1974年に誕生したハローキティは、1967年生まれの私にとって、かけがえのない幼少期からの「お友だち」。
スイスで娘が誕生してからは、母娘でキティちゃんのファンになった私ですが、サンリオという企業が誕生した根底には、サンリオ創業者であり、戦争体験者の辻信太郎さんの平和への願いが込められていることを、Yahoo!ニュースのオリジナル特集記事から、初めて知りました。
【みんな仲よく】サンリオの企業理念は戦争体験からの平和への願い
1945年7月6日、死亡者1127人・市街地の7割以上が焼け野原になった甲府空襲。
罪のない一般市民が次々と殺されていく壮絶な状況を生き延びた辻さんは、甲府空襲での体験をもとに、人間同士が仲よくなるために役立つものを作ることを、決意されたそうです。
この辻さんの信念から生まれたのが、サンリオの「Small Gift Big Smile」と、世界平和を願う「みんな仲よく」という企業のモットー。
誰かに小さなプレゼントを渡すことから、「みんなが仲よく、助け合う世界が生まれる」という願いが、サンリオの商品に注がれているそうです。
長年のキティちゃんファンであり、いちご新聞(なんと45年前から発行中!)の読者でもあった私は、あの可愛いキャラクターが誕生した背景に、創業者の方の悲惨な戦争体験があったとは、思ってもみませんでした。
2022年現在94歳の辻さんは今でも、サンリオファンにはお馴染みのいちご新聞で、「いちごの王様からのメッセージ」として、平和の大切さを盛んに訴え続けていらっしゃいます。
【サンリオの名前の由来】San Rio=聖なる河
子どもの頃に何度か不思議に思った、サンリオの名前の起源。
サンリオの公式サイトにある、辻会長ご自身のメッセージに、以下の説明を発見し、初めて意味がわかりました。
SanrioとはSaint River「聖なる河」を表す言葉なのです。
引用元:Sanrio 創業者からのメッセージ <清らかな川のほとりに聖らかな文化を築こう>
私たちは「人類が最初に住み始めたと言われる河のほとりに聖らかな文化を築きたい」という気持ちでこの会社を設立し、「其処に集まる人々がお互いに思いやりを持ち、仲良く暮らせるコミュニティ(集団)を作りたい。」という願いをこめて今日まで運営し続けています。
サンリオの「みんな仲よく」は戦時中のどぶ川での逃避体験から誕生した聖なる河
冒頭でご紹介したYahoo!ニュースのオリジナル特集記事でも記されているのですが、コチラ↑のテレ東BIZによるYouTube動画では、焼夷弾の火の手から逃れるために、生活用水が流れ込んでいた汚いどぶ川の中を、妹さんを背負いながら逃げた様子を語る辻さんと周囲の人々の様子に、本当に胸が痛みます。
サンリオの「聖なる河」という命名は、死と隣り合わせだったどぶ川での逃避体験から辻さんが心に銘じた「みんな仲よしの世界を実現する」という信念が生まれたことにも関係するのではないかなどと、記事と動画を拝見した私は、思いを馳せてしまいました。
それにしても、「態は心を表す」とは、まさにこのことかと、動画内での辻会長のお姿を見て感じ入ります。
【Kawaiiパワーを科学で分析】Kawaiiと幸福度の高さの関連
サンリオの系列会社・サンリオエンターテイメントは、新たな試みとして、Pwcコンサルティングと合同で、「脳科学X幸福学X Kawaii研究」をスタート。
「全国Kawaii実体・幸福度調査2021」の結果が発表されていたので、以下に概要をまとめました。
「脳科学X幸福学X Kawaii研究」の概要
- 研究目的:幸福学・脳科学の知見からKawaiiのメカニズムを解明・分析し、世の中の幸福度を高める
- 調査方法:インターネット調査/全国の15〜79歳の男女5,703名が有効回答
「脳科学X幸福学X Kawaii研究」主要調査結果
Kawaiiという感情を持つ人ほど、幸福度が高い傾向にある
研究の詳細に興味がある方は、コチラ↓のリンクへ。
参照元:サンリオエンターテイメント <“Kawaii”についての共同研究第一弾「全国Kawaii実態・幸福度調査2021」の結果を発表>(更新日2021/09/02)(閲覧日2022/08/17)
【Kawaiiパワーを科学で分析】幸福度ってどうやって調べるの?
ところで、「幸福度」という漠然としたものを、いったいどうやって測定するのか、気になりませんか?
