地球温暖化でスイスアルプスの標高が激減:消えゆく4000m峰

スイスのニュース

世界に82ある4000m以上の山のうち、48峰が位置する山国・スイス。

それらの山々の頂上は、万年氷に覆われている状態なので、地球温暖化の影響を受け、過去60年間に標高が激減。

最高値で29メートルも減少していると判明し、このままではスイスにある4000m峰は消えゆく運命にあると、現地の日曜新聞Sonntagszeitungが報道しています。

参照元の新聞記事

Sonntagszeitung <Unsere Berge schmeltzen>(更新日2024/01/07)(紙版閲覧日2024/01/07)

過去60年間で標高が激減したスイスの山:ワースト10

過去60年間で標高が激減したスイスの山:ワースト10
山の名前標高減少(m)2023年の標高1960年の標高
パロッツピッツェ−2944344463
ペータースグラート−2531923217
ピーニュ・ダロラ−1537813796
テテ・ブランシェ−1337113724
テディ−1235703582
フレッチュホルン−1139853996
ヴァイスミース−1040134023
ユングフラウ−841584166
ビスホルン−841514159
キャスター−742234230
引用元:Sonntagszeitung <Unsere Berge schmeltzen>(更新日2024/01/07)(紙版閲覧日2024/01/07)

スイス連邦の地形研究所によれば、スイス全土の山々で、1m〜29mの標高減少が確認されたそうです。

唯一の例外:メンヒの標高は+11m。理由はやはり気象変化と地形

唯一の例外:メンヒの標高は+11m。理由はやはり気象変化と地形

ただし、メンヒだけは唯一の例外で、1960年から2023年までに、標高が11mも高くなっているとのこと。

メンヒの標高が高くなった原因は、その特殊な地形と気象の変化による影響で、頂上への積雪量が異常に増えているためだと、新聞記事内では解説されています。

標高減少で4000m以下になった山への人工的な復活計画で大騒動

標高減少で4000m以下になった山への人工的な復活計画で大騒動

標高減少ワーストリストの第6位である「フレッチュホルン」は、1900年代初めまで4001mの標高が記録されていた山。

ところが、浸食作用・氷河の雪解け・正確な測定方法の導入などの理由により、4000m級のステイタスを喪失してしまうのです。

フレッチュホルンがある自治体ザース・グルントの一部の住民にとって、自分たちの山が4000m級クラスから脱落してしまった事実は耐え難い模様。

そこで、乾式壁の技術を用いてフレッチュホルンを再び4000m以上の高さにしたいという工事要望書が1998年、州に提出されたのを機会に、賛成派と反対派の意見が衝突する大騒動が発生!

結局、州は2年余りの考慮を重ねたのち(←スイス的には非常に長い時間)、「税金への負担が多すぎる」と決定したため、フレッチュホルンへの人工的な「整形手術」は、行われないことで事態は終結か・・・と思いきや、定期的にフレッチュホルン再建計画が報道されているので、完全終結には至っていないようです。

乾式壁とは?

フリー百科事典 ウィキペディア <乾式壁> (更新日2019/08/16)(閲覧日2024/01/09)

頂上が氷河の4000m級計測観察はスイスが直面する新分野の問題

頂上が氷河の4000m級計測観察はスイスが直面する新分野の問題

スイスにある4000m級峰の頂上にある万年氷河が、地球温暖化によりどれだけダメージを受けているのかという問題を正確に検証するためには、地理学と氷河学の専門家たちによる共同作業が不可欠。

ただし、スイスではこれまで、地理学の専門家は「高さの精密な測定」に、氷河学の専門家は「氷河の融解」に焦点を置いていたため、「高山の氷河融解による標高の変化」については、ほとんど研究がなされていない状態とのこと。

現時点ではっきりしているのは、「今後、冬の降雪量が再び増えるとしても、山の頂にある氷が溶けるスピードの方が早いため、スイスにある4000m級の山々は、標高を失い続ける」という悲観的な変化だけのようです。

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言葉を絶するほど美しい、スイスの雪山。

この素晴らしい大自然の恵みが、未来にも失われないことを祈ってやみません。

スイスにある4000m以上の山々を一覧できるサイトは、コチラ↓。

関連サイト

<参照サイト>
NZZ <Kein Witz! Walliser wollen neuen Viertausender bauen>  (更新日2022/02/21)(閲覧日2024/01/09)

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