スイス国鉄の駅トイレは、有料です。
でも「タッチ決済のみ」か「小銭のみ」での支払いが可能で、「小銭のみ」の機械に遭遇する場合、ちょっと支払い方が面倒。
そこで在住者の私が観光客の方にわかりやすく、スイスのトイレ料金支払い事情を解説します。
この記事を読めば、トイレの前で慌てなくて済むはず(笑)。
【スイス国鉄の駅トイレ】私の小銭で日本人観光客がトイレに駆け込みセーフ
コロナ禍になる前、2019年夏のことです。
「すみません、日本人の方ですかっ?!」と、ベルンの駅構内で、突然呼び止められた私。
声をかけてきたのは、愛くるしい女性の2人組。でも、おふたりの表情と態度からは、緊迫感がみなぎっていました。
私の「そうです!」の「そ」が終わらぬうちに、「トイレに行こうとしたら、小銭でしか料金が払えないんです!でも、持ち合わせがなくて」と、必死の形相のおふたり。
あまり小銭を持ち歩かないタチの私のお財布には、わずかなコインがあるのみだったのですが(札束も入っていないけどね)、幸いにもおふたりのトイレ料金には足りる額を所持していました。
スイスの自動販売機では、硬貨がはじかれてエラーとなることが多いので、そのことを彼女たちに説明しながら、とりあえずトイレの入り口まで、一緒にダッシュ。
「トイレが我慢できない!」という非常時にもかかわらず、まず先に小銭の返却方法を私と相談しようとする律儀なおふたりの行動は、日本文化の美点そのもの。←スイスの大学在学中、同期に「貸した」小銭が戻ってきたことはゼロに等しかった私の経験が、美点の認知をさらに美化(笑)。
「とにかく、先にトイレに行ってらっしゃい!」と、幼稚園児の母に戻った気分でおふたりを見送り、私は偶然その場に居合わせたことを、とても嬉しく思ったのです。
【スイス国鉄の駅トイレ】小銭のみ/タッチ決済のみの支払いは面倒
2022年10月現在、スイス国鉄の駅トイレでは、支払い方法が「小銭のみ」または「タッチ決済のみ」という、ちょっと不便な状態です。
ただし、「タッチ決済のみ」のケースは、観光客にとっては理想的です。MastercardやVISAなどのクレジットカードのタッチ決済で、トイレの料金を入り口で支払うことができます。
でも、上のエピソードでご紹介したように、スイス国鉄の多くの駅トイレでは、「スイスフランかユーロの硬貨のみ」支払い可能という、観光客にとっては非常に面倒なシステムが、相変わらず使われています(上の画像は、2022/10/01にベルンで撮影したもの)。
小銭がないと、トイレが目の前にあるのに使えないという、非常事態の発生です。
ちなみに駅構内のトイレの料金は、2スイスフランです(300円弱:1スイスフラン=146.39円の2022/10/02のレート)。
【スイス国鉄の駅トイレ】スイスフランの硬貨を手軽にゲットする方法
スイス国鉄の主要駅や有名な観光地にある駅構内では、大手スーパーマーケットチェーン店のMigrosかCOOPが見つかるはず。
これらスイスの大手スーパーでは、ユーロ紙幣での支払いに対し、スイスフランでお釣りを出してくれます。ちなみにテイクアウトのお店でも、ユーロ紙幣での支払いに、スイスフランの硬貨でお釣りがもらえるとのこと。←昨日(2022/10/01)お店で確認したばかりの、イキのいい情報です。
スイスのトイレはレストランやカフェの中までどんどん有料化されている
基本的にスイス国内では、問題なくクレジットカードでの支払いが可能ですので、ヨーロッパ旅行でスイスだけではなく近隣諸国も併せて訪れる場合には、あえてスイスフランのキャッシュを用意する必要はないと、私は思います。
ただ、スイス国鉄の駅トイレに限らず、最近では観光地のレストランやカフェの中にあるトイレまで、有料化(つまり小銭が必要となるケース多し)の動きがどんどん進んでいる状況に出くわし、私自身何度か驚いたことがありました。
ですから、丸1日〜数日スイスに滞在される場合には、小銭払いのみが可能な有料トイレの使用時に備えて、少額のスイスフラン硬貨を大手スーパーの買い物でお釣りとして手に入れ用意するという方法を、私はオススメします。
スイス国鉄構内以外の有料トイレでも、2フランがあると便利なので、お釣りをもらう際に「2フラン硬貨で」と、リクエストしてみるのもいいかもしれません。
ご紹介したエピソード内のおふたりのように、ベルンの駅構内で、偶然私と遭遇する(熊みたい?)確率は、そんなに高くはありませんので(笑)。
【スイス国鉄の駅トイレ】タッチ決済できない利用者の不満爆発
デジタル化が進んでいるこの世の中で、よりによってトイレの支払い、それも観光客が多く訪れる駅で「小銭のみOK」の機械を使っているなんて、ちょっと時代遅れ…という感じが、否めませんよね。
実は2022年の5月から、スイス国鉄は駅トイレのタッチ決済化のテストとして、いくつかの駅で「タッチ決済でしか料金が支払えない」機械を導入したのです。
ところが突然、駅の有料トイレの料金を小銭で支払えなくなったために、トイレが使えず立ち往生した高齢者の方が、ご自分の体験をスイス国営放送・SRFに投稿。
この苦情体験に対し、スイス国鉄が塩対応を示したことから、「駅トイレの支払い」が炎上する事態に発展。
現在スイス国鉄では、タッチ決済オンリーの機械導入後、タッチ決済できない利用者たちの要望をいかにカバーできるかと模索中のようです。
「なぜ『小銭』と『タッチ決済』の併用ができる機械を導入しないのか?」と、部外者の私には不思議で仕方ありません。
QRコード付きの請求書への一斉変更でも見られたように、スイスではデジタル化が導入される際、「オール・オア・ナッシング」の道を選ぶ傾向があるようです。興味のある方は、コチラ↓の記事をご覧ください。
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何はともあれ、この記事でお伝えした情報が、スイス国鉄の駅やその他の有料トイレを使う際の情報源として、お役に立てれば、幸いです。
皆さんのスイス滞在が、楽しい思い出でいっぱいになりますように♪