サンリオエンターテイメントとPwcによる「脳科学X幸福学X Kawaii研究」では、幸福学研究者である前野隆司教授(慶應義塾大学)による「幸福度指標」を使用しています。
前野隆司教授の「幸福度指標」では、
- 人生満足尺度(SWLS):心理学で幸福度の総合指標として幅広く用いられている、Ed Dienerが開発した測定メソッド
- 幸せの4因子:前野教授の開発による「やってみよう・ありがとう・何とかなる・あなたらしく」に基づく測定法
のコンビネーションによる質問への回答から、研究に参加した人たちの「幸福度」を数値で把握しています。
具体的な質問内容は、以下の通りです。
人生満足尺度 (SWLS) 35点満点 | ・ほとんどの面で、私の人生は私の理想に近い ・私の人生は、とてもすばらしい状態だ ・私は自分の人生に満足している ・私はこれまで、自分の人生に求める大切なものを得てきた ・もう一度人生をやり直せるとしても、ほとんど何も変えないだろう |
第1因子 「やってみよう!」 28点満点 | ・私は有能である ・私は社会の要請に応えている ・私のこれまでの人生は、変化、学習、成長に満ちていた ・今の自分は「本当になりたかった自分」である |
第2因子 「ありがとう!」 28点満点 | ・人の喜ぶ顔が見たい ・私を大切に思ってくれる人たちがいる ・私は、人生において感謝することがたくさんある ・私は日々の生活において、他者に親切にし、手助けしたいと思っている |
第3因子 「なんとかなる!」 28点満点 | ・私はものごとが思い通りにいくと思う ・私は学校や仕事での失敗や不安な感情をあまり引きずらない ・私は他者との近しい関係を維持することができる ・自分は人生で多くのことを達成してきた |
第4因子 「あなたらしく!」 28点満点 | ・私は自分のすることと他者がすることをあまり比較しない ・私に何ができて何ができないかは外部の制約のせいではない ・自分自身についての信念はあまり変化しない ・テレビを見るときはあまり頻繁にチャンネルを切り替えない |
前野教授の幸福度指標は、全てフリーで利用可能とのことなので、詳細をご覧になりたい方は、コチラ↓のリンクへどうぞ。心理学部で修士論文作成準備中の学生さんにとっては、絶好のインプットだと個人的には思います。
関連リンク:慶應義塾大学 前野隆司 <幸福度の推奨アンケート(SWLS、幸せの4因子など)について> (閲覧日2022/08/17)
「脳科学X幸福学X Kawaii研究」で使用された幸福度指標の質問項目は、コチラ↓の記事にも記載されています。
関連リンク:日経BP総合研究所 Beyond Health レポート <世界に冠たる日本の“Kawaii”、幸福度と脳科学から深堀りする>(更新日2021/09/09)(閲覧日2022/08/17)
【みんな仲よく】サンリオショップ・いちご新聞・祖母との思い出
コチラ↑のハローキティ・ソープディスペンサーは、わが家のキッチンで10年以上活躍している品です。
ハローキティの初商品、ビニール製のがま口「プチパース」をお小遣いでゲットして以来、サンリオの商品は、私の子ども時代と娘の成長過程で、私たちの心を温かくしてくれた大事なお友だちです。
高校時代には、キティちゃんそのものの形をした腕時計を使用していた私(どなたかご存知?ネット検索でも写真が見つからないわ。かつての同級生たちよ、思い出して笑うでない!)。
学校の服装検査に引っかかり、外すように指導されても、「時計ですから」と親に手紙を書いてもらっていた私は、昭和世代のキティラーだったのかもしれません。
いちごの王様からのメッセージ「みんな仲よく」が叶う世の中を祈って
とりわけ私の記憶に残っているのは、祖母との思い出。
「好きなものを買ってあげるから」と言われた私が目指したのは、もちろん渋谷のサンリオショップ。
私と一緒にサンリオショップデビューをした祖母は、超・長時間かけて買いたいものを選んでいた私を(サンリオショップあるあるですよね)、気長に待ってくれました。
私が商品を吟味していた間、店内にあったいちご新聞を手にした祖母。当時私には何も言いませんでしたが、サンリオ創業者の辻さん同様、戦争体験者であった祖母は、「いちごの王様からのメッセージ」が、大変心に響く内容だったのでしょう。
店員さんに、いちご新聞のアレコレをおたずねしてから、「このサンリオというお店、おばあちゃまもすごく気に入ったから、ユキちゃん、もっと買い物していいわよ」と私に告げた祖母。
当時の私は、「わ〜い!もっとキティちゃんのものが買えるなんて、ラッキー!」くらいにしか思わなかったのですが、時を経た今、辻会長がいちご新聞で発信し続けている世界平和と「みんな仲よく」のメッセージ、そしてサンリオの企業理念の背景を知り、胸が熱くなりました。
戦争体験者の方たちが、私たち次世代に伝えてくださるメッセージを大切にして、「みんな仲よく、互いに助け合う世界」が、いつの日か実現されることを祈っています。
そのためには、たとえ小さくても心が温まるようなプレゼント(品物か目に見えない物を問わず)を誰かに贈り、みんなが仲よくできる社会作りに、私もわずかでも協力しなければと思っている次第です。
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シリアスな内容の今回の記事とはかけ離れた記事ですが、私がサンリオファンであることの証です。