経済学者・成田悠輔さん(イェール大学助教授)の「高齢者集団自決推奨」発言は、ドイツメディアでは『ニューヨーク・タイムズ』での報道よりも過激な記事タイトルで、取り上げられています。
スイスドイツ語圏在住の私が検索した内容を、まとめて記事にしました。
「高齢者集団自決推奨」は成田悠輔さん十八番の自論
現在、海外で炎上している成田悠輔さんの「高齢者集団自決推奨」発言。
この過激発言は、成田さんの「おはこ」的な存在なので、動画などで目にされた読者の方も多いのでは。
その例のひとつが、堀江貴文さんのホリエモンチャンネルによる【成田悠輔・堀江貴文】高齢者は老害化する前に集団切腹すればいい?成田氏の衝撃発言の真意とは】という動画↑です。
そんな成田悠輔さんの発言が、世界で注目を集めることになったきっかけは、『ニューヨーク・タイムズ』(2023/02/13付)の記事。
コチラ↓はThe New York Timesの公式ツイートです。
成田悠輔さんの「高齢者集団自決推奨」:発信源での発言内容一例
高齢者は老害化する前に集団自決、集団切腹みたいなことをすればいい
→「最強のクールジャパン政策になる」
→「老人化と経済成長はあんまり関係ない」
引用元:YouTubeチャンネル <堀江貴文 ホリエモン 【成田悠輔・堀江貴文】高齢者は老害化する前に集団切腹すればいい?成田氏の衝撃発言の真意とは】>(閲覧日2023/02/14)
動画内で成田悠輔さんは、ご自分の体験を元に「コミュニケーションを円滑に取るのが難しいような高齢者が、政治・経済のトップポジションにいる状態が継続している日本の現状」を、指摘。
世代交代が行われない背景には、高齢な権力者たちを容認する社会のあり方が存在するので、彼らが居心地の悪くなる環境を周囲が作れば、世代交代のサイクルが回るのではないか、というのが、成田さんの発言主旨。
ですから、動画内での成田さんの発言に関して言えば、内容的にはそんなに過激なものではないと、私は思ったのですが…。
読者の皆様は、いかがでしょう?
「自決」という極端な表現は、『あくまでもメタファーとして用いている』と解説する成田さんの記事を見つけたので、コチラ↓にリンクを貼っておきます。
外部リンク:みんなの介護 <賢人論。第159回 私が“言ってはいけない”ことを言う理由 研究者・実業家 成田悠輔>(更新日2022/02/28)(閲覧日2023/02/14)
・・・でも成田さん、日本人なんだから「メタファー」ではなく日本語で表現してくださらないかしら。自分も海外在住組だけど、こういうのヤダヤダ。
成田悠輔氏の「高齢者集団自決推奨」発言:ドイツメディアの反応は?
『ニューヨーク・タイムズ』が成田悠輔さんの発言を報じた記事は、
<A Yale Professor Suggested Mass Suicide for Old People in Japan. What Did He Mean?> (更新日2023/02/13)(閲覧日2023/02/14)
というタイトル。
成田さん、発言炎上により思いがけず助教授から教授に昇格。すごい副産物(笑)。
『ニューヨーク・タイムズ』の題は、日本語訳すれば、「エール大学教授が日本の高齢者に集団自決を提案。本心はいかに?」的に、ワンクッション置いてある感じ(私見です)。
けれども私の検索でヒットしたドイツのメディアでは、成田悠輔さんの発言があたかも「日本社会の高齢化対応策として高齢者集団自決を推奨」と意図したものであるかのように、報道されています。
『シュピーゲル』(ドイツ語圏で最も発言力のある雑誌):
記事タイトル:日本人科学者が高齢者の集団自決を推奨
<Japanischer Wissenschaftler schlägt Senioren Massenselbstmord vor>
『ntv』(ドイツのニュース専用テレビ局のオンラインサイト):
記事タイトル:日本国民の高齢化 イェール大の経済学者が集団自決推奨
<Japans Bevölkerung wird älter
Yale-Ökonom schlägt Massenselbstmord vor>
『RTL』(ドイツの民放テレビ局のオンラインサイト):
記事タイトル:社会高齢化問題への闘い 日本人教授が高齢者の集団自決を推奨
<Kamp gegen Altersproblem der Gesellschaft
Japanischer Professor schlägt Senioren Massenselbstmord vor>
