ヨーロッパの空港は、コロナ禍の解雇により発生した人員不足のまま、2022年の夏休み旅行シーズンに突入したため、どこもかしこもカオス状態。
2023年9月現在も、空港での人員不足は解消していないようで、私の居住地・スイスでは、ロストバゲージに関する記事が、メディアでも度々取り上げられています。
スイスやドイツの報道機関によれば、チェックインした搭乗客を乗せたものの、手荷物の搭載が間に合わないため、スーツケースを置き去りにしたまま出発する便が多発しているとのこと。
そこで今回の記事では、元エアライン出身の私が、現地で得た情報と自分の体験から、
- 大混雑のカオスになっているヨーロッパの空港はどこ?
- パッキング中にできる「ロストバゲージ対策」
- 自分の手荷物が紛失してしまったら、どう対応すればいいのか?
という内容を、ご紹介していきます。
【欧州の空港大混雑】欠航・遅延・手荷物紛失、カオス状態の空港はここ
いわゆるハブ空港(=さまざまな航空路線の中核となる空港)は、超混雑という表現では足りないほどのカオス状態で、
- チェックインのための長蛇の列
- ロストバゲージ
- 急遽欠航
という問題が、もはや日常茶飯事で発生中です。
特に尋常ではない混雑度に達しているのは、
- イギリス:ヒースロー
- オランダ:スキポール
- ドイツ:フランクフルト
- フランス:シャルル・ド・ゴール
2022年の夏以降も、空港の大混雑は続くだろうと予想されています。←あいにくと、2023年9月現在、問題は未解決のようです。
【欧州の空港大混雑】もはやロストバゲージは当たり前?!体験談
空港の混雑ぶりは、「よかった〜。私はガトウイックだから、大丈夫ね」なんて喜んでいられるレベルではありません。
実際、私の友人が体験したばかりの出来事なのですが、ガトウイックを利用した友人は、チェックインの4時間前(!)に空港到着。長蛇の列に並び、フライトは大幅に遅延したものの、無事スイスに帰国できたと、ホッとしていました。
ところが同日にヒースローからアムステルダムへ帰国した友人のお友だちは、出発時刻の5時間前に空港に向かったものの、出発時刻の15分前までチェックインも終えられない状態。
出発時刻後に保安検査を通過し、搭乗できたと喜んだのも束の間、オランダのスキポール空港に到着してから、なんと自分のスーツケースは搭載されていなかったと判明。
ところが、ヒースローに手荷物が残ったままの搭乗客は、このお友だちだけではなく、周囲にいた乗客の多くがロストバゲージになっていたとのことです。
ですから、混雑度のレベルで比べたら、ガトウィックがハブ空港のヒースローよりまだまし、という状況のようです。
【欧州の空港大混雑】悪循環の4大要因:カオスは当面解決の見通し立たず
- コロナ禍の大量解雇による人員不足
- コロナ対策が撤廃され、旅行が大ブーム
- 欠員を補うため、職員は常に超過勤務状態。病欠者が多発するので、さらにストレスが増す悪循環
- 劣悪な労働環境の改善を求めて、ストライキも多い
ドイツ語圏のメディアでは、2022年の夏の間、ヨーロッパの空港における大混雑と、乗客のイライラ体験が解消される見通しはないと、連日報道しています。
例えばルフトハンザは当面、優先チェックインのサービス中止を決定したばかり(2022年7月15日)。
ヨーロッパでの発着便を利用する際、ビジネス/ファーストクラスの利用者、およびプレミアムメンバーのステイタスを所持している乗客も、現状ではいつも通りのサービスが廃止されている可能性がありますので、ご注意!
参照サイト:SPIEGEL <Lufthansa bremst Vielflieger aus>(更新日2022/07/15)(閲覧日2022/07/20)
スイスの空港も前代未聞のカオス状態。空港ビル屋上に紛失手荷物保管
国が小さいため、もともとフライトの便数が多くないスイスでも、「前代未聞のカオス」に陥っているようです。
実に通常の5倍以上のロストバゲージが、2022年7月現在、チューリッヒ空港では発生しているとのこと。特に、乗り継ぎ便は、ロストバゲージになってしまう確率が高いそうです。
紛失してしまった手荷物の置き場が不足しているため、チューリッヒの空港ビル屋上に、スーツケースを山積みにした台車が大量に並んでいる写真を、スイスの日刊紙が掲載していました。
また、手荷物の受け取り所には職員の姿が見られず、到着便への情報もゼロ。大量のスーツケースが、ゴロゴロと無責任に放置されている現状も、搭乗客の「管理不十分で、他人の荷物を自由に盗める」という不満の声とともに、新聞社がレポートしています。
ちなみに、私が大ファンである「安住紳一郎の日曜天国」のアシスタント・中澤有美子アナウンサーも、2023年8月、ベネチアからフランクフルトで乗り継いで帰国した際のロストバゲージ体験を、コチラ↓放送分の冒頭で語っていらっしゃいます。やはり乗り継ぎ便はリスクが高い!
