【Onスニーカー】発祥地スイスでの評判は悪い?!現地発の口コミ

スイスライフ

スイス生まれのOnスニーカーは、日本でも大人気。けれどもブランド発祥地のスイスでの評価は下降中。

地元メディアが報じた悪評価の内訳を、私が実際に耳にした本物の口コミ付きでご紹介します。

スイス生まれのシューズメーカー「On」とは?

スイス生まれのシューズメーカー「On」とは?
  • 2010年、スイス・チューリッヒでランニングシューズに特化した企業として設立される
  • 2015年、日本への事業展開
  • 2019年、スイス人の元テニス選手、ロジャー・フェデラー氏が共同投資家・共同開発者に加わる
  • 2021年、新規株式公開時に設立メンバーが100人の走者と共にニューヨークのウォール・ストリートをマラソンしたパフォーマンスと、予想以上の高値(当時の時価総額約2520億円/23億1200万ドル)が話題になる
  • 2024年現在、Onスニーカーは50ヵ国以上の国々で販売中。今ではランニングシューズだけではなく、多彩なアウトドア用品も提供し、特にアメリカでは「On」のアイテムが人気沸騰中

【Onスニーカー】世界では大人気、発祥地スイスでの好感度は爆下がり

【Onスニーカー】世界では大人気、発祥地スイスでの好感度は爆下がり

世界進出を展開してから、急成長を遂げているブランド「On」のスニーカー。

Onスニーカーの発祥地・スイス国内でも、瞬く間に愛用者が増えたのですが、昨今では、メディアでの否定的な報道が目につくようになりました。

「On」は株式上場までスイスの秘蔵っ子として国内で高評価・大人気

「On」が設立されてから数年は、

  • アイアンマン・レースで大活躍したオリヴィエ・ベルンハルド氏と友人たちが、チューリッヒのガレージで始めたスタートアップ企業であること
  • 元アスリートの経験と連邦工科大学チューリッヒ校で開発したクッショニング技術を用いて、スイスらしい高性能のランニングシューズを作りたいという経営者たちの熱い想いが度々報じられる
  • Onスニーカーの履き心地の良さに惚れたロジャー・フェデラー氏が投資・開発・宣伝面での参加を表明する

などの影響を受け、スイス国内での「On」に対する評価は、まさに「向かう所敵なし」状態。

特に、「連邦工科大学チューリッヒ校&ロジャー・フェデラー氏」のコンビネーションは、スイス国民にとって誇りの象徴がタッグを組んでいるワケですから、ブランド物には普段関心を示さないスイス国民のハートが炎上!

街中でも、Onスニーカーを着用している人が続々と増えたなぁと、在住者の私は感じていました。

たとえば、バスケットボールのスイス代表試合を訪れた際には、会場を埋め尽くすと表現しても過言ではないほど、観客の足元はOnスニーカーのオンパレード。

その日、あいにくとアディダス(←ドイツが本拠地)スニーカー(しかも新品)を履いていた私は、連邦工科大学チューリッヒ校出身の義妹に、「そのスニーカーは非国民の証!今から買うなら、Onでしょ?!」と、本気でお説教されたほど。

たまたま周りにいた観客たちも、「Onはホントに履きやすいからね〜」「やはりスイスの品だから」と絶賛するという、スイスにしては稀な経験(例:見知らぬ人とは話さない)のおまけつきでした。

「On」は株式上場で憎まれっ子に変化?スイス国内での評価ガタ落ち

「On」は株式上場で憎まれっ子に変化?スイス国内での評価ガタ落ち

ところが、です。

「On」が上場企業になって以降、スイス国内ではOnスニーカーへの批判的な意見を、現地のメディアで度々目にするようになりました。

批判の対象は、「Onスニーカーの品質と値段」

スイス国内での報道で問題視されている内容は、以下のとおりです。

【Onスニーカー】スイス国内での批判①値段が高いのに長持ちしない

【Onスニーカー】スイス国内での批判①値段が高いのに長持ちしない
画像はイメージです。

スイスの消費者保護マガジン「K-TIPP」は、さまざまな商品の質と値段を分析し、商品購入やサービス利用について、消費者に喚起を促すことを目的としている雑誌で、スイス公共テレビ局には、同名の番組もあります。

この「K-TIPP」が、「Onスニーカーは値段が高いのに、長持ちしない」という利用者の体験談を、

  • ジョギングが趣味の人は3ヶ月(走行距離500km)で底が剥がれた ←他社製品は倍以上長持ちしたと、実際の走行距離記録で確認
  • 日常使い用に数足所持していた人は、半年ほど(週3〜4回の利用)で複数の靴の内部かかと部分が破けた ←顧客サービスに苦情を入れるも満足な応対なし

と、実例を挙げて報道(2020年)。

ちなみに、雑誌・番組内で指摘された「Onスニーカーは長持ちしない」という批判は、私の家族や知人たちの体験談と、まるで同じ内容でした。

みんなあれほどOnフィーバーではしゃいでいたくせに、「高いのに、わずか数ヶ月で穴が開いたから、もう買わない」と不満タラタラ。

Onスニーカーの靴底デザインがどうしても好きになれず、結局1足も購入しなかった私は、なんだか得した気分です(笑)。

【Onスニーカー】スイス国内での批判②スイス製ではなくベトナム生産

【Onスニーカー】スイス国内での批判②スイス製ではなくベトナム生産

「高品質=スイス製」のイメージを固守するために、スイスには「スイスネス」という法律があります。

スイスネス法では一般的に、「製造過程の60%がスイス国内で行われている商品は、メイド・イン・スイスと公称できる」と定められ、スイス国旗付きのPRも認められているのです。

