヒエラルキー>年齢>性別

  • ヒエラルキー:社会での順位が上の人が下の人に
  • 年齢:年上が年下に
  • 性別:女性が男性に

お互い名前で呼び合いましょう、と提案できる。

ですから引越しの場合は、すでにこの居住エリアに住んでいた隣人が「私はマルコスです」と言ってから、新しい入居者が「私はユキです」と名前を告げ、握手する(コロナ以来もちろん中止。代わりに自分の胸に手を当てるのが一般的)というふうに、先住>新入りの順序で進めれば、角が立ちません。

注意:名前の仲になることを相手から提案されたら、断るのはとても失礼な行為。
相手に嫌悪感を示したい、または絶縁したい気持ちを伝えるためだけに使う、社交におけるレッドカードです。

また、名前の仲になったら、それ以後はいつも「ハロー、マルコス」と相手の名前こみで挨拶を交わすのがルールです。

会話の内容

5人が会話

あなたの前からこの土地に住んでいるご近所さんなので、買い物をどこでするのがオススメなのか、おいしいレストランやテイクアウトのお店は近くにあるかなど、居住地に関する話題だと無難です。

スイス人は旅行好きなので、パーティーにきている人の旅行先の思い出話が、あなたの次の旅先のヒントになるかもしれません。

引越しアペロパーティーのお開きの仕方

The End の幕

パーティーの開始時刻が19時からなら、22時くらいでお開きにして大丈夫です。

「では、そろそろこの辺で終わりにしたいと思います」とゲストにパーティーを終えたい意向をハッキリ告げても、スイスの感覚では全く失礼なことではないので、安心してください。

引越しで忙しくて疲れているのに、礼儀正しくアペロパーティーを開いた新しいお隣さんに、ご近所さんは好印象を持ったはずなので、新居での生活が順調にスタートできるはずです。

お疲れ様でした!

新情報【スイスで引越し】コロナ禍での対応は、どうすべき?

コロナ禍ですもの、気軽にアペロパーティーのご招待などできないし…とお悩みの方へ。

  • 引越し前:郵便受けへの短いメッセージを投函(引越し日時を明記)
  • 引越し後:再び郵便受けへメッセージを投函

という対策がベスト、というのが私のご近所さんたちの意見。

引越し後のメッセージには、「お近くに引越してきた○○です。コロナ禍でアペロのご招待ができないので、ご挨拶まで。新しい住まいでの生活を楽しみにしています」などとひと言添えるだけでOKです。

コロナだから、と挨拶抜きで新生活をスタートした隣人たちへの風当たりはとても強い、と近隣の井戸端会議を耳にして私は感じています。たったメッセージ1枚で状況がまったく変わるので、ぜひ試してみてくださいね。

まとめ:地雷を踏まない! スイスでの引越しの挨拶作法

隣人たちの家なみ

ご近所さんは、近くにいるけど自分で選ぶことはできない他人。

近くに住む人たちに、礼儀正しく引っ越しのご挨拶をすることが大切なマナーであることは、日本でもスイスでも大切なこと。

隣人との関係は、生活の満足度に大きな影響を与える大切な要因なので、住んでいる国のマナーに従い、快適な暮らし空間を作っていきましょう。

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