知らないとトラブルのもと! スイスの静寂時間

知らないとトラブルのもと! スイスの静寂時間 スイスライフ

わが家のご近所さん同士のトラブルが、ヒートアップしています。

ご近所さんバトルの火種:

最近引っ越してきた家族が、スイスの習慣「入居時の挨拶」と「静粛時間」の両方をダブルパンチで無視。

その結果、私が現在の場所に住むようになってからの過去10年間、本当に親切で、「この方たちがご近所さんで、私ラッキーじゃない?」と思っていたご近所さん3軒が…↓

噴火する画像に「不躾者め!」の文

「新入居者ファミリーのすることなすこと、腹が立つ」と、大噴火。

地元の人にしてみれば「知っていて当たり前」、だけどスイスへの新参者にしてみると未知の常識、「スイスでの静粛時間」について、スイス潜伏歴四半世紀の私が解説をしていきます。

スイス社会の暗黙の規律・静粛時間とは?

  • 毎日22時から6時
  • 月曜〜土曜日の12時から13時
  • 日曜・祝祭日

以上の時間帯には、
隣人の迷惑にならないよう、できる限り音を出さない
というスイス社会でのルール、それが「静粛時間」です。

習慣に基づく「暗黙のルール」なわけですが、スイスの連邦・州・市町村が共同で作っているサービス案内サイトには、

この時間帯に騒音を立てている隣人がいる場合には、地元の警察に連絡をとることもできる。

引用元:DIE SCHWEIZER BEHÖRDERN ONLINE, ch.ch: Lärmbelästigung und Nachbarschaft
サイト運営者が内容を翻訳

と掲載されているので、気軽に「無視して平気よ〜」というレベルでないことは確か。

騒音を出してもいい例外として、これまた暗黙のうちに認められているのは、8月1日の建国記念日大晦日

この両日は、市町村の企画や個人による花火の打ち上げがあるので、夜遅くまで騒いでいても苦情は言われません。


なにを隠そう私自身も、スイス生活のビギナーだったときにこの「静粛時間」なるものの存在を知らず、静かにするべきお昼の時間帯に、ガンガン騒音を立ててしまった苦い経験があります。

自宅で掃除機(しかもダイソンでかなり音が大きい)をかけていたら、

もしかして、知らないんでしょ? 今は静粛時間なのよ

と、親切な近所の方にご教示いただけた私は、ホントにラッキーでした。他のネイバーなら、カンカンに怒っていたかもしれないので。

着物で三つ指。その節は、本当にありがとうございました。

子連れのファミリーの静粛時間対策:先回りの挨拶でトラブル予防

静粛時間が社会でこれだけ大きな意味を持っているのなら、

小さい子連れのファミリーはどうすりゃいいの?

子どもの夜泣きなどで、一定の期間隣人に迷惑をかけてしまう可能性がある場合には、必要な範囲で自分たちの生活状況をご近所さんに説明し、問題が起きる前に理解してもらえるような姿勢をみせることも大事。

ものすごく上手に対応しているご近所さんの例を、ご紹介しますね。

静粛時間対応の模範例:両親・子ども3人(年子で下は双子)の家族

双子の赤ちゃん

このご家族の「抑えきれない騒音」への対応は、お見事でした。

双子ちゃんが誕生してすぐ、私たちの郵便受けには可愛らしい写真とともに、こんなメッセージが届きました。

「ご近所のみなさまへ

ひとりが泣き出すと全員の大泣きコーラス、できるだけ早くおさまるように私たちも心がけるので、どうぞしばらく目をつぶってください。

私たちも慣れないことが多いので、迷惑をかけてしまうと思いますが、ちょっと時間の猶予がいただけたらウレシイです。

だけど、先回りして謝ります。

隣人のみなさま、もし私たちのせいで気に触ることがあったら、ごめんなさい!」


けっしてうるさい人たちではないのですが、このファミリーの生活音は、当然ながら他の世帯より多めです。

でもメッセージのおかげで、隣人たちは温かい目で家族を見守り、クレームをあげた人は今までゼロ。

むしろみんな、このファミリーを応援しています。

先回りしたチャーミングで礼儀正しい対応で、隣人とのトラブルが発生する前に、「静粛時間」ルールにうまく対応できた一例だと思います。

まとめ:スイスの「静粛時間」にうまく対応するヒケツ

一歩先回りした丁寧な対応で、「静粛時間に違反する不躾者」とレッテルを貼られることを防ぐ
→  隣人問題の火元になる可能性をシャットアウト!

スイス民法典のObligationenrecht (Art.257f) という法律では、「他の居住者に対して思慮深い行動をとること」が定められています。

「思慮深い行動」の解釈には個人差がありますから、難しい問題ですが、社会に根付いている習慣を無視すると、「知らなかったから…」では済まされないトラブルを引き起こす原因になりがち。

わが家でも、娘の誕生日パーティーを開催したときには、常に先回りしてご近所さんたちの郵便受けに、
「来る週末、娘の誕生日パーティーをわが家で行います。多少の騒音が出てしまうと思いますが、ご理解のほどよろしくお願い致します」
メッセージを届ける方法で、何の問題も起きませんでした。

そして必ず、ご近所さんから「お気遣いありがとう!」と感謝の一言がありました。

かわいい便箋

地元の風習を尊重することで、心地よい隣人関係を築くベースが出来上がるのは、どのお国でも同じこと。

ご近所さんとの友好的なお付き合いは、毎日の暮らしの質に影響を与える大切なポイントなので、この記事の内容を参考にしていただければ、とてもウレシイです♪

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