がま口バッグ作成者・齊藤勝さん(84)から学ぶ幸せな高齢者になる秘訣

エッセイ

注文が大殺到している「がま口バッグ」の作成者齊藤勝さん(84歳)は、年を重ねても充実した幸せな人生を歩めることのお手本!

「今が一番幸せ」と語る齋藤さんが実践したことを、心理学の視点から分析しました。

私もバッグを注文する予定です♪

「幸せな年の重ね方」は寿命と時代の変化に影響される定義

「幸せな年の重ね方」は寿命と時代の変化に影響される定義

私たち人間の寿命が伸びたことと時代の変化に伴い、「幸せな年の重ね方」に対する概念も、変わってきました。

かつて長寿の秘訣「サクセスフル・エイジング」は、

  • 持病が少ない
  • 認知能力と身体機能が良い状態
  • 社会とのつながりがある

という3点の関わりから可能になると提唱されていました。

しかし、人生100年時代を迎えた現在では、「加齢にもかかわらず、ポジティブに生きる秘訣は何か?」というポイントが重要視されるようになったのです。

【幸せな高齢者として生きる秘訣】大好きで得意な事で目指すフロー状態

単に年を重ねるだけではなく、生きがいを感じながら、幸福度の高い毎日を高齢者が過ごすための条件は、

  • 好奇心を持ち続ける
  • 自分の強みと経験値を活かす
  • 達成したい目的を掲げる
  • 目的実現のために、発生している問題解決に挑む
  • 目的実現の過程と結果で、社会との交流がある
  • 創造性をフルに活かす
  • 自分が苦手なことは他人の助けを借りる

といった点に凝縮されます。

つまり、

高齢期に充実した人生を過ごすためのカギ
=フロー状態に突入できる、大好きで得意なことに勤しみ暮らす

ことが、高齢でありながらも生きがいに恵まれた、幸福度の高い人生への近道だと言えるのです。

【フロー状態とは?】

心理学者のミハイ・チクセントミハイ教授が提唱した概念。創造性や高度の技術が必要な作業に没頭することで、充実感を得られる心理状態です。

がま口バッグの齋藤勝さんは幸せな高齢者として生きる秘訣のお手本!

中京テレビNEWSのレポートに登場した、三重県四日市市にお住まいの齋藤勝さん(84歳)は、注文が大殺到している「がま口バッグ」の作成者。

元々バッグ作りの名人かと思いきや、なんと「がま口バッグ」を作り始めたのは、82歳のときからというので、さらに驚きました。

齋藤さんのオンラインショップはG3SEWING(じーさんソーイング)という、一度聞いたら忘れられない絶妙のネーミング!

実は私も数週間前に注文を試みたのですが、あまりの人気に、現在ではオーダーストップ状態で、入荷まで最長1年半待ちだそうです。

齊藤勝さんのオンラインショップ・G3SEWING(じーさんソーイング)へのリンク:
https://g3sewing.com/

G3SEWINGの齋藤勝さんに生きがいを再発見させた娘さんの名案

G3SEWINGの齋藤勝さんに生きがいを再発見させた娘さんの名案

中京テレビNEWSの動画によれば、60代後半に大病を患い、生死の境を何度もさまよったほど、思わしくない心身の健康状態に苦しんでいたという齋藤さん。

そんな齋藤さんが、「がま口バッグ作り」という新たな生きがいを見つけ、幸せな人生を手に入れたきっかけは、3女の畑中千里さんの素晴らしいアイデアによるものでした。

そのアイデアとは、壊れたミシンの修理と、がま口バッグの作成を、お父様である齋藤さんに畑中さんが依頼したこと。

娘さんのアイデアは大成功し、一時は生きがいを見失っていた齋藤さんは、82歳の時点から人生の喜びを再発見。

一番楽しい
今は朝起きるのが楽しい

引用元:中京テレビNEWS <1年半待ち大人気バッグ 作るのは84歳の新人職人!? 三重・四日市市> (閲覧日2022/08/29)