オリジナル記事タイトルを、サイト運営者が日本語訳。3記事いずれも(更新日2023/02/14)(閲覧日2023/02/14)。
ただし、上記の3記事には、
- 「文脈から切り取られた発言」だという成田さんのコメント
- 成田さんが日本ではSNSやオンライン番組で人気者であること
- 「言うべきではないとされることは、正しいことが多い」という姿勢を成田さんは貫いていること
なども、記載されていました。
送り手から受け手に情報が伝達される際、その内容が変化してしまう現象を説明する「コミュニケーション伝達モデル」について興味のある方は、コチラ↓のサイトをご覧ください。サイト運営者の方の解説が、非常に丁寧で明確。
外部リンク:あきと アウトプット <チェンジコミュニケーションその1:コミュニケーションモデル>(更新日2021/07/11)(閲覧日2023/02/14)
追記:成田悠輔さんの肩書き「助教授」は日本では現存しない役職名の謎
成田さんご自身が「助教授」の肩書きをご自身のサイトやメディア出演時に使用していらっしゃるので、何の疑問も抱かずにいた私。
外部リンク:Yusuke Narita(成田悠輔さんの公式サイト)
スイス在住四半世紀以上の私は一応現地の院卒ですが、日本の大学における役職の正式名称に疎いため、文部科学省が2006年に発行した学校教育法の一部改正により、日本の大学では「助教授」の肩書きが存在しないという事実を、この記事投稿後に知りました。
成田悠輔さんがあえて日本語に訳してご使用中の「助教授」の肩書きは、日本の教育機関での役職名と比較すると何なのかという点が、気になります。
コチラ↓のサイトには、現存しない「助教授」の役職名について、詳しく解説がありますので、リンクを貼っておきますね。
外部リンク:アカリク <助教授はなくなった?新設された名称や年収とは>(更新日2022/07/05)(閲覧日2023/02/15)
日本でご活躍中の成田さんが、ご自身の正式役職名には無頓着な様子に、驚きを隠せません。
再追記:イェール大学公式サイトでの成田悠輔さんの役職は助教
念のために、イェール大学の公式サイト↓で成田悠輔さんの役職を確認してみたら、「Assistant Professor」と記載されているので、絶句。
外部リンク:https://economics.yale.edu/people/yusuke-narita#block-block-103
「Assistant Professor」は、准教授(もしくはかつての助教授)ではなく「助教」で、階層社会である大学学内では、いわゆる「ペーペー」の役職(私はさらに下の位置にいたので、この点は間違いなし。助教の皆様、私の失礼な発言をお許しください)。
大学院に籍を置いた人間であれば、役職名称を取り違える可能性はゼロなので、はっきり言ってこれはマズイ。
「助教」と「助教授」って、ありえない取り違えですよ。しかも、「助教授」は「准教授」を意味するのであろうと、誤解する人間は私だけではないはず。
「集団自決」発言も問題ですけど、イェール大学の学名付きで公表している役職名ですから、これは目をつぶっていい問題のレベルではないと思うのですが…。
大学の役職名について興味のある方は、ヨビノリたくみさんの動画解説をご覧ください。とてもわかりやすい。
おまけ【閣僚の平均年齢】30カ国の調査で1位は日本「やっぱりね」
コチラ↑のIT mediaのデータによれば、調査対象になった30カ国のうち、「閣僚の平均年齢」が最も高かった国は、日本(62.4歳)。
「あれ、思ったより若くない?」と感じてしまった私は、成田悠輔さんのご指摘のように、「日本の政治家は高齢者であたりまえ」という考えに凝り固まり、世代交代の必要性を促進しない周囲のひとりなのだと、自嘲気味に自己批判。
そして、私の住むスイスでは「閣僚の平均年齢」は57.4歳(第7位)、お隣のドイツでは59.8歳(第5位)とのことです。
ちなみに私が在住しているスイスのメディアは、この記事を執筆している時点(2023/02/14)で、成田さんの発言についてはまだ何も報じていません。
一般的に、スイスではすべての面で、ドイツよりゆっくりしたテンポで時が流れるので、成田さんの炎上発言はおそらく明日にでもスイスで報道されるのではと、想像しています。
ところで成田悠輔さんのメガネフレームは、フランスのメーカーのものだそうですが、もしかしたら今回の炎上により、あのメガネフレームが世界的にヒットするかもしれませんね。