スイスでの事故物件に関するルールを調べてみたら、日本と違いすぎてビックリ。
スイスでは「大島てる」サイトの出番なしと判明して、愕然!
事の発端:自宅で死亡したスイス人義父の家は事故物件?!
今年の夏、老衰のためスイスの自宅で息を引き取った義父。
この家を売却する方向で話が進み出した途端、私が気になったのは、「人が亡くなった家はすべて事故物件に該当するのか?」という点。
加えて、この家を購入したいと希望する人に、「家の中で死人が出た」事実を告げるべきなのかも、気になるところ。
【事故物件の告知義務とは?】国土交通省のガイドライン定義
日本では2021年、国土交通省が公表した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によって、事故物件の告知義務に関する明確な基準が設定されているとのこと。
過去に人が死亡した不動産は、「心理的瑕疵(かし)」があると表現されるそう。
国土省のガイドラインによりますと、
【告知義務なしのケース】
- 自然死(老衰・持病が原因)・日常生活での不慮の事故死(転倒・誤嚥など)。ただし、特殊清掃は不必要な場合に限る
- 隣接住居や共同部分での死亡案件
【告知義務ありのケース】
- 特殊清掃が必要だった場合
- 事件性・メディアでの周知性があった場合
とのこと。
日本のルールだと、スイス人義父のケースは「告知義務なし」に該当しますが、スイスではどうなのでしょうか。
【スイスでの事故物件】驚き①大島てるには海外の事故物件情報もある
事故物件で私の頭に浮かんだのは、これまで耳にしたことはあるけれど、私にはとんと縁がなかった「大島てる」のサイト。
怖いもの見たさでサイトを開いてみたら、「大島てる」はなんと海外の事故物件情報も把握していると知り、ビックリ!
国名を検索して出力されたヨーロッパ地図に、お馴染みの炎上マークがいくつも記載されているではありませんか!
・・・でも、待って。
スイスだけは、炎上マークがひとつも見当たらない。これって、どう考えても逆に怪しすぎる。
【スイスでの事故物件】驚き②スイスには法律上の告知義務がない
そこで、「事故物件/不動産/報告/法律/告知義務」のキーワードでドイツ語ウェブ検索したところ、ヒットされたのは金銭に絡む問題のみ。
お金の話題は徹底して避けるけれど、心の奥底では常にきっちり損得勘定をしているスイスの気質、ここにあり!って感じ(笑)。
スイス大手の不動産サイトの記事「賃貸物件で入居者が死亡したらどうする?」を例に挙げますと、
- 賃貸住居で居住者が死亡した場合の賃貸契約解消方法:大家・家族の立場で必要となる手続き
- 賃貸契約者が死亡した部屋の片付けで発生する費用は、誰が負担するのか?
など、金銭絡みのテーマについては、スイス家主協会の弁護士が解説しているのですが、告知義務に関する情報は、ゼロ。
同様に、スイスの大手保険会社のサイトも法令を引用して、賃貸住宅の入居者が死亡したケースで必要となる手順について言及するも、「事故物件を借りる/購入する住人への告知義務」に関する情報は、まったくヒットなし。
そこで念の為、FIREしてアパート経営者になっている義弟にスイスでの事故物件告知義務についてたずねたところ、「次の借主に、整備されて清潔な物件を提供する義務は家主にある。だけど、前の居住者の退去理由はプライバシーにも関わるし、法律上必要はない」とのこと。
そのような訳で、そもそもスイスでは事故物件のデータを把握すらしていないから、「大島てる」サイトでスイスを検索しても、炎上マークがひとつもなかったようです。
義家族は、「せっかく家を買って新生活を始める人には、気分良く暮らしてほしい」という姿勢なので、もし質問されれば正直に答える意見で一致。
そんなスイスでも「幽霊屋敷」の名称で知られる家が、ベルン旧市街に存在します。「大島てる」に申請して、炎上マークをつけるべきかしら?
【ドイツでの事故物件に関するデータ】日本との比較が意外な結果
「ゲルマン民族は霊障とかあまり気にしないのかな……」と思った私が発見したのは、スイスと同様に事故物件の告知義務が法律にはないドイツのデータ。
ドイツのDIY専門サイトが、現在進行形で収集しているデータによれば(閲覧日2024/10/22)、
Q:過去に死亡者が出た部屋には抵抗がある(n=6653)
A:ある34% / ない66%
対して日本の不動産会社が実施したアンケート調査によれば、
Q:事故物件に住むのはあり?なし?(n=983)
A:あり28.6% / なし71.4%
あらら。
「告知義務のある日本の方が、告知義務のないスイスやドイツより、事故物件を気にする人が多いのでは」という私の予想は、ハズレ。
日本では、家賃が安くなるなどのメリットから、事故物件を合理的に捉えている人もいるようです。
もし事故物件の告知が家賃や価格に影響するならば、たしかにスイスでもそういう不動産は、逆に人気が出るかもしれません。
でも、資産家のデメリットになる法律がスイスで設定される確率は、事故物件で幽霊に出会う確率より低いと思うので、単なる「たられば」ですけどね。