トランプウォッチはスイスメイド？！現地TV局が真偽検証してしまう

トランプ前大統領が新グッズ、「トランプウォッチ」を販売開始というニュースは、スイスのメディアにちょっとした動揺をもたらしました。

【SWISS MADEのトランプウォッチ】スイスメディアの注目点

スイスのメディアが気にした点は、トランプウォッチの文字盤を飾る「SWISS MADE」の刻印。

「スイス製腕時計」の表記をスイスネス法で厳密に定義付けているスイスのお国柄らしく、なんと現地の公共テレビ局がトランプウォッチのスイスネス真偽と時計の価値を検証する事態が発生！

ニューヨークのトランプタワーが、そのまま腕時計に変身したようなデザインの「トランプウォッチ」。

金ピカだから、風水的には金運を向上させる効果があるかもしれません（笑）。

スイスのフランス語圏公共テレビ局RTSの検証によれば、

アメリカでのトランプウォッチ販売企業に時計を流通しているメーカーは、スイスのイタリア語圏ティチーノ州にある（社名は報道されず）
トランプウォッチに使用されているムーブメントを製作したのは、ラ・ショー・ド・フォン（注：スイス時計産業を代表する都市）にある「BCP Tourbillons」という会社

だと判明。

時計職人でもあるBCP Tourbillonsの創業者は、公共テレビ局の取材に応じ、「匿名だった時計のオーダーは、他の注文と同様に扱った。自分たちの仕事は時計作りなので、政治的思考には関わりがない。注文品はいわゆるスタンダードの時計」だとコメント。

ただし、「これほどまで注目される顧客は珍しい」と発言しています。

「ムーブメントがスイス製」であることは、「SWISS MADE」の刻印を腕時計に使用するための必須条件のひとつ。

けれども興味深いことに、トランプウォッチが「スイス製腕時計」の表記を保護するスイスネス法で定義されている条件全部を満たしているのかどうかについては、なぜかスイスのテレビ局は追及しないままで、ニュースは終わっていました。

テレビ局の検証が尻切れトンボ的に終わった原因は、当初の予想と異なり、トランプウォッチの製作・流通に携わっているのは、至極真っ当なスイスの時計企業だとわかったためではないかというのが、私の推測です。

スイス製腕時計の高品質維持に努めている時計作りのプロに対して、スイスネスの条件を確認する行為は、侮辱的ですからね。

でも、オンラインメディアのいくつかは、「ムーブメントだけはスイス製だとわかったけれど……」という嫌味なセリフ付きで、トランプウォッチ限定版について報じています。

トランプウォッチのお手頃価格版（それでも約7万3000円、499ドル）には、文字盤にSWISS MADEの刻印がないようなので、こちらのタイプはスイスネスの条件をクリアしていないのではと思われます。

ちなみにBCP Tourbillons社のトゥールビヨン式ムーブメントのお値段は、2200〜5500スイスフラン（約38万〜95万円^＊）だと、創業者の方は発言。

それ以外に、金やダイヤの装飾費用が追加されるとはいえ、トランプウォッチの約1466万円というお値段は高すぎると感じます。私が買うわけじゃないけど（笑）。

トランプウォッチ限定版を分析したスイスの時計評論家によると、同じような時計は約130万〜235万円^＊で購入可能とのことで、「どうやったら約1466万円の値段になるのか」と、意見を述べています。

^＊１スイスフラン＝172.06円、2024/10/03のレートで換算。

どうやらトランプ前大統領は、スイスの品物がお好みのようで、スイスのツーグ州にある「Bronx Colors」という化粧品会社のフェイスクリーム（正確には、オレンジ色のコンシーラー）を愛用していると、過去には報道されたこともありました。

化粧品会社の社長さんは、思わぬ愛用者の登場に喜んでいたものの、「トランプさんは、クリームを厚塗りしすぎ」と指摘。

最近のトランプさんのお写真では、顔のオレンジ色が若干薄くなっているようなので、適量を把握されたのかもしれません。

＜参照サイト＞