SWISS MADEの刻印を使い、スイス製腕時計と名乗れるのは、スイス連邦の法律が定める条件を満たす腕時計だけだと、ご存知ですか?
「スイス製腕時計」の定義を、スイス在住30年の私が解説します。
【SWISS MADEの腕時計】世界中で知られる高品質の証
「スイス製」の表記に関して、非常に強いこだわりを持つ国スイス。
特に、「SWISS MADE」の刻印がある腕時計は他国の製品と比べた場合、一般的に20%増し、超高級腕時計のケースでは50%増しの値段でも「買いたい」と望む人がいると、ETHチューリッヒやサンクト・ガレン大学の度重なる調査で報告されているとのこと。
そのため、スイス連邦は国を挙げて「SWISS MADE」のブランド名を保護し、スイス製腕時計=高品質の腕時計というスイス産の価値を維持できるように、尽力しているのです。
【SWISS MADEの腕時計とは】スイスネス法による定義
自国製品としての表記とスイス国旗使用条件は、2017年1月1日から適用されている「スイスネス」という法令で、製品の項目別に細かく指定されています。
「時計に関するSWISS MADE表記」のスイスネス法によりますと、
- 時計の機械部分(=ムーブメント)がスイス製
- 時計が初めて動き始める場所はスイス
- 最終検査は時計製造企業がスイスで行う
- 時計の組み付け作業(=ケーシング)はスイスで実地
という、旧法令からの条件に加えて、
- 時計の機械部分(=ムーブメント)の全価値のうち、60%以上がスイスで製作されている
- 時計の技術開発はスイスで行われている
という項目を満たす時計だけが、「SWISS MADE」の表記を名乗って良いと、設定されているそうです。
別の商品項目になりますが、たとえば、「スイス発のスニーカー」として知られているOnスニーカーは、スイスネスの条件を満たしていないため、スイス国内ではスイス国旗付きの商品は、販売が禁止されています。
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「SWISS MADE」の刻印がある時計を購入したときには、まさか自分が将来、スイスに移住して生活するとは思ってもみなかったのですが、デジタル時代の今だからこそ、秒針が時を刻む時計は「粋」な感じがするのが、不思議です。
<参照サイト>
COSC <SWISS MADE – EIN KONTROLLIERTES HERKUNFTSSIEGEL>(閲覧日2024/10/03)
Eidgenössisches Institut für Geistiges Eigentum <Revision der Verordnung über die Benützung des Schweizer Namens für Uhren>(閲覧日2024/10/03)