ママ友付き合いって、難しいですよね。
たとえ子ども同士が仲良くなっても、母親同士も気が合うかどうかは、わからないし。
けれども、自分の子どもが親のせいで孤立するなんてことが起きたら、大変。
絶妙な距離感をキープしたママ友付き合いに、私も悩まされたひとりです。
「なぜだか急に、他の子どもの親御さんから、避けられるようになった…」と、真剣に悩んでいた大学研究室の仲間。
彼女が突然避けられるようになった理由は、「心理学者」という業種のためでした。
【突然ママ友に避けられる】パニクった臨床心理学研究室の仲間
同じ研究室にいたAさんは、キャリア面では私よりうんと先輩だった、数少ないワーキングマザーのひとり。
そんな彼女がある日、「私、なぜだか急に、息子の友だちのママたちから、避けられるようになったの。ちょっと話を聞いてくれる?」と、私に相談を持ちかけてきたのです。
Aさんのお子さん・J君は、当時幼稚園生。ウチの娘より5歳年下でした。
とある午後のこと。AさんとJ君が、同じ幼稚園に通うお子さんたちに大人気の公園に、いつものように遊びに行ったら、「その場にいたママさんたちが全員、私を避けたのよ!」と、Aさんは言うのです。
「Jと私が到着したら、『これでパーティはお開き』みたいな感じで、みんなサーッといなくなったの」と語るAさん。
「J君の幼稚園から、お友だちとの間で何かあったとか、連絡はないの?」と私がたずねましたら、Aさんは「ぜーったい、Jのせいじゃない」と確信しているご様子。
「だって、いちばん仲良しの子が『じゃあJ君、ウチで一緒にあそぼ』って、嬉しそうに誘ってくれたのに、その子の母親が『ダメダメ、今日はダメ』って、強い調子で遮ったの。でも、これまではお互いの家で遊ばせることも、よくあったのよ…。それに、ことばだけじゃなくて態度でも、他のママが嫌がっている対象は、私だって感じたの」とAさん。
【突然ママ友に避けられる】トラブルの原因をひとつずつチェック
「どうしよう…。私のせいでウチの子が仲間はずれになるなんて、申し訳ない。思い当たることが何もないのだけど、気がつかないうちに、私何かしちゃったのかな?」と真剣に悩むAさんと共に、私たちは「ママ友に嫌われる原因」を、ひとつずつ想定問答して、正しい理由をあぶり出すことにしたのです。
【ママ友トラブルの原因】スイスでの体験談
【ママ友トラブルの原因】
- 噂や悪口を言う
- 他人の家庭事情をしつこくたずねる
- 子どもの世話を押し付ける
- マウンティング
- 子どもに基本的なルールを教えない
- よその家庭の育児・教育方針に口を挟む
娘がお世話になっていた保育園で運営委員を勤めていた関係上、親御さん同士のトラブル相談を受けることが多かった私。その経験から、私がよく耳にしたママ友トラブルの原因は、上記6点の内容でした。
「お願い、何が理由だかはっきりさせたいの。だからズバズバ聞いて!」というAさんを、私は質問攻めにしました。
噂や悪口を言う/他人の家庭事情をしつこくたずねる
噂・悪口・他人の家庭事情に鼻を突っ込むという点に関しては、「ホントに仕事・子育て・家事のアレコレとかで忙しいから、そういう話題にかまっている暇も興味もないのよね」とAさん。
実際Aさんは、大学内での噂話とかにもまったく関わらないタイプだったので、ママ友付き合いで噂話に花を咲かせる可能性は低いと、想像がつきました。
子どもの世話を押し付ける
またAさんは、実のお母様がお子さんのナニー役で育児に協力してくれていたため、よその親御さんに自分の子どもの世話をお願いした経験もなし。
マウンティング
まぁ妬む人にしてみれば、Aさんのご両親が育児をサポートしてくれていることや、夏・冬のバカンスにご両親所有の別荘を利用できることもジェラシーの対象になるのかもしれないので、無意識のマウンティングはありかもと判断。
「だけどウチ賃貸だし、車もないし、持ち物でのマウンティングはあり得ない。ママ友には『バカンスは親の別荘で…』とか話したこともないし」とAさん。
子どもに基本的なルールを教えない
