スイスでお葬式に参列:知人に永遠のお別れを告げる際の作法

スイスのお葬式マナー お墓の上に赤いバラ スイスライフ

私たちにもいつの日か訪れる「死」。

スイスに四半世紀住んでいる私は、こちらで親しくなったスイス人の友人・知人に最期のお別れを告げなければいけない場面を、何度か経験しました。

永遠の眠りについた人を葬送するときのスイスの風習は、日本でお葬式に参列する際のマナーとはかなり異なります。

そこで今回の記事では、スイスで知人に永遠のお別れを告げる際の作法について、私が体験から得た知識を以下のポイントにまとめました。

スイスのお葬式マナー:

  • 知人の死亡通知が届いたら、どうすべき?
  • 葬儀へ参列する際の作法:服装・葬儀場での注意点

・・・故人の葬儀を開催する側の家族として体験したスイスでの葬儀事情に興味のある方は、コチラ↓の記事をご覧くださいませ。

【スイスの葬儀】知人の死亡通知が届いたら、どうすべき?

死亡通知

ご遺族から電話で直接連絡がある場合

ものすごく親しくしていた人が亡くなった場合、ご遺族から直接連絡があり、○日まで自宅にいるので、最後のお別れを告げたかったらどうぞ、と連絡が入ります。

訪問する際、基本的に何も持参しなくてかまわないのですが、私は故人との思い出のある品(好きだったお花・お気に入りだった香りのろうそくなど)を最後のご挨拶としてお渡しするようにしています。

持参する品物が、亡くなった人とあなたにとってどんな思い出につながっているのか、ということをご遺族にひと言添えると良いでしょう。

新聞の死亡通知欄・死亡通知カードまたは知人を介しての連絡

スイスの新聞には死亡通知欄があるので、そのページから誰かの死を知るケースもあります。

死亡通知欄には、どのようなお葬式になるのかが記してあります。
例えば、教会でのお葬式で場所と日時が記してあれば、葬儀に参列したい人は誰でも、参列が可能。

もし身内だけのお別れとなる場合は、「近親者だけのお別れとなります」という文が添えてあります。
この場合、ご遺族に送るための専用のメッセージカードがお店で手に入るので、カードでご挨拶するのが無難です。

このカードに20スイスフランほど同封して「よければお花代としてお受け取りください」と書き添えて送る、という人もいるのですが、どちらかといえば年代が上の方が多いように思います。

私が知人・隣人に聞いた範囲では、お金は同封しない派が優勢でした。

最近は、死亡通知の欄に「よければこちらに寄付をしてください」と、故人や遺族が選んだ団体(動物愛護団体や医療福祉団体など)が指定してあるケースをよく見かけます。

そのような場合には、ご遺族宛ではなく、指定の団体への寄付をするのが良いでしょう。

誰かが亡くなったことを、死亡通知のカードまたは共通の知人を介して知るケースもあります。

この場合、お葬式の日程があなたのスケジュールで都合がつくなら葬儀に参列、無理な場合はご遺族にカードを送ることをおすすめします。

スイスで葬儀へ参列する際のマナー

葬儀へ参列する人

公的な場で執り行われる葬儀に参列する場合は、日本の葬儀参列マナーに準じた服装を選んでおけば、まちがいなし。

「公的」というのは、葬儀主催者が国などの公的機関であるとか、企業が主催する社葬である場合です。

ただ、ほとんどのケースはご遺族が主催するお葬式だと思います。どうすれば失礼のない参列の仕方ができるのか、日本とはちがう点をまとめたので、ご紹介していきます。

【スイスの葬儀】服装について

喪服の女性がハンカチを握りしめる
  • 暗めの色で(黒・濃紺・こげ茶・濃いグレーなど)
  • アクセサリーは控えめ
  • ノースリーブなら必ず上着を着用
  • パンツはくるぶしまでの長さで
  • サンダルはダメ

亡くなった人との関係が深いほど、黒一色・日本での喪服と同様レベルの服装を選ぶことをおすすめします。

日本人の私にとって驚きの事実。それは、スイス人はそもそも喪服を持っていないということ。

ですから、葬儀参列者でよくみかけるスタイルは、

  • シャツかブラウス
  • +ジャケットかカーディガン
  • +ボトムス(ジーンズOK)

のコンビネーション。

着古しすぎてだらしない感じのものは問題ありですが、きちんとしている印象を与えるものなら、それで大丈夫。

男性は、普段のビジネススタイルもネクタイなしが優勢なスイスでは、葬儀のときにもネクタイをしている人はほとんどいませんでした。

女性は、黒のストッキングをあえて履く必要はありません。

普段からストッキングを着用する人がスイスではほとんどいないので、スカート姿の参列者はみなさんいつも通りに、ストッキングなしでした。

持ち物も、私は黒で小さめのバッグを使うようにしているのですが、まわりは全然気にせず、普段使いのバッグをそのまま使っているようです。

私は2度ほど、真夏日に行われた葬儀に参列したのですが、クーラーのないスイスでは、外より冷えた空気が流れる教会の中も、耐えられないほどの蒸し暑さ。

このときには、みなさん我慢しないで教会の中でもジャケットを脱いでいましたので、この辺は臨機応変にまわりの人たちを観察しながら対応するのがいいと思います。

友人・知人のレベルで参列する際には、あまり黒ずくめの服装だと、かえって浮いてしまうので、あえて黒以外の暗めの色を選ぶのもいいかもしれません。

【スイスの葬儀】お香典は?

葬儀会場でお香典をお渡しする習慣は、スイスにはありません。

【スイスの葬儀】教会で葬儀に参列する際の注意点

教会の葬儀参列者と花に囲まれた骨壷

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教会の入り口周辺に、ご遺族がいらっしゃると思うのですが、特別な受付などはなにもありません。

もし、ご遺族と顔見知りであるなら葬儀のミサの前後でご挨拶、そうでなければミサの後でのご挨拶が一般的なようです。

教会の中で座る場所は、近親者であるほど前の席に着くのがルール。

教会の中に棺があっても、亡くなった方に直接対面することはありませんでした。また、葬儀の前にすでに遺灰になっている、もしくはお墓に埋葬済みのケースもありました。

棺かお墓に花をたむけるセッティングの場合、参列者は自分でお花を用意する必要はありません。

最後に:お葬式でのスイスの礼儀作法

白紫陽花と天使

私が参列した葬儀ではミサだけではなく、家族や本人のメッセージを読み上げる、故人が愛した音楽を流すというふうに、参列者が亡くなった人との思い出を共有する場として使う、温かい空間になっていました。

特に印象に残っているのは、「故人は、思い出として心の中に生き続けます。きっと、参列者みなさんそれぞれの思い出があるでしょうから、それを大切に」と牧師さんが葬儀を締めくくった言葉。

スイスという異国で出会い、友人関係を築けた相手とのお別れを思い出し、今でも涙することもある私ですが、最期のお別れは誰もが体験すること。

この記事の内容が、スイスで友人・知人にお別れを告げなければならないあなたにとって、少しでもお役に立ちますように。

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私自身の遺骨をどうすべきか。お墓には入りたくないので、オシャレな方法をいろいろと、探してみました。

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