・・・わが家の娘のスーツケースも、フランクフルトからスイスへの乗り継ぎ便で、ロストバゲージになる事態が発生(2023年10月)。フランクフルトは、鬼門なのかしら。
以下にまとめた内容は、紛失したスーツケースが無事に手元に戻ってくるまでの手続きで実際に役立ったようなので、よろしければ参考にしてください。
【欧州の空港大混雑】ロストバゲージが発生する前にできること
現在のヨーロッパ発着便では、「万一」より高い確率で発生中のロストバゲージ。
- そもそも貴重品はスーツケースに入れない
- 到着後、すぐに必要となる薬・化粧品・最低限の着替えなどを機内持ち込みの荷物に入れる
という準備をしておいた方が、旅のストレスが軽減されると思います。
ロストバゲージに当たる確率が高すぎる現状で、少しでも不快さを軽減するために、搭乗前に「憂いに備える」方法は以下の通りです。
- 手荷物で預ける予定のスーツケースに、「自分の連絡先」を明記(メールアドレス・電話番号・自宅住所など)
- 紛失時に特徴がわかりやすいように、スーツケースの銘柄を把握し、写真に収める
- スーツケースに詰めた荷物の内容をリストアップ。できれば品物購入時のレシートもあれば尚良い
*ただし、手荷物紛失で補償される最高金額は1400ユーロと限定されており、紛失後21日以内に賠償金の要求を自分で申請する必要があるそうです。 - ロストバゲージの補償が付帯してあるクレジットカードを持参
国外旅行が多いわが家では、常に海外旅行保険のさまざまな特典が付帯してあるクレジットカードを旅に持参しています。
旅行時にロストバゲージなどの付帯特典が認められるかどうかについては、それぞれの発行会社が条件を定めているので、ご自分で確認してくださいね。
【欧州の空港大混雑】ロストバゲージが発生した際の対策4ステップ
旅行前に万全の準備をしていたのに、乗客にとって悪夢のロストバゲージが、よりによってあなたの手荷物に発生してしまった場合には、以下の対策手段を取ることをオススメします。
- 空港の手荷物管理所に「手荷物紛失届」を申請
- 利用した航空会社に「手荷物紛失」を申請
- 自分の権利を申請・主張
- 代用品購入のレシートは保管必須
【ロストバゲージ】空港の手荷物管理所に「手荷物紛失届」を申請
- 手荷物受け取り所のカウンターで、手荷物が出てこない旨を申請
- 手荷物受け取り所のカウンターにスタッフがいない場合、空港のオンラインサイトで「手荷物紛失」を申請
【ロストバゲージ】利用した航空会社に「手荷物紛失」を申請
乗り継ぎで、複数のエアラインを利用した場合には、それぞれの航空会社に自分で申請する必要があります。
できればEメールではなく、書留またはファックスのように、申請した証拠が残る形で届出を出す方法を、ドイツの消費者センターが推奨しているそうです。
【ロストバゲージ】自分の権利を申請・主張
紛失した手荷物が、運よく見つかった場合、利用客の手元に荷物を発送するサービスを、通常航空会社は提供しています。ただ、混沌とした現状では、荷物を空港まで自分で取りに来るようにと連絡する航空会社も珍しくないとのこと。
この点はもうど根性で、粘り強く交渉するしか方法がないようです。
上記の「ロストバゲージが発生する前にできること」に綴りましたが、発生後21日以内に賠償金の申請を行うことをお忘れなく!
【ロストバゲージ】代用品購入のレシートは保管必須
スーツケースの紛失により、旅行中に必要となる服や持ち物を買い足す場合には、すべてレシートを保管するようにしましょう。
航空会社は通常、「常識的な範囲」での購入金額への払い戻しを請け負ってくれます。
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ロストバゲージどころか、予約していた便が急遽キャンセルされてしまった場合の対応方法については、コチラ↓の記事にまとめました。
残念なことに、現在ヨーロッパの空港でロストバゲージに当たってしまう確率は、多くの高額当選者を出すスイスのロトに当たる確率より高いと思われます。
今回の記事で提供した情報が、少しでも楽しい旅のお役に立ちますように!