合法大麻が認められているスイスでは、合法大麻製品の新聞広告掲載OK。街中のありふれたスーパーで、買い物ついでに合法大麻を1箱、タバコを買う感覚で購入可能です。
スイス在住者の私が体験する「合法大麻のありふれた日常風景」を、ご紹介したいと思います。
一般家庭むきの広告と並ぶ「合法大麻オンラインショップ」の広告
今朝、2022年4月4日のことです。
スイス国内で最多読者数を誇る無料日刊紙・20Minの1ページ目をめくったら、私の目に飛び込んできたのは、合法大麻を扱うオンラインショップの広告。
しかもこの広告、ペットショップやお堅い本屋さんの広告と同じページに堂々と掲載されているのです。おまけに本屋さんの広告は、まもなく迎えるイースターのお祭りに合わせて、子ども向けのウサギの絵柄。
「大麻は違法」という日本の常識で育った私には、3日遅れのエイプリルフールのネタに見えました。
スイスで合法化されているCBD大麻とは?
2011年にスイスで合法化された大麻は通常、CBDと呼ばれています。CBDとは、カンナビジオールの略で、大麻に含まれる成分カンナビノイドの一種です。
合法大麻製品として認められているのは、向精神作用があるTHC(=テトラヒドロカンナビノール)の含有量が1%未満であることが条件。
THCの含有量が1%以上の大麻は現在でも、薬物として規制されています。
スイス連邦公式サイトに合法大麻トリセツがある!
ウェブ検索してみたら、なんとスイス連邦の公式サイトに、「合法大麻のトリセツ」を発見!
スイスは退屈と思って毎日暮らしている在住者の私、理系の真面目な学生がビジュアル系人気バンドのボーカルだと知ったような気分です(笑)。
スイス連邦の公式サイトでは、国内で合法のTHC含有量1%未満の大麻が、スイス近隣諸国では違法である可能性を示唆しています。
律儀なスイスの国民性を反映して、「合法大麻製品をスイス国外へ持ち出す場合には、該当国の法律を確認してください」という注意書きがあります。
また、「合法大麻を使用すると、血液内にTHCが計測される場合があるので、車の運転はやめておきましょう」というお達しも記載されています。
「運転禁止」ではなく、あくまでも「おやめください」の推奨スタイルなのが、何事につき個人の責任を促すスイス文化の典型です。
参照元:スイス連邦 ch.ch <Cannabis> (閲覧日2022/04/04)
【スイスの法律】合法大麻広告はOKでも、たばこの広告はNG
記事の冒頭でご紹介したように、合法大麻の広告は堂々と、新聞に掲載されているスイス。
でも、たばこの広告は一切禁止されているのが、興味深いところ。
医療・青少年関連組織が立ち上げた「子どもと青少年をたばこ広告から守るために」というイニシアチブが2022年2月13日に可決されたためです(賛成率56.6%)。
関連リンク:SWI swissinfo.ch <たばこ広告規制可決、動物実験禁止は大差否決スイス国民投票>
(更新日2022/02/13)(閲覧日2022/04/04)
【大麻合法国スイスの日常】CBD製品は街中のスーパーで買える
例えば、COOPというのはスイスで大手のスーパーマーケット・チェーン。私も週に数回、食料や日用品などを調達するために足を運んでいる、ごく普通のスーパーです。
COOPのオンラインショップを調べてみたら、フィルターなし/ありのCBD大麻が、1箱10本入りで販売されています。
お値段は1箱10スイス・フラン、日本円で1325円(2022年4月4日の換算レート、1スイスフランが132.45円)。ちなみにマールボロたばこのお値段は、1箱9スイスフラン、1193円です。
CBD大麻はオンラインだけではなく、スーパー内の精算レジにあるたばこ売り場でも購入できます。
【大麻合法国スイスの日常】高校卒業旅行の通達「大麻は吸っても売るな」
あいにくとコロナ禍の影響でキャンセルとなったのですが、娘のクラスでは高校の卒業旅行の行き先を、オランダのアムステルダムに予定していました。
その際、担任の先生が各家庭に配った通達内容には、「成人(スイスでは18歳)している生徒であれば、卒業旅行で大麻を吸ってもかまいません。ただし、生徒が大麻を売る側になってしまうと、卒業旅行に同伴する教諭だけでは解決できない大事になりますので、その点はご家庭でご指導ください」とありました。
そもそも、旅行先がアムステルダムに決まった理由は、一部の生徒たちがアムステルダムのコーヒーショップ(カフェではなく、大麻の購入/喫煙が可能なお店)で一緒に大麻の吸い納めをしてお別れしようと提案して、ごねたから。
コーヒーショップ訪問に興味のない生徒たちは、「行きたい人は、行けばいいじゃない」的なさらりとした対応で、普通の観光ルートを計画していました。
担任の先生は、50代のベテラン教諭。「私は今回、引率の立場なのでコーヒーショップには行きません」と、プライベートならあり得るの?と思わせる発言を生徒の前で平然と口にし、苦笑いしていたそうです。
お国が変われば、事情も変わる。以上、大麻合法国・スイスの日常を、スイス潜伏歴四半世紀のDr. ユキがお届けしました。