Aさんは「ポジティブな子育て法」の専門家だったので、「ウチの息子は元気はつらつだから、勢いあまって自分がケガすることは頻繁にあるけど、他の子に何かしたことは、これまで一度もない」という意見も信憑性がありました。
よその家庭の育児・教育方針に口を挟む
すると残るトラブル要因は、「よその家庭の育児・教育方針に口を挟む」ことだけ。
「だけど、『この子はしつけがなってないなー』と思っても、自然に距離を置くようにはするけど、私からお節介をやいて注意したことは、まったくない。その子の将来にとって、残念だなとは思うけど」とのこと。
「それに、ウチの子はまだスイミングにしか通っていないから(←親が心理学者だとあるあるお稽古の実態)、『英才教育にはこれが必要!』とか息巻いて話す内容さえないんだもん。もういったい全体、私が何をしたのか知りたい!」と、Aさんの願いは切実でした。
【ママ友とのお付き合い】嫌われる原因は心理学者という職業か
あいにくと私との「ママ友とのトラブル原因探し」は実を結ばず、その後数週間はママ友から避けられる毎日を過ごすことになったAさん。
J君が通う幼稚園の先生に相談したそうなのですが、幼稚園内での園児たちの関係性は良好とのこと。けれども園外でのプライベートタイムでは、J君がお友だちと遊ぶ機会は無くなってしまい、Aさんはとても苦しんでいました。
そんな折、私の夫の職場の同僚が、「ポジティブな子育て法」のコースに申し込みたいので、同じ大学にいた私経由でAさんに連絡を取れないだろうかと、頼んできたのです。
ちょうど数週間前、スイスの大手スーパーマーケットが無料配布している週刊新聞にAさんのインタビュー記事が掲載されていたことから、夫の同僚ご夫妻はコースに興味が湧いたそう。
すると夫は、「せっかくだから、同僚夫妻をウチに招待したんだけど、断られたんだ〜」とのんきに発言(←わが家に人を招待したら、もてなし役は私なのだから、「まず私の都合を聞きなさいよ」という怒りのテーマは別問題)。
「そしたら同僚は、『悪いけど、遠慮しとく。だって君の奥さんも、心理学者でしょ?子連れで心理学者と数時間一緒に過ごすなんて、子育てのアラ探しをされるようで、落ち着かないから』だってさ」と夫。
夫の発言を聞いた私は、「キターッ、Aさんが避けられる理由は、これだわ!」と確信しました。
【ママ友とのお付き合い】ママ心理学者は他の子どもを観察・分析?
「そういえば、ママ友に避けられるようになったのは、インタビュー記事が掲載された直後からだった」とAさんも気がついたものの、具体的な解決策は見つからないまま。
記事の中で、Aさんは「子どもによく見られる問題行動」の数々を例に挙げていたのです。
「だから、他のママ友さんたちは、私が彼女たちのお子さんを観察・分析しているような気がするのかな…」と、Aさんは想像しました。
他のママ友さんたちが信じていることは、たとえAさんがことばで打ち消しても、簡単には消えません。
それに、あえて目は光らせなくても、子どもの問題行動が気になってしまうという傾向が心理学者にあることは、否定できませんしね。
結局J君の卒園時まで、遊び場への同伴はお母様が担当してくださる方法で問題解決を図ったのですが、「まさか、自分の職業が原因でママ友に避けられるようになるとは、なんとも複雑な気分」と、Aさんは話していました。
【ママ友とのお付き合い】ママ心理学者、小学校のママ友には大モテ
J君が小学生になった途端、Aさんは以前とは逆に、同級生の母親から引っ張りだこの存在になりました。
「昨日もまた、まったく知らないお母さんが話しかけてきたの。『あなた心理学者なんでしょ?ウチの子、天才児だと思うから、同じ学校のよしみでIQテストをしてもらえないかしら?』って、またお決まりのセリフだった」とAさん。
この場合は、向こうから声をかけられてもママ友としてのお付き合いが始まるわけではないので、「まわりから避けられても、引っ張りだこの存在になっても、心理学者ってママ友付き合いがしにくい職種のひとつよね」と、私たちの意見は一致したのでした。
私の体験は、スイスで得たものですが、「お付き合いを避けた方が無難なママ友」の特徴は、この記事内でまとめた【ママ友トラブルの原因】6つの点を参考にすると、見極めやすいかもしれません。