【くしゃみのマナー】ドイツとスイスの普通は何？新マナー基準で一悶着

「くしゃみ」が出た時に、礼儀正しいとされる対応法は何なのかというテーマについて、現在スイスとドイツのマナー協会が新たなマナーを推奨中。

新旧マナーの相違点と、スイス潜伏歴四半世紀の私が思う、社会で普通とされるくしゃみのマナーのお話です。

【くしゃみのマナー：現行版】ドイツとスイスでの普通のリアクション

【くしゃみのマナー：現行版】

もし誰かがくしゃみをしたら…

→ 周囲にいた人がくしゃみをした人に「Gesundheit」と声をかける

Gesundheit＝直訳では、「健康」。意味的には「お大事に」として使われる

母親業ではスイス人、ワーキングマザーとしては主にドイツ人と交流してきた私の経験では、上記↑の対応が、くしゃみが出た際、社会で受け入れられているマナーだと言えます。

公共の場所（交通機関・スーパーマーケットなど）で、くしゃみをした人がまったく知らない人であっても、偶然近くにいた人が「Gesundheit」という声かけをするのがごく普通というのが、現在までのマナーです。

もし誰かがくしゃみをしたら…

【正しいマナー】新たに推奨されているルール

【マナー違反】新たに推奨されているルール

なぜすでに皮肉バージョンまで考慮されているのかは、不明です。

ドイツとスイスのマナー協会は、これまで社会で受け入れられていた礼儀正しい「くしゃみのマナー」は、コロナ以後の社会生活では、無礼にあたると考えているようです。

という現行の習慣は、コロナの影響を考慮すると非常に不快なので、問題ではないかという質問が、マナー講座の参加者たちから寄せられることが多くなっているそうなのです。

この点は、わかりますね〜。なぜなら、私も最近「どうすればいいの？」と困った体験をしたばかり。

先日、私が乗車していたバスの車内でも、立て続けにくしゃみをした女性客がいたのです。

彼女はくしゃみが落ち着くと、他の乗客に向かい、「花粉アレルギーです！コロナではありません」と説明を開始。

そのひと言で周囲の緊張が解けた感さえあったのですが、その場に居合わせた乗客たちは（私を含む）、さりげなく顔を見合わせて、「今ここで『お大事に』発言って、すべき？　それとも黙って見過ごしてあげたほうが親切？」と、悩む様子がありあり。

あえて「お大事に！」と声をかけることで、くしゃみをしたご本人が「公共の場でくしゃみ＝菌を撒き散らす」的な印象で見られる可能性があるので、恥ずかしい思いをしてしまうかしら、なんて、周囲の以心伝心力を感じましたから。

ドイツとスイスのマナー協会が新たに推奨したい「くしゃみのルール」には、ふたつの問題点が指摘されています。

ひとつ目の点ですが、くしゃみをした人に対して「お大事に」と声かけをすることで、場が和らぐのは、本当にそうだというのが、私の体験です。ただし、コロナ以前のことですが。

ふたつ目の点、「謝罪」についてですが、これはもうヨーロッパらしさが最も顕著になるテーマ。

私の個人的な体験では、ドイツ人もスイス人も、「謝らないこと」にかける情熱が、並大抵ではありません。

ですから、「くしゃみをした本人が謝罪の言葉を添える」なんて、たとえマナー協会の推奨であっても、そんな新マナーに従おうとする方は、いないであろうというのが、私の予想です。

100スイスフラン賭けてもいいほど、外れない自信があります（意味ないけど）。

くしゃみが出た後、周囲に人がいる状況で、ティッシュで鼻をかむ行為は、スイスではマナー違反ではありません。

鼻をかむ際、人がいない方に向いて鼻をかむべきだと私は思うのですが、地元の人はそんなに思慮することなく、ブーブー人の目の前で鼻をかむ姿も、スイスではよく見られる光景です。

禁止行為は、鼻をすすること。日本の習慣で、無意識につい鼻をすすってしまうと、周囲からものすごく白い目で見られることは確実ですので、お気をつけあそばせ。