と動画内で語る齋藤さんの「楽しくてたまらない」様子が、印象的です。

幸せな高齢者として生きる秘訣の実例:がま口バッグ・齊藤勝さんの場合

幸せな高齢者として生きる秘訣の実例:がま口バッグ・齊藤勝さんの場合

心理学の視点から見た「幸せに年を重ねるための条件」を、齋藤さんが次々とクリアして行った様子は、以下の通りです。

  • 好奇心を持つ:壊れたミシンを修理した後、ソーイングに興味を示す
  • 自分の強みと経験値を活かす:元電気工事士として培った経験と手先の器用さを発揮し、ソーイングの腕がメキメキ上達
  • 達成したい目的を掲げる:がま口バッグの完成を目指す
  • 目的実現のために、発生している問題解決に挑む:未体験であるがま口バッグの作成に、試行錯誤と失敗を繰り返しながらチャレンジ
  • 目的実現の過程と結果で、社会との交流がある:がま口バック出荷までのプロセスには、ご家族も総出で参加。購入者たちからは、お礼の手紙「ラブレター」が続々到着
  • 創造性をフルに活かす:1時間に1個のがま口バッグを仕上げる、フロー状態でのお仕事ぶり。なんと早朝5時からミシンをかけ始め、ご家族からクレームがあがるほど
  • 自分が苦手なことは他人の助けを借りる:お孫さんがSNSでがま口バックの宣伝を担当、ツイッターではなんと14万件以上のいいねを獲得

参照元:中京テレビNEWS <1年半待ち大人気バッグ 作るのは84歳の新人職人!? 三重・四日市市> (閲覧日2022/08/29)

がま口バッグを、私も無事に注文・購入することができれば、スイスからラブレターを出すつもりでおります(笑)。

幸せに年を重ねるために「もう年だから」のセリフは封印。人生自分次第

幸せに年を重ねるために「もう年だから」のセリフは封印。人生自分次第

元電気工事士であった齋藤さんの職人魂を、ミシンの修理依頼によって呼び起こそうと試みた、娘さん。そしてがま口バッグの作業に夢中で取り組む齋藤さんをサポートする、奥様とお孫さんたちの連携プレー。

ご家族の愛が齋藤さんの幸せな現在の源とは、本当に心が温まるお話です。齋藤さんご本人だけではなく、ご家族の皆さんも、とっても素敵!

けれども、幸せあふれるG3SEWING(じーさんソーイング)に辿り着くまでは、けっして平坦な道のりではなかったことを、齋藤さんの娘さんのひとりでG3の社長を務めるkikiさんが、コチラ↓のインタビューで明かしています。

外部リンク:ESSE online <80代の父が、ネットで人気の裁縫職人に。支えてきた50代娘の思いとは>(更新日2022/09/15)(閲覧日2022/09/16)

84歳にして生き生きと、がま口バッグ作りに励んでいらっしゃる齊藤勝さんのお姿は、高齢であっても、充実した人生を歩む方法のお手本。

「もう年だから…」という言い訳を封印する理由が、またひとつ見つかりました。

好きなことに一途に取り組んでいる人生の大先輩たちのお姿は、見ているだけで幸せのお裾分けをいただいているような気分になれますし、自分のやる気も充電してくれますね。

<参照文献>

Csikszentmihalyi, M. (2007). Flow: Das Geheimnis des Glücks (13. Aufl.).
Stuttgart: Klett-Cotta.(紙版書籍)

ZEPRA Prävention und Gesundheitsförderung <IMPULSE FÜR EIN GUTES LEBENSGEFÜHL IM ALTER> (更新日2020/07)(閲覧日2022/08/29)

Universität Zürich: Ruch, W. & Proyer, R.T. (2011). <Positive Psychologie: Grundlagen, Forschungsthemen und Anwendungen>(閲覧日2022/08/29)

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