ベトナムで生産されているOnスニーカーは、このスイスネス基準に該当しません。

「On」の商品開発は、現在もスイスの本拠地で行われているそうですが、スイスネスに満たないOnスニーカーが、「スイスの〜」肩書付きで世界で人気の品になっている状態は、スイスらしさにこだわる国民にとって、カチンとくる点。

物価の高いスイスでは、同一商品の値段が近隣国よりも高く設定してあるので、とあるディスカウントショップが、外国から逆輸入したOnスニーカーを、スイスでの小売価格よりお得な値段で国内販売したところ、スニーカーのかかと部分にスイス国旗が付いたデザインだと、販売開始後に発覚。

そのため、「商品からスイス国旗を排除しなければ、スイスネス法の違反!」だと、一悶着起きたこともありました。

スイスネスの詳細説明は、コチラ↓の記事でご覧ください。

【Onスニーカー】スイス国内での批判③他社製品よりマージンが高い

【Onスニーカー】スイス国内での批判③他社製品よりマージンが高い

マージン

原価と売価の差額。もうけ。利ざや

引用元:コトバンク 出典:小学館 デジタル大辞泉 「マージン」(閲覧日2024/01/22)

批判①で登場した、消費者保護マガジン「K-TIPP」は、独自調査でOnスニーカーと他社製品の「原価」と「売価」を、以下の例で比較しています。

原価スイスでの売価
Puma (Magnify Nitro SP)31 CHF112 CHF
Adidas (Ultraboost)28 CHF140 CHF
On (Cloudsurfer)20 CHF220 CHF
1CHF(スイスフラン)=170.35円 (2024/01/22のルート)。
引用元:SRF <On erzielt hohe Margen mit teuren Turnschuhen> (更新日2024/01/17)(閲覧日2024/01/19)

他社のスニーカーと比べて、「On」が高いマージンを取っていることに対し、スイスの非営利団体「Public Eye(=企業と政治による人権保護を目的とする団体)」は、マージンをベトナムの生産工場労働者たちの賃金引き上げに充てるべきだと、要求しています。

【Onスニーカー】スイス国内での批判④経営者たちがボロ儲けしている

【Onスニーカー】スイス国内での批判④経営者たちがボロ儲けしている

スイスは物価も賃金も高い国ですが、急成長した「On」の経営者たちは、他のスニーカー企業の売上高・時価総額及びCEOの年収と比較した場合、破格に多い年収をガッツリ稼いでいるという事実も、反感の背景にあると思われます。

時価総額

上場企業の価値を表す指標の一。……株価に連動することから、市場の評価による企業の価値と考えられ、企業が持つ資産や、利益を生み出す力、成長力などが総合的に反映される。

引用元:コトバンク 出典:小学館 デジタル大辞泉 「時価総額」(閲覧日2024/01/22)

スイスのオンライン情報サイトwatsonによれば、

  • スニーカー業界リーダー・ナイキのトップ陣営5名の年収は総額101億USドル
  • 「On」と時価総額が同レベルだったアンダーアーマーのトップ陣営5名の総額年収は16億USドル
  • 「On」のトップ陣営5名の年収総額は88.6億USドル
  • 手堅い売り上げを維持している日本企業・アシックスCEO尾山基氏(当時)の年収は「わずか1億1600万円」

と比較(上記データは記事が公開された2022年当時のもの)。

ちなみに日本円に換算すると、「On」経営陣トップ5名の年収は、一人頭約28.8億円 (16’900’000CHF)になります。1CHF(スイスフラン)=170.35円 (2024/01/22のルート)。

【Onスニーカー】スニーカー専門店経営者と消費者保護財団も品質を批判

【Onスニーカー】スニーカー専門店経営者と消費者保護財団も品質を批判

これまでは、「値段が高い割にすぐ壊れたから、私はもう買わない」という意見が、少なくとも私の周りでは個人レベルで交わされていたOnスニーカー。

けれども、上記の批判3点目、「Onスニーカーが搾取するマージンの高さ」が新たに指摘された2024年1月現在、消費者保護財団SKSの代表者と、スイス国内のスニーカー専門チェーン店経営者も、私が直接耳にした口コミと一致するOnスニーカーへの批判を、メディアで発言。

Onスニーカーが醸し出す爽やかで高級なイメージは、スイス社会でガタ落ちしているという印象を、在住30年の私は受けています。

私が現地で耳にした体験談と情報が、スニーカー購入時の参考になれば、幸いです。

私は次回、アシックスのオニツカタイガーを買おうかな🎶

「値段が高くても、ルイ・ヴイトンの品質は素晴らしい!」と、私が実感したドジな体験談に興味のある方は、コチラ↓の記事をご覧ください。

<参照サイト>

Blick <«So viel Geld für schlechte Schuhe mit so wenig Technologie»> (更新日2024/01/19)(閲覧日2024/01/19)

SRF <Trendschuh On: Teuer und schnell kaputt> (更新日2020/12/08)(閲覧日2024/01/19)

SRF <On erzielt hohe Margen mit teuren Turnschuhen> (更新日2024/01/17)(閲覧日2024/01/19)

watson <So dreist sind die Wahnsinnslöhne der On-Schuh-Millionäre im Vergleich mit Nike und Co.> (更新日2022/04/20) (閲覧日2024/01/19)

20min <Schweizer Fahne auf On-Schuh – Otto’s droht Ärger> (更新日2020/03/14) (閲覧日2024/01/22)

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