自分の住む街のどこかに、『大事なことほど小声でささやく(森沢明夫著)』の登場人物たちが出入りしているスナックとスポーツジムがあったら、入店希望者が殺到するはず。
ハートフルな小説の感想です。私もお仲間に加えてほしい♪
『大事なことほど小声でささやく』著者・森沢明夫さんの経歴
- 1969年 千葉県生まれ
- 早稲田大学人間科学部卒業後、出版社に勤務。その後フリーになる
- 2006年 第17回ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞
- 現在、小説・ノンフィクション・エッセイ・絵本など大方面で活躍中
参照サイト:フリー百科事典 ウィキペディア <森沢明夫>(更新日2023/03/21 12:04 UTC)(閲覧日2023/03/27)
今回ご紹介する『大事なことほど小声でささやく』は、2022年に映画化もされています。
『大事なことほど小声でささやく』のは心の痛みを温かさに変えられる人
物語が描くのは、小説に登場する人たちの「人生の綾」。
日常生活ではあまり接点のない6人の主人公たちが、スポーツジムでの巡り合いをきっかけに、お互いにかけがえのない存在になるという、なんともハートフルな展開です。
主人公のなかでも、小説のキーパーソンはスナックの経営者であるゴンママ。
超マッチョな見かけとは正反対の、傷つきやすいからこそ他人に優しい心の持ち主・ゴンママが経営する「スナックひばり」では、ゴンママとバーテンダーのカオリちゃんコンビが、お客様の心の淀を流すために最適のカクテルをご用意しておもてなしをするという、なんとも素敵な設定です。
カクテル言葉が秘めた『大事なことほど小声でささやく』想い
登場人物の人生の綾に絡めたカクテル言葉が、『大事なことほど小声でささやく』には綴られています。
たとえば、
- ブルームーン 『無理な相談』
- カミカゼ 『あなたを救う』
- カシスソーダ『 あなたは魅力的』
- ギムレット 『遠い人を想う』
- ソルティドッグ 『寡黙』
- オールドファッションド 『我が道を行く』
- シャンディ・ガフ 『無駄なこと』
- ラム・コーク 『もっと貪欲に行こう』
・・・もしかしたら、私の大好きな平井堅さんの『even if』にカシスソーダが出てくるのは、このカクテル言葉のせい?!
この本を手に取るまで、野暮な私はカクテル言葉の存在すら知りませんでした。←口説かれていない証だわね(笑)。『花の子ルンルン』に花言葉が出てきたことは、知っているのに。
カクテル言葉に想いを乗せて、大事なシーンでお使いになりたい方は、コチラ↓のリンクへGO!
外部リンク:男の隠れ家デジタル <カクテル言葉の主要60種類一覧|恋愛・別れ・夜の誘いなどシーン別に解説>(更新日2023/01/24)(閲覧日2023/03/30)
個人的には、別れのシーンでカクテル言葉を使うようなお相手とは、別れる結果になってよかったじゃん♪と思うけどね。
阿吽を座右の銘にして『大事なことほど小声でささやく』人々に乾杯
阿吽・阿呍
仏語。密教の言語観で、阿は悉曇(しったん)一二母音の初音で開口音。吽は終わりで閉口音。密教ではこの二字を持って法界万有を摂し、阿は一切が発生する理体、吽は一切の集結する智徳を表わすとし、また菩提心と涅槃などを表わすとする。
引用元:コトバンク 出典:精選版 日本国語大辞典 <阿吽・阿呍> (閲覧日2023/03/30)
ふ〜っ、こんなに堅苦しい日本語の文章を目にするのは、高校の古典以来かも(笑)。
私はスイスの大学で、学士課程の副専攻として宗教比較学も履修したのですが、その時使ったドイツ語の方が、まだ簡単に思えるほど難しい「阿吽」の説明。
けれども、こんなに味気なく聞こえる「阿吽」も、「スナックひばり」のゴンママとバーテンダーのカオリちゃんの会話には、軽やかで温かい、胸を打つ言葉としてオシャレに登場している点に、『大事なことほど小声でささやく(森沢明夫著)』の魅力が集結されているのではないでしょうか。
もし現実の世界で「スナックひばり」があったなら、下戸の私も常連客のお仲間に、ぜひ加えていただきたい♪
そして贅沢を言わせてもらえるのなら、「居酒屋ワカル(深谷かほる著)」も街角にあってほしいと考える私は、わがままかしら(笑)。